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【児発・放デイ必見】令和6年度障害福祉サービス等報酬における法改正について【前編】

法改正と書かれたブロック
先日、厚生労働省より令和6年度障害福祉サービス等報酬における法改正に関する内容が発表されました。評価の充実や運営基準に関する規定など、児童発達支援や放課後等デイサービスにも関連深い内容となっています。内容をよく理解しておき、法改正に対応できるよう準備をしておきましょう。

この記事では、令和6年度障害福祉サービス等報酬における法改正の内容を、前後編に分けて詳しく紹介していきます。

令和6年度に予定されているサービス等報酬の方改正に関する正式文書が公表

厚生労働省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームより、令和6年度障害福祉サービス等報酬における法改正の内容が2月6日に公表されました。

改正内容に関して、主に以下の8つの項目について提示されています。
  • 障害福祉サービス等における横断的な改定事項
  • 訪問系サービス(居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護・重度障碍者等包括支援)
  • 日中活動系サービス(生活介護・短期入所)
  • 施設系・居住支援系サービス(施設入所支援・共同生活援助・自律生活援助)
  • 訓練系サービス(自立訓練・機能訓練・生活訓練)
  • 就労系サービス(就労移行支援・就労継続支援A型・就労継続支援B型・就労定着支援・就労選択支援)
  • 障害児支援(児童発達支援・放課後等デイサービス・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援・福祉型障害児入所施設・医療型障害児入所施設)
特に、障害児支援に関する改正内容は児童発達支援事業所や放課後等デイサービスの報酬換算等に大きく影響します。児童発達支援事業所や放課後等デイサービスに勤めている人は、内容をよく理解しておく必要があるでしょう。

児童発達支援については、以下の内容において改正内容が提示されていました。
  • 児童発達支援センターの機能今日な等による地域の支援体制の充実
  • 質の高い発達支援の提供の推進
  • 支援ニーズの高い児への支援の充実
  • 家族支援の充実
  • インクルージョンの推進
  • 障害児入所施設における支援の充実
今回は障害児支援に関する改定ポイントをピックアップして分かりやすく解説していきます。

児童発達支援センターの機能強化等による地域の支援体制の充実についての改定内容

児童発達支援センターは、地域における障害児支援の中核を担う組織という位置付けです。今回の方改正では、中核機能を強化すると共に、新設の加算が2つ追加されました。

概要

児童発達支援センターの機能強化等による地域の支援体制の充実については以下の点が改正内容として提示されています。
  • 児童発達支援センターの福祉型・医療型の一元化
  • 福祉型における3類型(障害児、難聴児、重症心身障害児)の一元化
  • 専門人材の配置(中核機関としての強化)による加算の新設
  • 児童発達支援センターが未設置の地域における、他施設が中核的機能を担う際に受けられる加算の新設
尚、福祉型・医療型および3類型の一元化後は現行の福祉型を基本として、基準・基本報酬を設定するとしています。経過措置期間を令和9年3月31日までとし、この間は現行の人員、設備下における支援が認められます。経過措置後は、一元化にて設定された基準を厳守する必要があるため注意しましょう。

報酬算定についての新設および改定

児童発達支援センターの機能強化等による地域の支援体制の充実についての改正内容については以下の2つの評価が新設されています。
  • 【新設】中核機能強化加算
  • 【新設】中核機能強化事業所加算
児童発達支援センターが未設置の地域における、他施設が中核的機能を担う際に受けられる加算の新設においては、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスに大きく関係してくる支援なのでチェックしておきましょう。

中核機能強化加算

地域の中核拠点として障害児とその家族に対する専門的かる包括的な支援の提供のために、専門人材を配置している事業所においての評価を中核機能強化加算とします。
〇中核機能強化加算
22~155単位/日
中核機能強化加算は、配置する人材や支援内容によって以下のとおり評価の内容が変わります。
  • 多職種連携による専門的な支援体制や取り組みを行う場合→55~155単位/日
  • 障害児支援に関する専門人材の配置や取り組みを行う場合→44~124単位/日
  • 地域支援や支援のコーディネート専門人材の配置や取り組みを行う場合→22~62単位/日
複雑な内容になっているため、対象となる場合は十分内容を理解しておくようにしてください。

