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療育における言語聴覚士の役割とは?資格の取り方や発達支援に携わるメリットも紹介

言語聴覚士ってどんな職業?

言語聴覚士とは、言葉や嚥下などに問題を抱える人をサポートする専門的な知識を持った資格所持者です。言葉が出ない、聞き取りや発音など言語と聴覚に関わる問題の他、物を食べたり飲み込んだりする分野においても言語聴覚士が活躍します。

急速な高齢化によって言語聴覚士の需要が高まり、年々資格取得者も増えている専門職のひとつです。2022年3月末の時点で、累計資格取得者は3万8,000人を超えています。

言語聴覚士は国家資格

言語聴覚士は国家資格です。1997年に言語聴覚士法が制定され、1999年3月に初めて国家試験が行われました。国家資格試験の合格率は50~60%程で、決して簡単に合格できるとは言えないでしょう。

言語聴覚士法に基づいた受験資格を満たし、筆記試験に合格すれば資格が受けられます。

言語聴覚士になるには

言語聴覚士の国家試験受験資格を得るには、文部科学省が定める教育課程を経て必要な知識と技能の習得が必要です。
言語聴覚士の資格を得る方法には3つのルートがあります。

高校卒業後の受験資格取得ルート

高校卒業後に言語聴覚士を目指す場合、文部科学大臣が指定する3年制もしくは4年制の大学または短大を卒業する必要があります。

この場合、都道府県知事が指定する3~4年制の言語聴覚士養成所(専修学校)を卒業することでも国家試験の受験資格を得ることができます。

大学卒業後の受験資格取得ルート

一般的な4年制大学を卒業した人の場合、文部科学大臣が指定する大学または大学院の専攻科を卒業することで国家試験の受験資格を得ることができます。

また、この場合2年生の専修学校を卒業することでも国家試験の受験資格の獲得が可能です。

その他の受験資格取得ルート

すでに言語聴覚士に必要な一定基準の科目を習得している人の場合、文部科学大臣が指定する大学で1年間専攻コースを履修することでも国家試験の受験資格を得ることができます。

ただし、2022年時点で1年生で国家試験の受験資格を得られるのは大阪の白鳳短期大学のみとなっています。

通学の問題などから考えても、誰でも選べるルートではないと言えるでしょう。

また、諸外国で言語聴覚士に関する学業を納めている人の場合、厚生労働大臣の認定を得られれば国家試験の受験資格が認められることもあります。

言語聴覚士が活躍する分野

言語聴覚士は医療や福祉などさまざまな分野で活躍する資格です。専門性が高いため、どんな分野でも言語のエキスパートとして頼られるでしょう。言語聴覚士が活躍する分野には以下のものがあります。

医療施設

言語聴覚士全体のうち67%は医療分野に携わっているといわれています。特に病気や事故などで言語障害や嚥下障害を患った人のリハビリなどで活躍しています。

医療分野として、大学病院、総合病院、専門病院、リハビリテーションセンター、地域委員、診療所などが、言語聴覚士の主な活躍の場です。

保健施設

保健施設でも医療分野と同じく言語聴覚士の需要が高いと言えます。

訪問リハビリステーションやデイケアセンター、介護老人保健施設、訪問看護事業所などで、言語や聴覚、嚥下に関する専門的なサポートをするのが主な仕事です。

福祉施設

福祉分野においては特別養護老人ホームや重症心身障碍児施設などで、言語や聴覚、嚥下に関する観察や評価、指導などの業務を担う言語聴覚士が多いです。

その他、デイサービスセンター、児童発達支援施設、肢体不自由児施設などでも活躍しています。

教育機関

教育機関では、小中学校、特別支援学校、研究施設、言語聴覚士教育施設などで活躍する言語聴覚士が多いです。

小中学校や特別支援学校では言語障害や吃音などの改善に取り組むケースが多い傾向にありますが、教育分野に関してはまだまだ言語聴覚士の配置が少ないのが現状です。

療育分野で言語聴覚士に求められる役割

療育分野において言語聴覚士に求められるのは以下の4点です。
  • ことばの知的発達の遅れの有無
  • 対人関係の障害の有無
  • 構音障害の有無
  • 吃音をはじめとする音声障害の有無
これら4点に対する評価や訓練が、療育分野では言語聴覚士に求められています。

