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【事業者必見】児童発達支援事業所とは?概要や立ち上げの手順など簡単に紹介

「大人の発達障害」「発達グレーゾーン」など、これまで見落とされていた発達障害の存在に注目が集まっています。発達障害が科学的に解明されるにつれて、支援の必要性や重要性に対する理解も進み、ニーズが高まっていると言えるでしょう。

世の中のニーズを受け、児童発達支援事業の開業を検討する法人なども増加傾向にありますが、これまで療育に関わったことのない人にとっては複雑な内容が多く分かりにくいという声も多いです。

今回は、児童発達支援事業所について厚生労働省の定める位置づけや支援センターなどとの違いを簡単に分かりやすく解説します。合わせて、立ち上げに必要な条件や難しい点についても紹介しているので、事業者の方はぜひ最後までご覧ください。
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児童発達支援事業所とは

児童発達支援事業所とは、6歳以下の児童を対象に支援サービスを提供する事業です。児童福祉法によって定められた児童発達支援施設のひとつで、児童発達支援事業所のほかに児童発達支援センターや放課後等デイサービスなども似通った支援の提供を行っています。

厚生労働省の定める児童発達支援事業所の定義とは

厚生労働省では、児童発達支援ついて以下のように定義しています。
"児童発達支援とは、障害児につき、児童発達支援センターその他の厚生労働省令で定める施設に居早生、日常生活における基本的な動作の指導、知能技能の付与、集団生活への適応訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。

児童福祉法(昭和22年法律第164号)"
参照
つまり、児童発達支援は障害を持つ子ども達に対して生活のサポートや技能訓練を行う福祉サービスということです。ちなみに、児童発達支援は発達障害に限ったものではありません。精神的・身体的なさまざまな障害をもつ子ども達を対象としています。

児童発達支援施設については、ガイドラインで以下のように定められています。
"障害のある子ども又はその可能性のある子どもに対し、個々の障害に応じた発達上の課題を達成さえていくための本人への発達支援を行う他、子どもの発達の基盤となる家族への支援に勤めなければならない。また、地域社会への参加・包容(インクルージョン)を推進するため、保育所、認定こども園、幼稚園、小学校、特別支援学校(主に幼稚園及び小学部)等(以下「保育所等」という。)と連携を取りながら支援を行うと共に、専門的な知識・経験に基づき、保育所等の後方支援に勤めなければならない
つまり、厚生労働省から発達支援施設に求められる要件は以下の通りです。
  • 障害を持つ子ども達への支援
  • 地域社会との連携
  • 保護者への支援
  • 地域社会の保育・学習機関への支援
これは、発達支援事業所、発達支援センター、放課後等デイサービスなどの施設に共通しています。

児童発達支援事業所と他の施設との違い

児童発達支援事業所、発達支援センター、放課後等デイサービスは、社会的に求められ要件は同じでも、それぞれに違った役割や位置付けがあります。

続いては、児童発達支援事業所と他の施設の違いを見ていきましょう。

発達支援センター(療育センター)との違い

発達支援センターは療育センターと呼ばれることもあります。発達支援センターは地域の児童発達支援において中核的な役割をもつ施設で、主に自治体の認めた社会福祉法人および医療法人などが運営している施設です。

発達支援センターは、「福祉型児童発達支援センター」「医療型児童発達支援センター」「医療型障害児入所施設」のいずれか(または全て)の機能を持っており、「福祉型」「医療型」と分けられます。

福祉型では発達障害をはじめとした障害児支援を行っているのに対し、医療型では先天性疾患や肢体不自由など医療を必要とする障害児支援を提供しているのが大きな違いです。

発達支援センターは自治体などとの繋がりが強く、福祉や地域との連携力に優れているのに対し、児童発達支援事業所は障害児や家族にとって身近な支援に当たります。発達支援センターは地域との連携力が強い一方で数が少なく、支援を必要としている人に迅速な支援が行き届かないケースも少なくありません。児童発達支援センターのデメリットを補えるのが児童発達支援事業所です。

児童発達支援事業所は、地域に複数所在していることが多く、施設による特色もさまざまなものがあります。そのため、児童発達支援センターに空きがなく迅速な支援を求めている障害児や家族には児童発達支援事業所を紹介するというケースも多く聞かれます。場所や施設の特色などを、障害児や家族の希望に合わせて選べるのも大きな違いです。

放課後等デイサービス(放デイ)との違い

放課後等デイサービスは児童福祉法に基づいた障害児支援サービスのひとつですが、児童発達支援事業所とは対象とする児童の年齢層が異なります。

児童発達支援事業所は6歳以下の児童を対象とするのに対し、放課後等デイサービスでは6歳以上18歳以下の児童を対象としています。6歳以上の児童の場合、小学校への入学にともない学習面での支援が必要となるケースが多いです。就学後と就学前では、必要とされる支援や連携すべき施設が異なるため、児童発達支援事業所と放課後等デイサービスは区別されています。

放課後等デイサービスも、児童発達支援事業所と同じく発達支援センターの後方支援としての位置づけがされており、法人によっては児童発達支援事業所と放課後等デイサービス両方を運営しているケースもあります。

児童発達支援事業所の需要と現状

国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センターによると、発達障害特別支援学級に在籍する児童数は増加しており、2007年以降1年につき約6,000人増加していると言われています。