中核機能強化事業所加算

地域における障害児支援の中核拠点として以下の体制や取り組みを行う事業所に対する評価が新設されます。
〇中核機能強化事業所加算
75~187単位/日
  • 市町村との連携
  • 幅広い発達段階に対応する体制
  • インクルージョンの推進体制
  • 相談支援体制等の確保
  • 取り組み内容の公表
  • 外部評価の実施
  • 職員研修の実施
児童発達支援センターが配置されていない地域に関しても、中核機能としての事業所を中心として、包括的な障害児支援が行われることを期待して加算が新設されています。

質の高い発達支援の提供の推進

質の高い発達支援の提供の推進にはついては、特に報酬換算における改定が多いため正確に把握しておく必要があります。

概要

質の高い発達支援提供の推進においては、大きく分けて以下の4点の改正が提示されていました。
  • 総合的な支援の推進と特定領域への支援の評価等
  • 関係機関との連携の強化
  • 将来の自立等に向けた支援の充実
  • その他
その他の項目として、運営基準として以下の内容を求める旨が記載されています。
事業所は障害児等の意思の尊重、こどもの最善の利益の優先考慮の下で、個別支援計画の作成、個別支援会議の実施、支援の提供を進めること
上記の改正内容により、事業所は運営基準として以下を明確化(場合によっては公表)することが求められます。
  • 5領域(「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」)とのつながりを明確化した支援プログラムの作成および公表
  • 自己評価および保護者評価の実施方法を明確化
また、令和5年度末までを経過措置期間と定めていた、児童発達支援センターの食事提供加算において、経過措置期間を令和9年3月末までに延長するとしています。

尚、今回の法改正では基本報酬の支援時間による区分についても改定が行われています。
  • 30分未満→原則除外
  • 30分超1時間30分以下
  • 1時間30分超3時間以下
  • 3時間超5時間以下
上記で区分されるようになるため、今後は個別の利用時間管理が求められるようになります。放課後等デイサービスにおいては、学校休業日の3時間超5時間以下のみが算定対象となるため、注意しましょう。

報酬算定についての新設および改定

質の高い発達支援の提供の推進においては以下の7つの報酬算定について新設・および改定があります。
  • 【新設】支援プログラム未公表減算
  • 【改定】児童指導員等加配加算
  • 【改定】専門的支援加算・特別支援加算
  • 【改定】関係機関連携加算
  • 【新設】事業所間連携加算
  • 【新設】通所自立支援加算
  • 【新設】自立サポート加算
それぞれの内容について詳しく解説していきましょう。

支援プログラム未公表減算

5領域(「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」)とのつながりを明確化した支援プログラムの作成および公表をしない事業所に対して、未実施減算が新設されました。
〇支援プログラム未公表減算
所定単位数の85%算定
支援プログラム未公表減算は、令和7年4月1日より適用されます。

児童指導員等加配加算

児童指導員加配加算において児童指導員の配置は、これまで配置形態や経験年数に関わらず一律で行われていましたが、それぞれの配置形態・勤務年数においてより専門的な評価ができるよう加算内容が改定されました。
〇児童指導員等加配加算
【常勤・専従】【経験年数5年以上】→75~187単位/日
【常勤・専従】【経験年数5年未満】→59~152単位/日
【常勤換算】【経験年数5年以上】→49~123単位/日
【常勤・専従】【経験年数5年未満】→43~107単位/日
その他の従業員を配置した場合→36~90単位/日
児童指導員の配置方法や実務経験によって評価が変わるため、施設側は十分な把握と適切な報酬算定に対応できるよう理解しておきましょう。

専門的支援加算・特別支援加算

現行の専門的支援加算および特別支援加算は、専門的支援体制加算・専門的支援実施加算の2段階に分けて評価される内容に改定されます。
〇専門的支援加算・特別支援加算
専門的支援体制加算→49~123単位/日
専門的支援実施加算→150単位/回
専門的支援体制加算は、理学療法士等専門的な人材を配置することで受けられます。一方、専門的支援実施加算は、専門的人材が個別もしくは集中的な支援を行う際に原則月4回(利用日数に応じて最大月6回)まで加算を受けることが可能です。

関係機関連携加算

関係機関連携加算では、連携内容によって加算が細分化されるようになります。
〇関係機関連携加算
他機関と連携し個別支援計画書の作成等を行った場合→250単位/回(月1回まで)
他機関と個別支援計画書作成等以外で情報連携を行った場合→200単位/回(月1回まで)
児童相談所および医療機関と情報連携を行った場合→150単位/回(月1回)
就学・就職先と連絡調整を行った場合→200単位/回(1回まで)