また、聴覚障害を持つ子どもに対しては検査や訓練の他にも補聴器のフィッティングなどをサポートすることもあります。

療育における言語聴覚士の仕事における一日の流れ

発達支援では、児童指導員、保育士、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、公認心理士(または理学療法士)などがチームとなって療育に取り組みます。

言語聴覚士は言語聴覚指導のエキスパートとして活躍しますが、発達支援の現場ではそれ以外の業務にあたることも多いです。

遊びや食事などを通して、子ども達の発達を評価・指導する必要があるためさまざまな形で子ども達と触れ合います。

療育における言語聴覚士の一般的な一日の流れは以下のとおりです。
発達支援事業の場合

8:30~9:00頃
・子ども達が施設に到着する
(送迎を行う施設も多い)
9:00~10:00頃
・健康状態のチェックやトイレ・療育の準備のサポート、朝礼など
10:00~11:00頃
・療育プログラム
(個別療育や集団療育などを療育計画の元に行う)
11:00~11:15頃
・おやつ
11:15~11:45頃
・療育プログラム
(個別療育や集団療育などを療育計画の元に行う)
11:45~12:00
・退所準備のサポート・帰りの会など
12:00
・退所
(迎えに来た保護者に気になる点などを報告し、相談を受けることもある。送迎を行う施設も多い)
放課後等デイサービス(平日)の場合
14:00~15:00頃
・下校後、子ども達が施設に到着する
(送迎を行う施設も多い)
15:00~15:30
・おやつ
15:00~17:00
・療育プログラム
(個別療育や集団療育などを療育計画の元に行う)
17:00~17:30
・退所準備のサポート・帰りの会など
17:30~18:00
・退所
(迎えに来た保護者に気になる点などを報告し、相談を受けることもある。送迎を行う施設も多い)
発達支援センターや発達支援事業では小学校就学前の子ども達を対象としているため、今回紹介した流れで一日の業務に当たるケースが多いでしょう。

放課後デイサービス等の場合、学校を下校後に子ども達が集まり、そこから個別療育や全体療育を行うことになります。

言語聴覚士が療育分野で働くメリット

言語聴覚士はさまざまな分野で活躍できる資格ですが、療育野で働く際には以下のメリットがあります。

専門性の高い言語聴覚療法ができる

発達障害を抱える子ども達のなかには構音障害や言語発達遅延、吃音症などに悩む子どもや保護者も少なくありません。

言語聴覚士が発達支援の現場に在籍することで、これらの障害や症状に対する専門性の高い療育が可能になります。

言語や聴覚は非常に複雑に成り立っているため、専門性を持って勉強してきた言語聴覚士が強く求められます。
構音障害とは
口や舌、声帯などをはじめとした言葉を発するために必要な器官が正常に働かないことで発声が上手くできない障害のこと。先天性のものと後天性のものがある

言語発達遅延
発達課程に問題があり言語構造が上手く獲得できない障害。幼児期の場合、1歳以上定型発達から遅れると判断される際に言語発達遅延に当てはまるケースが多い

吃音症とは
何度も同じ言葉を繰り返してしまったり、言葉が出ずに間が空いてしまったりするなど、流暢に発語できない症状。発達性の吃音症とストレスなどが原因で起こる各特性吃音症に分類される

やりがいがある

医療分野などで言語聴覚士として患者に関わる場合、リハビリを行う一定の期間に限定されることが多いでしょう。

しかし、療育では子どもの成長を見守りながら長く関わるケースが多いです。一般的に発達支援センターや発達支援事業所は幼稚園年少児相当の年齢から受け入れを行っているケースが多く、小学校入学まで寄り添いながら療育を行います。

出会った当初はできないことも多い子ども達が、療育を通して成長し立派になって巣立っていく姿を見送れるのは言語聴覚士としてもやりがいを感じられる1シーンだと言えるでしょう。

さらに放課後等デイサービスでは、小学1年生相当の年齢の児童から18歳までを対象としているため、さらに長い機関子ども達の成長と共に歩むことができます。

求人数が多い

発達障害はこれまで「扱い難い子」「少し変わった子」などと評されることも多く、近年急激に障害の解明が進んでいます。その中で、発達障害の診断を受ける子どもの数は右肩上がりとなっており、早期療育が効果的と言われる中で発達支援センターや発達支援事業所の少なさが問題になっているのが現状です。

