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グレーゾーンの子どもへの接し方にはコツがある|特徴や支援へ繋げる相談施設も紹介

子どもに勉強を教えている先生
自分の子どもが少し周りの子ども達と違って見える、仕事などで多くの子どもと接している中で少し気になる行動を見せる子がいる、そんな感覚を覚えたことはありませんか?

子どもによって個性や性格はさまざまです。しかし、なかには支援や周囲の配慮を必要とするケースがあることも頭の片隅に置いておきましょう。そんな、支援や配慮を必要とする子ども達のなかに「発達グレーゾーン」と呼ばれる子どもがいます。

今回は、発達障害の診断を受けている訳ではないけれど支援や配慮を必要とする発達グレーゾーンについて解説。合わせて、家庭や集団生活で役立つ発達グレーゾーンの子どもへの接し方のコツについても紹介します。

発達グレーゾーンってどんなもの?

発達グレーゾーンとは、発達障害の診断基準を満たさないものの、発達障害に似た特性を持った子ども達です。発達障害とは、生まれつき脳の働きが健常児と異なることで、物の受け取り方や認識、コミュニケーション、学習など社会生活を送る上で必要な感覚の発達に凹凸が見られる障害のことを言います。

発達障害には専門的な診断基準があるため、発達障害に酷似した特性を持っていても診断がつかないケースが少なくありません。しかし、診断が付かないからといって健常児と同じ感覚で生活できる訳ではないため、発達グレーゾーンと分類して呼ぶことで支援や配慮の必要性が訴えられています。

対応が難しい?発達グレーゾーンの子ども達

発達障害であると診断がつくと、公的な支援も比較的受けやすく、診断がついていることで周囲に配慮を求めやすくなるメリットがあります。一方、発達グレーゾーンの子ども達は診断がつかないことで「発達障害ではないなら、健常なんでしょう?」と誤解されてしまうことが少なくないのです。

発達障害としての診断がつかなくても、発達に凹凸があることで日常生活に困難が見られるシーンは決して珍しくありません。「授業中、席から立ってしまう」「忘れ物が多い」「揶揄を言葉の通り受け取ってしまう」など、ひとつひとつを見れば些細な特性に見れるかもしれませんが、これらの困り事が原因で自己肯定感の喪失や不登校、無気力などの二次障害を引き起こしてしまうケースも多いです。

発達グレーゾーンであることを、本人や周囲の大人が気付いていないケースもあり、大人になってからこれまでの困り事が特性によるものであったと気付く人もいるでしょう。

しかし、これまでの困り事が特性であったことに気付いたからといって、喪失した自信やこれまでの辛い過去を取り戻せるわけではありません。

発達グレーゾーンの子ども達に必要なのは、できるだけ早く困り事に気付いてあげることと、困り事を深刻化させない周囲の配慮です。特別扱いをするのではなく、子どもの特性に合わせた伝え方を工夫するだけでも、大きく状況が変わるケースが多々あります。

今一度子どもの特性やそれに合わせた接し方について考えてみてください。

発達グレーゾーンの子どもに多くみられる特性

発達グレーゾーンの子どもに多くみられる特性として以下の5つが挙げられます。
  • コミュニケーションをとるのが苦手
  • 集中力が持続しない
  • 音や光への反応が過敏
  • 不安感が強い
  • 毎日のルーティーンが変わるのを嫌がる
どれか1つの特性が見られる場合もあれば、複数の特性が同時に見られることもあります。また、音には過敏だけど光には反応しないケースや、特定の授業であれば集中できるけど他の授業では集中できない、といった条件によって特性に現れ方の違いが見られることもあるでしょう。

他の子どもと同じ注意をしても、何度も気になる行動を繰り返してしまう場合、これらの特性の有無を慎重に観察してみるのがおすすめです。

発達の凹凸があるということは発達障害なの?