事業所間連携加算

関係機関連携加算に加え、事業所間の情報連携、調整連携を促す目的で、事業所間連携加算が新設されました。
〇事業所間連携加算
中核となる事業所が、会議開催等の事業所間連携、家族への相談連携、自治体との情報連携を行った場合→500単位/回(月1回まで)
連携する事業所が、情報連携に参画し、連携した情報を共有し支援に反映させた場合→150単位/回(月1回まで)
事業所間連携加算は、主にセルフプランで複数の事業所を利用する障害児が対象となります。

通所自立支援加算

障害児が自分自身で通所や自宅への帰宅ができるようにするため、通所に関する自立支援を行う際の評価が新設されました。
〇通所自立支援加算
60単位/回(算定開始から3カ月まで)
通所自立支援は、障害児の自律的な通所・帰宅をできるよう、職員が付き添って計画的な自立支援を行った場合に加算されます。

自立サポート加算

高校2年生、3年生に対して、卒業後の自立を促すための支援を行う際の評価が新設されました。
〇自立サポート加算
100単位/回(月2回まで)
自立サポート加算は、高校2、3年生に対して、地域企業と連携しつつ相談援助、体験等の自立支援を計画的に行った場合に加算されます。

支援ニーズの高い児への支援の充実

令和6年の障害福祉サービス等報酬における法改正では、医療的ケア児、重症心身障害児、強度行動障害児など、特に支援ニーズの高い障害児に対する支援の充実を図るため、環境整備や評価についての見直しが行われています。

概要

支援ニーズの高い児への支援の充実を図るために、以下の5つの分野において法改正が行われます。
  • 医療的ケア児・重症心身障害児への支援の充実
  • 強度行動障害を有する児への支援の充実
  • ケアニーズの高い児への支援の充実
  • 不登校児童への支援の充実
  • 居宅訪問型児童発達支援の充実
特に大きな見直しとして、重症心身障害児に対して支援を行う事業所の基本報酬における定員の区分設定が挙げられます。

現行は1人単位刻みで区分設定を行っているものが、3人単位刻みに改定されます。同事業所の基本報酬については、時間区分創設の見直しは行われないため注意しましょう。

報酬算定についての新設および改定

支援ニーズの高い児への支援の充実に関して、以下のサービス報酬等が新設および改定されます。
  • 【改定】医療連携体制加算
  • 【新設】入浴支援加算
  • 【改定】送迎加算
  • 【新設】共生型サービス医療的ケア児支援加算
  • 【改定】強度行動障害児支援加算
  • 【改定】個別サポート加算(Ⅰ)(Ⅱ)
  • 【改定】人工内耳用支援加算
  • 【新設】視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算
  • 【新設】個別サポート加算(Ⅲ)
本項目では、特にサービス等報酬の算定において新設および改定されるものが多いため、しっかり内容を把握しておきましょう。

医療連携体制加算

現行では100単位/日で算定されている医療連携体制加算ですが、改定後は250単位/日で算定されることになります。
〇医療連携体制加算
250単位/日
主に重症心身障害児を対象とした支援を行う事業所の場合も、医療連携体制加算が算定可能になります。一方、これまで主に重症心身障害児に対する支援を行っていた事業所の基本報酬に関しては、現行の場合1人単位刻みで行われている区分設定が、改定後は3人単位刻みに変更されます。合わせて、一般の事業所で見直しされる基本報酬の時間区分について、重症心身障害児を主に支援する事業所は対象外とし、見直しは行われません。

入浴支援加算

これまで評価のなかった医療ケア児や重症心身障害児の入浴支援に関して、新たな評価が新設されます。
〇入浴支援加算
55単位/回(月8回まで)
※放課後等デイサービスの場合→70単位/回
発達支援に合わせて入浴支援を行った場合に加算されます。

送迎加算

送迎加算についても、医療的ケアスコアを参考に評価が行われるよう改定されます。

法改正後は以下のサービス等報酬が適用されます。
〇送迎加算
障害児→54単位/回
重症心身障害児→94単位/回
医療的ケア児→94単位または134単位/回
医療的ケア児については、医療的ケアスコア16点以上の場合134単位/回が適用されます。送迎加算については医療的ケア区分による基本報酬以外の事業所でも算定が可能なため、内容をしっかりと覚えておきましょう。

また、児童発達センターおよび主に重症心身障害児の支援を行っている事業所では以下の算定基準となります。
〇送迎加算(主に重症心身障害児の支援を行っている事業所の場合)
重症心身障害児→40単位/回
医療的ケア児→40単位または80単位/回
上記に関しても、医療的ケア児は医療的ケアスコア16点以上の場合のみ80単位/回が適用されます。

