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作業療法士ってどんな仕事?資格・療育業界で求められる役割・仕事内容・給料も解説

作業療法士とは

作業療法士はリハビリテーションにおける専門職です。心身の障害だけでなく幼児期、老年期の「作業」に対する機能回復支援を専門的に行う職業と言えます。

ここで紹介している「作業」には、障害や老化によって失われた機能や、成長過程でまだ得ていない機能など、日常生活に必要な全ての動作が当てはまります。

英語ではOccupational Therapistといい、OTと呼ばれることもあります。

作業療法士は国家資格

作業療法士は、理学療法士や言語聴覚士と同じく国に認められた国家資格のひとつです。「理学療法士および作業療法士法」という法律によって制定されており、1965年に公布され国家資格として認められるようになりました。

国の指定している教育機関を卒業することで受験資格を得ることができ、国家試験に合格すれば作業療法士としての資格が与えられます。2022年2月に行われた資格試験の合格率は80.5%でした。極めて難関な試験という訳ではありませんが、作業療法における専門的な知識が求められます。

作業療法士と理学療法士の違い

作業療法士と理学療法士は同時に法律で制定されたものであり、非常によく似た資格です。理学療法士は運動療法や物理療法などを用いて、日常生活に必要不可欠な動作機能の回復訓練を行います。

これに対して、作業療法士は理学療法士が行ったリハビリから一歩踏み込み、必要不可欠な動作を使って日常生活の作業を快適に行えるようリハビリを行う仕事です。

つまり、理学療法士が作った土台を応用した作業の回復訓練をするのが作業療法士という訳です。

作業療法士が活躍する業界

作業療法士は障害の有無だけでなく、人生における成長や老化の過程でも活躍する職業です。そのため、作業療法士が働く業界は多岐にわたります。
  • 病院(総合病院、個人病院、精神病院)
  • 児童福祉施設(児童発達支援、障害児支援)
  • 介護施設(老人ホーム、デイケア事業)
  • 教育施設(特別支援学級、教育委員会)
  • 保健福祉施設(保健所、地域包括支援センター)
これらの業界の他、刑務所や保護観察所などでも作業療法士の活躍する職種があります。

作業療法士が担う4つの業務領域

作業療法士はさまざまな業界で活躍する仕事ですが、その業務領域は大きく分けて4つです。続いては、作業療法士が担う業務領域について紹介します。

その1.発達障害領域

作業療法士が担う発達障害領域では、脳性まひや発達障害など発達に遅れが見られる子ども達の機能発達訓練が主な業務となります。

また、診断の付かないグレーゾーンの子ども達に対しても、発達を促すサポートを行います。リハビリテーションの専門家として、運動機能やソーシャルスキルなどの発達を促すことが作業療法士の発達障害領域における業務です。

専門的な知見や技術はもちろん、子ども達に対して楽しくリハビリや訓練を行うスキルも求められます。

その2.身体障害領域

作業療法士の仕事の中で、最も一般的に知られているのが身体障害領域における業務です。病気や事故などで低下した機能回復訓練が主な業務となります。

医師と連携して機能回復訓練を行うため、作業療法分野に加え医療分野の知識も求められる領域です。

その3.精神障害領域

作業療法士は身体の機能回復が主な業務だと思われがちですが、実は心理や認知における機能低下にも対応します。うつなどの心の病気で社会生活を送れなくなった人のリハビリも作業療法士の業務領域です。

身体機能の訓練だけでなく、生活の見直しや活力を促す働きかけをすることもあり、心のリハビリを行うケースもあります。

その4.老年期障害領域

老年期障害領域では、加齢により身体機能や認知機能が低下してしまった人に対して、自立した生活を維持できるようサポートします。身体能力の向上訓練を行うだけでなく、老年期を迎えた人が充実した毎日を過ごせるよう意識した働きかけが求められます。

療育における作業療法士の役割とは

作業療法士の発達障害領域について紹介しましたが、そのなかでも療育施設において求められる役割は多岐にわたります。

続いて、療育における作業療法士の役割について解説します。

日常動作の発達を促す

療育を必要としている子どもの中には、特性が影響して日常動作が難しい子も少なくありません。そんな子ども達に対して、特性に配慮しつつ自立して日常動作ができるよう訓練するのが作業療法士の役割です。

単に日常動作を訓練するのではなく、遊びの中で指先や手足の動かし方の習得を促すケースが多く、子ども達が飽きないよう楽しみながら練習します。

感覚の成長を促す

療育を必要としている子どもの中には、感覚機能の成長にムラがあるケースも多いです。感覚は優れ過ぎていても劣り過ぎていても日常生活に支障をきたしやすいと言えます。また、自分自身の身体を思う様に動かすためにも感覚器官の成長が欠かせません。

作業療法士はさまざまな遊びの中で、子ども達の感覚器官の成長を促し、環境に合わせた過ごし方ができるよう訓練を行います。

ソーシャルスキルの発達を促す

療育を必要としている子どもの中には、人の感情を読み取ることが苦手な子も多いです。特に他人との距離感の掴み方が分からず、コミュニケーションを苦手としている子もいるでしょう。