前項で発達グレーゾーンの子どもに多く見られる特徴について紹介しましたが、これらの特性が見られるからといって発達障害であると確定される訳ではないことも、同時に理解しておくべきポイントと言えます。発達障害は専門医によって慎重に診断が下される先天性の障害です。そのため、安易に「発達障害」というカテゴリー分けをしてしまうのは望ましくありません。

発達グレーゾーンに関しては、専門医の診断基準すらない、さらに大まかな分別と言えます。だからこそ、これらの特性に当てはまる子どもを特別扱いする訳ではなく、その子に合った接し方をすることが大切です。

発達障害の診断基準のひとつに「日常生活に対する困難の度合い」があります。つまり、これらの特性を持っていても周囲が対応を変えて活かしてあげることができたり、子ども本人が自分の特性をコントロールする術を身に付けたりすることで、日常生活に対する困難を予防することもできるでしょう。
そうして日常生活に対する困難を解消してあげることで、特性は個性になり発達障害の診断基準から外れていくこともあります。

今回紹介している5つの特徴は、あくまで「こういった特徴を持っている子どもに対する接し方を見直してみよう」という気持ちで、確認してみてください。

発達グレーゾーンの子どもへの接し方のコツ

発達グレーゾーンの子どもへの接し方で気を付けるポイントは大きく分けて4つあります。今回紹介する方法は、健常児への接し方としても推奨できるものなので、まず気軽に「接し方」について考える参考にしてみてください。

接し方のコツ1.子どもが優位なタイプを見極める

健常児の多くは聴覚と視覚の両方を使って、情報を把握し行動します。しかし、発達に凹凸が見られる子どもの場合、聴覚もしくは視覚のいずれかの感覚に優位性が見られるケースが少なくありません。

聴覚優位タイプと視覚優位タイプでは、コミュニケーションの通じ方が全く異なります。まずは子どもにとって「聞く」と「見る」のどちらの方が意味を理解しやすいのかを把握しておくことが大切です。

聴覚優位タイプ

聴覚優位タイプは、物事を聞いて理解する力があります。

例えば「〇〇してね」と指示を出すとできるのに、「プリントに書いてあることをしてね」と指示を出すとできなかったりします。

音と行動を一致させることが得意なので、歌の歌詞を覚えるのが得意だったり、言葉による指示が通りやすかったりします。一方で、顔と名前を一致させるのが苦手だったり、漢字の音読み・訓読みの違いを理解するのが苦手だったりする面もあるでしょう。

視覚優位タイプ

視覚優位タイプは、物事を目で見て理解する力があります。

例えば、手洗い場に「石鹸で手を洗う絵」を貼っておけば何も言わなくても石鹸を使って手を洗えるものの、「手を石鹸で洗ってきて」と指示を出すと石鹸を使わずに水で手を濡らすだけで戻ってくる(または手を洗いに行かない)ことがあります。

目で見た絵や図の情報を理解することが得意なので、人の顔を覚えるのが得意だったり、図やグラフから情報を読み取ることが得意だったりします。一方で、言葉で伝えられた内容を理解するのが苦手だったり、自分自身も相手に言葉で伝えるのが苦手だったりする面もあるでしょう。

肯定的なフィードバックを心掛ける

発達グレーゾーンの子どもに注意をする際、気を付けたいのが「自己肯定感を損なわない注意の仕方」です。

特性に凹凸を持つ子ども達の多くは、「みんなができる当たり前のこと」を上手にできないことがあります。それが、ふざけてやっていたりわざと反発していたりするのではなく、発達の凹凸によってできないのです。

子ども自身もできない理由が分からないなかで叱責が重なってしまうと「自分はどうせできない」「何をしても怒られるだけ」など、自己肯定感の喪失に直結します。

発達グレーゾーンの子どもには、現状への注意・修正と肯定的なフィードバックをセットにすることが重要です。

例えば、集中できず席を立ってしまう子どもに対して、「今は授業中です。席に座っていてください」と伝えます。注意と修正をし、行動を正しましょう。その後、子どもが席に着けたら「席にちゃんと座れてえらいね」と肯定的なフィードバックをします。