共生型サービス医療的ケア児支援加算

法改正によって、医療的ケア児および重症心身障害児に関しても居宅介護の特定事業所加算が評価されることになり、共生サービス医療的ケア児支援加算が新設されることになりました。
〇共生型サービス医療的ケア児支援加算
400単位/日
共生サービス医療的ケア児支援加算では、看護職員等を1人以上配置することを要件として加算が受けられます。

強度行動障害児支援加算

特に専門的な支援が求められる強度行動障害児の支援に、スキルの高い職員を配置している場合の評価をより充実させるために、強度行動障害児支援加算が改定される事になりました。加えて、放課後等デイサービスにおいては、専門人材を配置し強度行動障害児への支援を行った場合の評価が新設されています。

現行では155単位/日だった評価を、2つに分類し以下のとおりとなります。
〇強度行動障害児支援加算
(Ⅰ)児の基準が20点以上の場合200単位/日
(Ⅱ)放課後等デイサービスにおいて、児の基準が30点以上の場合250単位/日。尚、加算開始から90日間は+500単位/日
強度行動障害児支援加算を受ける場合、実践研修修了者(放課後等デイサービスにおいては中核的人材)を配置し、支援計画書を作成の上、支援する必要があります。

児童発達支援の個別サポート加算(Ⅰ)

児童発達支援における個別サポート加算では、現行の際に乳幼児等サポート調査票で該当区分の障害児の支援において加算されていた100単位/日の算定(個別サポート加算Ⅰ)が、重症心身障害児や著しく重度の障害児に対する支援を行った場合に120単位/日を加算するよう改変されます。
〇児童発達支援の個別サポート加算(Ⅰ)
重症心身障害児や著しく重度の障害児に対する支援を行った場合→120単位/日
ただし、主に重症心身障害児を支援する事業所は除くので注意してください。

放課後等デイサービスの個別サポート加算(Ⅰ)

放課後等デイサービスにおいては、現行100単位/日の個別サポート加算Ⅰが、以下のとおり改変されます。
〇放課後等デイサービス個別サポート加算(Ⅰ)
ケアニーズの高い障害児に対する支援→90単位/日
ケアニーズの高い障害児に対して基礎研修修了者を配置し支援を行った場合→120単位/日日
著しく重度の障害児に支援を行った場合→120単位/日
ただし、主に重症心身障害児を支援する事業所は除くので注意してください。

個別サポート加算(Ⅱ)

個別サポート加算(Ⅱ)については、現行では連携対象が児童相談所等とされており125単位/日の加算でしたが、支援対象となる障害児に対して児童相談所やこども家庭センターと連携して支援を行った場合に150単位/日が加算されるようになります。
〇個別サポート加算(Ⅱ)
150単位/日

人工内耳装用児支援加算

人工内耳を装用している難聴児を支援する評価として定められている人工内耳装用児支援加算ですが、現行では445~603単位/日で加算されていたものが、施設の設備や言語聴覚士の配置によって細かく評価されるようになります。
〇人工内耳装用児支援加算
人工内耳装用児支援加算(Ⅰ)…聴力検査室を設置している児童発達支援センター→445~603単位/日
人工内耳装用児支援加算(Ⅱ)…その他のセンター・事業所→150単位/日
人工内耳装用児支援加算を受けるには、医療機関と連携のもと、言語聴覚士を配置して計画的に支援する必要があります。

視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算

視覚、聴覚、言語機能に重度の障害を持つ児への支援を、専門性のある人材を配置して行った場合の評価として、視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算が新設されます。
〇視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算
100単位/日

個別サポート加算(Ⅲ)

放課後等デイサービスにおいて、不登校児への支援を推奨するため、個別支援サポートⅢが新設されることになりました。
〇個別サポート加算(Ⅲ)
70単位/日
個別サポート加算(Ⅲ)は放課後等デイサービスのみが対象となり、通常支援に加え学校との連携支援が必要となるため注意してください。

令和6年度障害福祉サービス等報酬における法改正の内容を確認しておこう

令和6年度障害福祉サービス等報酬における法改正について、前編では児童発達支援センターの機能強化等による地域の支援体制の充実、質の高い発達支援の提供の促進、支援ニーズの高い児への支援の充実について解説してきました。

各項目に、改正や新設されている評価が多々みられます。児童発達支援事業所や放課後などデイサービスに勤める人にとって重要な内容となるため、法改正が施行されるまでに十分理解・把握しておくようにしましょう。

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