そんな子ども達に対して、集団での療育に携わりソーシャルスキルの発達を促すのも作業療法士に求められる役割です。子ども達が他人と良好な人間関係を築けるよう、時には指導し、時には見守りながら成長をサポートします。

学習力の成長を促す

作業療法士は学習の遅れに対する対応も求められます。学習の遅れが出ている子どもに対して、何が原因で学習の遅れが発生してしまうのかを調べながら、定型発達に近付けるよう働きかけます。

日常生活における支援方法の提案をする

作業療法士は子どもだけでなく、その保護者などと関わることもあります。特性を持つ子どもが快適に社会生活を送れる方法を保護者に提案し、時には学習環境のアドバイスや道具の使用などを促すこともあるでしょう。

特性を周囲の人に理解してもらえるよう働きかけ、子どもとその家族がお互いに生活しやすい方法を提案する役割も求められています。

療育における作業療法士の仕事内容と1日のスケジュール

続いては、実際に療育施設で働く作業療法士がどのような仕事をしているのか紹介します。

仕事内容

療育施設では、児童指導員、保育士、理学療法士、言語聴覚士などさまざまな専門家とチームで療育を行うことが多いです。療育に関する基本的なプランを考えるのは児童発達管理責任者の業務ですが、理学療法士や言語聴覚士、作業療法士などの専門的な意見を求められることもあります。

また、訓練以外にも入所の際のサポートや食事、排泄のフォローを児童指導員や保育士と共に行うケースもあるでしょう。施設によっては、子ども達の送迎を担当することもあります。

療育施設では仕事内容が多岐にわたるため、具体的にどのような業務範囲を担当にするのか事前によく確認し、納得して務めることも大切です。

1日のスケジュール

作業療法士の療育施設における1日のスケジュールは以下のとおりです。今回は、発達支援事業所と放課後等デイサービスの2パターンを紹介します。
発達支援事業所

8:30~9:00
・入所
(送迎を行う施設も多い)
9:00~10:00
・健康状態のチェック、排泄のサポート
・朝礼
10:00~11:00
・療育
(療育計画を元に個別もしくは集団療育を行う)
11:00~11:15
・おやつ
11:15~11:45
・療育
(療育計画を元に個別もしくは集団療育を行う)
11:45~12:00
・退所準備のサポート
・終礼
12:00
・退所
(送迎を行う施設も多い。迎えに来た保護者に活動の報告をしたり、相談を受けたりすることもある)
放課後等デイサービス(平日)の場合
14:00~15:00
・入所
(子ども達は学校が終わった後に随時入所する。送迎を行う施設も多い)
15:00~15:30
・おやつ
15:30~17:00
・療育
(療育計画を元に個別もしくは集団療育を行う)
17:00~17:30
・退所準備のサポート
・終礼
17:30~18:00
・退所
(送迎を行う施設も多い。迎えに来た保護者に活動の報告をしたり、相談を受けたりすることもある)
子ども達の入所前や退所後の時間は、施設の掃除や療育の準備、療育計画を立てるための会議などを行うこともあります。

療育における作業療法士の給料

作業療法士は国家資格を必要とする専門職のため、療育業界では好待遇の求人も多く見られます。
ただし、地域によって。給料には差があり、最も高いのは関東、続いて関西と大きな都市のある地域では高い給与での求人が多い印象です。
  • 関東     300,000円~380,000円 
  • 関西     280,000円~350,000円
  • 東海     260,000円~300,000円
  • 北海道・東北 235,000円~260,000円
  • 甲信越・北陸 250,000円~300,000円 
  • 中国・四国  280,000円~300,000円
  • 九州・沖縄   260,000円~300,000円

作業療法士に療育業界をおすすめする理由

作業療法士は多分野で活躍できる資格です。さまざまな業界のなかで療育をおすすめするには理由があります。

発達障害児には感覚統合の未発達な子どもが多いから

感覚統合は、人間が自然に身に付ける複数の感覚刺激を整理する能力のことです。これは、脳の働きに含まれており、必要な情報や不必要な情報を無意識に振り分けることで、スムーズに処理していきます。

発達障害は先天的に脳の働きに問題があることが近年の研究で解明されており、多くの発達障害児は感覚統合を苦手とする傾向にあります。

感覚統合の訓練を専門的に行えるのが作業療法士や理学療法士、言語聴覚士です。療育業界では心や体についての専門的な知識を持つ作業療法士を必要としています。

必要とされる環境に身を置くことで、仕事に対するやりがいを強く感じられることでしょう。

好待遇の求人を見つけやすいから

前述したように、作業療法士はさまざまな業界から望まれる資格です。そのため、療育業界では作業療法士の人材が足りず、各施設で需要が高まっています。

多くの需要があるため、自分の望む就業条件に見合った求人も比較的見つけやすいと言えるでしょう。勤務地、勤務形態、給与、休日数など、自分の理想に少しでも近い職場で作業療法士として働きたいなら、療育業界を検討してみるとよいでしょう。

療育業界で子ども達を支える作業療法士になろう

人間が生活する中でほとんどの動作が「作業」に当たります。そんな作業訓練のプロフェッショナルである作業療法士は、発達障害児の療育において欠かせない存在です。

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