発達グレーゾーンの子どもにとって、健常児の行動に合わせることが難しいシーンは非常に多く、どうしても注意を受ける回数が多くなります。だからこそ、最後は肯定的なフィードバックで、自尊心や自己肯定感を高める接し方を意識しましょう。

曖昧な表現を使わない

発達グレーゾーンの子ども達のなかには、曖昧な表現への理解が苦手なケースも少なくありません。

「少しだけ待ってて」の「少し」や、「これ位入れて」の「これ位」が理解できなかったりします。こういったケースでは曖昧な表現を使わず、数値や絵で明確な情報を伝えてあげるのがよいでしょう。

「少しだけ待ってて」を「5分だけ待ってて」と言い替えたり、「これ位にして」を「この線まで入れて」と定まった印で示したりすると効果が期待できます。

スモールステップで取り組む

子どもが何かを学ぶなかで、成功体験は学びに対する効果が高く、自己肯定感の上昇にも繋がります。発達グレーゾーンの子ども達にとっても同じです。

なるべく、物事を小さく段階的に分け、成功体験を重ねて1つの課題に取り組めるようにしましょう。

例えば「帰ってきたら靴を揃えて荷物を直して手を洗おうね」と伝えても理解できない場合、「靴を揃える」「荷物を置く」「手を洗う」の3段階に行動を分けます。

まずは「帰ってきたら靴を揃える」ことができたら褒め、習慣化してきたころに「荷物を置く」を新たなステップとして導入しましょう。さらに、靴を揃えて荷物を置くことが習慣化されてきた頃に「手を洗う」ステップを導入します。1つの行動が習慣化するまでは、靴を揃え終わった後に「荷物を置きに行こうね」など、都度指示を出してあげるのがよいでしょう。

発達グレーゾーンについて相談できる機関

自分の関わる子どもの発達について気になる場合、専門的な知識を持った人に相談することも大切です。なかには、発達グレーゾーンとして扱っていた子に発達障害の診断がつくこともあります。発達障害の支援はできる限り早くから始めることが望ましいと考えられているため、適切な支援に繋げるためにも「もしかして、この子は発達に凹凸があるのかもしれない」と感じたら、以下の機関に相談してみてください。

スクールカウンセラーや担任の先生

子どもによっては、家ではできないけれど学校などの集団生活ではできている、なんてケースも珍しくありません。まずは、子どもにとっての困り事によって社会生活に問題が起きていないのか、保護者のいない場所で子どもに接している担任の先生などに相談してみるのがよいでしょう。

また、担任の先生からみても困り事が見受けられる場合は、スクールカウンセラーに同席してもらうのがおすすめです。スクールカウンセラーは、公認心理士、臨床心理士、精神科医などの資格を有している専門職でもあります。心理や児童発達領域の専門的な知見を持つスクールカウンセラーに相談することで、今後どのように子どもに対応していくのか決めやすくなるでしょう。

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターとは、発達障害に関する支援機関です。発達障害者支援センターでは、発達障害の診断が確定していない発達グレーゾーンの相談も受け付けています。

発達障害に関する専門的な知見を有する発達障害者支援センターに相談することで、支援が必要なのか、周囲の配慮だけで対応できそうなのか、など今後の具体的なプランを立てやすくなるでしょう。

また、支援が必要な場合にも、相談支援、発達支援などを受けることができ、センターで実施されている発達障害に関するセミナーなどを受けて障害や特性に対する理解を深めることもできるでしょう。

発達グレーゾーンの子どもに対する適切な支援と接し方を考えてみよう

支援を必要としているにも関わらず、適切な支援を受けられない子ども達が増え続けていると言われています。発達障害について医学的な解明が少しずつ進んでいるからこそ、子ども達の困りごとに対して「大きくなればできるようになるでしょう」と放置せず、原因について考えてあげることが大切です。

発達グレーゾーンの子どもに対する適切な支援や接し方について、今回紹介したポイントをぜひ参考にしてみてください。

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