その中でも、言語聴覚士の需要は非常に高く、近年の診療報酬改定では、発達支援事業所における言語聴覚士の配置に加算項目が設けられたのも需要の高まりを後押しする結果となりました。

専門的支援加算として、言語聴覚士を配置したいという事業所は多く、求人数の多さや優遇条件なども見られます。

スキルアップに繋がる

療育分野では基本的にチームで支援に取り組みます。児童指導員、保育士、作業療法士、心理士など他分野のスタッフと意見交換を行う機会も多く、幅広い知見を得ることもできるでしょう。

また、発達支援センターなどの場合は医療機関や児童相談所、地域の幼稚園や保育園などさまざまな機関との連携を持って包括的なサポートにも取り組みます。

発達支援や福祉、地域連携など、他の分野では学ぶ機会の少ないシーンで実践的にノウハウを身に付けることができます。

療育分野での経験は、言語聴覚士としてのスキルアップにも繋がるでしょう。

言語聴覚士が療育分野で働くデメリット

療育分野で言語聴覚士として働くなかで、多く聞かれるのは「責任の重さを感じる」という点です。

発達障害は早期に療育をスタートすることで、生きずらさを軽減し社会とうまく付き合っていく術を子ども達に身に着けてもらうことを目的としています。スポンジのように様々なことを吸収していく子ども達だからこそ、療育の現場では適確で効果的な指導が求められ、子ども達が日々を健やかに過ごせるようサポートするという使命があるのです。

現在、大人の発達障害が注目される中で、発達障害を周囲の人に理解してもらえず苦しみながら過ごしてきたという体験談を耳にすることもあります。
自分自身の知識不足や技術不足が、将来子ども達の負担になると思うと責任を強く感じることもあるでしょう。

しかし、責任の重圧を言語聴覚士一人が担う訳ではありません。責任重大だからこそ、チームで療育を行いスタッフや発達障害児の家族と共に支援に取り組みます。責任を負担に思うこともあるかもしれませんが、子ども達の笑顔や困難を克服した際にはそれを上回る喜びや感動を得られることも多くの言語聴覚士に通じることです。

療育分野に向いている言語聴覚士の特徴

言語聴覚士としてどの分野に進もうか迷うこともあるでしょう。療育分野には以下のような特徴を持つ人が向いています。

子どもが好きな人

子どもと関わることが好きな人は療育分野に向いています。幼児との関わりが好きな人は発達支援センターや発達支援事業所、児童との関わりが好きな人は放課後等デイサービスに向いているでしょう。

特に、言語聴覚士の資格を持っているものの出産を機に離職した経験のある人は、療育分野で育児経験などを活かして働くこともできます。

洞察力のある人

療育分野では特に子ども達の様子を注意深く観察し理解できる洞察力が求められます。まだまだ未熟で、自分の気持ちを発信する方法すら分からない子ども達の様々なサインを読み取ってあげる必要があるでしょう。

普段から人を観察することが得意な人や、人の考えを瞬時に把握できるスキルの高い人は発達支援の分野に向いています。

言語聴覚士が療育の求人を探す方法

言語聴覚士が療育分野の求人を探す方法はいくつかあります。
求人誌や求人サイトでも療育分野における言語聴覚士の求人は見つかりやすいでしょう。

しかし、求人数が多いため自分の希望に沿った求人を見つけ出すのはそう簡単なことではありません。

少ない労力で自分の希望に合った求人を見つけるのであれば療育分野に特化したコーディネートサービスなどを利用するのがおすすめです。
コーディネーターに希望条件を提示する中で、自分の理想とする働き方が見えて来ることもあるでしょう。

特に、療育業界が未経験で一般的な条件などが分からないという人は、療育業界に特化したコーディネーターに相談して求人を探すと理想に近い職場を見つけやすいでしょう。

療育業界で言語聴覚士として活躍しよう

人間同士のコミュニケーションとして欠かせない言語聴覚能力。言語聴覚士は、そんな重要なコミュニケーション能力の開発・サポート役として欠かせない人材です。

療育業界には言語聴覚士を必要としている子ども達が数多くいます。ぜひ、言語聴覚士としての知識やスキルを療育分野で活かしてみませんか。
療育biz(ビズ)では、言語聴覚士の求人を数多く取り扱っています。また、無料のコーディネートサービスも実施中です。療育業界に特化したコーディネータが最適な求人をご案内しますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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