療育の仕事に就きたいと思っても「まず何から始めたらいいの？」という人も多いのではないでしょうか。
療育関係の仕事には多くの職種の専門的なスタッフが関わっているため、一口に療育の仕事といっても、さまざまな種類があります。
療育の需要は増えていますが、まだまだ知名度は上がっている途中ですので、今回は療育の仕事についてこの記事で学んでいきましょう。

医師、児童指導員、保育士、介護福祉士、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、臨床心理士など、さまざまな職種の専門スタッフが関わっています。
基本的にはほとんどが専門職ですので、国家資格を取得した後に児童発達支援センター・児童発達支援事業所などの施設で働くことが可能になります。

療育の仕事に就くには、前述した職業になる必要があります。
これらの職業を目指すにはどのような流れを辿ればいいのでしょうか。
一部の職業について、どのような流れになるかをご紹介します。

保育士になるには、まず国家資格である保育士の資格を取得しなければなりません。
保育士の資格は厚生労働省指定の専門学校・大学・短大などの養成施設を卒業すれば、受験などの必要なく取得することができます。
もっとも早く保育士資格を取得できる方法は、2年制の短大か専門学校で、卒業後に保育士として働けるようになります。

保育士も、療育を提供している児童発達支援施設などで働くことができます。
仕事内容としては、成長に不安のあるお子さんたちに対して、日常生活に必要な基本動作の指導や、集団での生活に適応できるように機能訓練を行います。
一人ひとりの発達状態を考慮し、その子の個性にあった療育を提供していきます。

言語聴覚士になるには国家資格である言語聴覚士の資格が必要です。
最終学歴が高校卒業の場合、文部科学省が指定する3〜4年制の大学や短大、または都道府県知事指定の3〜4年制の専修学校を卒業すれば受験資格を得ることができます。
一般の4年制大学を卒業した人は、2年制の専修学校を卒業すれば受験資格を得られます。
または、指定された大学や大学院の専攻科を卒業することでも可能です。

その後は国家資格である言語聴覚士の資格を受験して合格しなければなりません。
言語聴覚士の資格の合格率は60%といわれており、難しいと感じられるかもしれませんが、養成所新卒者の合格率は80%以上となっていますので、養成所でしっかり訓練や勉強に励んでいれば決して難しくはないといえるでしょう。

作業療法士になるには国家資格である作業療法士の資格が必要です。
まず受験資格を得るために厚生労働大臣か文部科学大臣が指定する養成施設で、3年以上学ぶ必要があります。
養成施設の種類は、3年制または4年制の専門学校・3年制の短期大学・4年制大学などがあります。

養成所を卒業した後は、その年に作業療法士資格の受験を受けられます。
その試験に合格すれば、すぐに作業療法士として働き始めることが可能となっています。

理学療法士になるには国家資格である理学療法士の資格が必要です。
そのためには受験資格を取得しなければなりませんので、養成施設で3年以上必要な技術や知識を学んで身につける必要があります。
養成施設の種類としては、3年制または4年制の専門学校・3年制の短期大学・4年制大学などがあります。

受験資格を得たら、理学療法士の国家資格を受験し、合格すれば晴れて理学療法士として働くことができます。

なお、作業療法士の資格を持っている場合は養成施設での期間が2年に短縮されます。
また、外国などで理学療法士の免許を取った場合は、申請を行い厚生労働大臣の認定を受けることができれば、不足した単位を取得するだけで済んだり、養成施設に行かなくて済む場合もあります。

臨床心理士になるには国家資格である臨床心理士の資格が必要ですが、受験のための資格を得るには、一般的に3種類の方法があります。
1つ目は第1種指定大学院を修了して、所定の条件を満たすことです。
第1種指定大学院とは、臨床実務訓練を行うための心理相談機関など養成環境がよく整った大学院で、修了後にすぐ第一次試験を受験可能です。

2つ目は第2種指定大学院を修了し、1年以上の心理臨床経験を積むなど所定の条件を満たすことです。
第2種指定大学院は、第1種指定大学院のように臨床実務訓練を行うための機関などを置いていない大学院です。
修了後には1年の実務経験を積んだ後に第一次試験を受験可能です。

3つ目は臨床心理士養成に特化した専門職大学院と呼ばれる大学院を修了することです。
この大学院を修了すると、すぐ第一次試験を受験可能ですが、その際の論文記述試験は免除になります。

療育のような発達支援の仕事をするときに、働くことになる場所はいくつかの種類があります。

発達に不安のある未就学の子どもに対し、年齢に応じた遊びなどを通して感性や表現力を養うお手伝いをします。
それによって子どもたちができることを増やしていく支援になります。一般的には満18歳までの子どもが対象になります。

どのような支援を行うかは事業所によって異なりますが、運動療法・作業療法・音楽療法などさまざまな支援が提供されており、複数の療法を取り入れている事業所もあります。

放課後等デイサービスは、発達に不安のある子ども（小学生・中学生・高校生）でかつ学校に通っている子たちを対象に、放課後や学校が休みの日に支援を提供する施設です。
支援は基本的に個別支援計画に基づいて行われ、自立支援や日常生活を充実させるための活動を行なっていきます。

家庭の事情で養護を必要としている子どもや、両親がいない子どもが入所する施設が乳児院、児童養護施設になります。
乳児院は0〜1歳の乳児が対象となっており、児童養護施設は2歳〜18歳までの子どもが入所対象となっています。
アットホームな環境で、できるだけ一般の家庭に近い形の環境で、学習指導や生活習慣の指導を行い、自立していけるように支援を行います。

ケアを提供する人と子どもは一緒に暮らすため、保護者代わりのようになります。
そのため、一人ひとりと深く寄り添ったケアが行えるのが特徴です。
子どもによっては長く関わることになるため、その中で信頼関係を大事にしそれぞれの子どものことをよく理解してあげることが重要です。

障害児入所施設は、心身に障害を持っている0歳〜18歳の子どもが入所する施設で、学習面での教育や日常生活の指導・トレーニングを提供します。
18歳を超えた場合でも、引き続き支援が必要だと判断された場合、満20際までは延長して利用することもできます。

保護者が養育することが難しいからと入所になることが多いですが、両親などの虐待から入所に至ることもあります。
1日程度の短い滞在を行なっている施設もあります。