2022年に文部省が発表したデータからは、小中学校において全体の8.8%に発達障害の疑いがあるという調査結果も出ています。
参照データ1 参照データ2:
これまでは「育てにくい子ども」「不器用な子ども」として扱われてきた子ども達に、発達障害が疑われるようになったことで、適切な支援との連携が強く求められるようになりました。特に、情緒面でも成長する時期には、発達障害が原因で二次障害を引き起こすケースもあり、児童発達支援の拡充や必要性が訴えられています。

児童発達支援事業所の現状

発達障害が注目され、発達障害の疑いをもつ子どもたちの存在が浮き彫りになるなか、身近で支援を受けられる児童発達支援事業所は急速にニーズを高めています。

厚生労働省から発表された「令和2年 社会福祉施設等調査の状況」によると、児童発達支援事業の事業所数は8,849施設で、前年から1,196施設増加しています。また、放課後等デイサービス事業の事業所数は15,519施設で前年からの増加数は1,539施設です。これらの増加数は障害福祉施設のなかでも1位2位の増加数であり、発達支援に対するニーズの高さがよく分かるでしょう。

少子高齢化が進むなかで、世の中では子どもの数を増やす取り組みと合わせて、今いる子どもに十分な支援を届ける取り組みが重視される風潮があります。そのため、今後も児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業の数は増えていく見込みです。
参照データ

児童発達支援事業の立ち上げは難しい?

支援に対するニーズが高まることで、児童発達支援にビジネスとして参入する法人も増えています。しかし、児童発達支援はさまざまな法律によって規定や要件が定められているため、専門的な知識を持つ人材がいなければ新規参入は簡単ではありません。

児童発達支援事業を新規立ち上げするなかで、大変なことには一体どのような内容があるのでしょうか。

法人格が必要

児童発達支援事業の立ち上げには、法人格が必要です。法人格とは、以下のいずれかのものを指します。
  • 株式会社
  • 合同会社
  • NPO法人
  • 社会福祉法人
いずれかの法人として登記しなければ、自治体からの認可を受けられません。個人としての立ち上げができない部分は、難しい点と言えるでしょう。

指定基準を満たす必要がある

児童発達支援事業の立ち上げには「人員基準(人員配置基準)」「設備基準」「運営基準」の3つの項目を満たす必要があります。

人員基準(人員配置基準)

児童発達支援事業では以下の人員を最低限配置する必要があります。
  • 管理者1名
  • 児童発達管理責任者 1名
  • 児童指導員または保育士 定員10名以下の場合2名以上
児童指導員または保育士の配置数は定員11名以上になると、5名増えるごとに1名増やす必要があります。また、管理者は児童発達支援管理責任者や児童指導員(保育士)との兼任が可能ですが、児童発達支援管理責任者と児童士指導員(保育士)との兼任は不可です。

設備基準

児童発達支援事業には指導訓練室をはじめ、指導に必要な設備や備品、器具の設置が求められます。専門性の高い支援などを行う場合には、支援内容に合わせた設備の設置が必要です。

運営基準

児童発達支援事業の運営基準にはさまざまな項目があり、それらを含めた運営規定を作成しなければいけません。
  • 運営方針
  • 営業日(営業時間)
  • 利用定員(10名以上)
  • サービスの提供費用や種類
  • 協力医療機関
  • 非常時(災害時)の対策
  • 虐待防止の対策など
これ以外にも数多くの項目を定める必要があり、運営基準を満たしていると判断されなければ児童発達支援事業所を立ち上げることができません。

児童発達支援事業所を立ち上げる方法

児童発達支援事業所の立ち上げは一般的に以下の流れで行うケースが多いです。
  • 1. 事業内容の大枠を決める
  • 2. 事業計画書を作成する
  • 3. 法人を設立する
  • 4. 行政との協議を行う
  • 5. 施設の準備をする(工事や備品の準備)
  • 6. 求人など人材確保する
  • 7. 指定事業者申請をする
  • 8. 現地調査を受ける
資金調達が必要な場合は、行政との協議が完了したタイミングで動きだすのがよいでしょう。施設の準備は、後半で行うものの物件の確保は初期から行っておく方が賢明です。
物件によっては児童発達支援事業所としての利用を拒否されることもあるため、利用目的も含めて目星をつけておきましょう。

児童発達支援事業所の立ち上げは人材確保が肝心

児童発達支援事業所の立ち上げで最も難しいのは人材確保だという事業者も多いです。療育業界は、働き手や資格所持者の需要が高騰しているため、安易に考えてしまうと開業までに人材が集まらず配置基準を満たせないというトラブルに陥ることもあります。

特に、児童発達支援事業所に配置が義務付けられている児童発達支援管理責任者は、業界からの需要が高く特に確保が困難な資格と言えるでしょう。

人材確保は児童発達支援事業所の立ち上げや運営において避けては通れない問題です。充分な人材の確保と維持をできるよう、計画的に求人活動を行う必要があります。

児童発達支援事業所について理解を深めよう

今回は児童発達支援事業所について、簡単に紹介してきました。療育業界に参入を考えている事業者は、スムーズに開業準備を進めるためにもさまざまな知識が必要です。

自分が今から始めようと思っている事業に対して、正確な認識ができるよう、児童発達支援事業所や療育業界について理解を深めてみてください。
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