保育士として日々の業務を行っているなかで「このままでいいのかな」と不安を感じることはないでしょうか？より専門性やスキルを高めるために、新しい知識や技術を身につけたいと思っている人も少なくないでしょう。

そんな人におすすめなのが児童発達支援士の資格です。

まずは、児童発達支援士の資格について紹介していきます。

児童発達支援士は、一般社団法人　人間力協会が主催している資格です。発達障害をはじめとする児童発達や、脳科学や心理学に基づいた実践的なアプローチ方法についても学ぶことができます。

発達障害児に関わらず、子どもと関わる機会の多い職種で知名度が高く、教員や医療従事者、療育関係などに勤める人から人気の資格です。

特に、保育士が関わる0～6歳までの子ども達は発達にばらつきがあります。そんな子ども達をサポートする際に、どのようなアプローチ方法が効果的なのか等が分かるようになるため、保育士が児童発達支援士資格から得られるものは大きいでしょう。

児童発達支援士の資格は、国家資格ではなく民間資格です。

民間資格でありながらも、教育分野や療育分野では知名度の高い資格と言えます。特に療育分野では療育の専門資格が国家資格にはないため、民間資格でも重要視されることが多いです。

児童発達支援士は、子どもと関わる機会の多い人にとって役立つ資格です。そのなかでも、保育士が取得するメリットについて紹介していきます。

保育士はキャリアアップの難しい職種と言えます。一般的な保育士の役職は園長、主任保育士、副主任保育士、職務別分野別リーダー、先任リーダーの5つです。政府の取り組みとしてキャリアアップ研修なども行われていますが、現場にはあまり浸透していないのが現状と言えるでしょう。

そんななか、保育士がキャリアアップを目指すには、自己研鑽が必要です。資格を取得すれば、新しい知識を得るため勉強に取り組んだ事実を可視化できます。特に児童発達支援士は教育業界でも知名度が高いため、キャリアアップの実績としても認められやすいでしょう。

保育士として子ども達と向き合っていると、思い通りにならないことも少なくないです。遊びの時間が終わりなのに止められない、お友だちと喧嘩をしてしまう、集中して話を聞けないなど、発達途中の子ども達に振り回されてしまうこともあります。

保育するクラスのなかには、発達障害の疑いがある子どもや発達グレーゾーンと言われる子どもがいることもあるでしょう。

児童発達支援士の知識は、発達途上の子ども達に対する脳科学や心理学に基づいたアプローチ方法を学ぶ際に最適です。発達障害の有無に限らず、何らかのトラブルを起こしやすい子どもに対するアプローチを考えるヒントにもなります。

子ども達の苦手を補い、どうすれば円滑に日常生活を送れるようになるのかが分かると、日々の業務もスムーズに行えるようになるでしょう。「どうして言うことを聞いてくれないのか」「もしかして自分は保育士に向いていないのかも」そんな不安を抱えている人に最適な資格です。

保護者にとって保育士は信頼を寄せる存在です。保育のプロとしてはもちろん、自分の子どもを共に育んでくれる存在として、保育士を信頼している保護者は少なくないでしょう。

しかし、発達障害が世間に認知され始めたのと同時に、子どもの発達を心配する保育士と障害があることを認めたくない保護者の間に軋轢が生まれるケースが多く聞かれるようになりました。

発達については、個性や成長スピードの差も大きいため大変デリケートな問題です。保育士として発達障害について学んだとはいえ、専門性に自信が持てず「もしかして発達障害かもしれない」という子どもがいても「違っていたらどうしよう」と、支援に繋げられないこともあります。

児童発達支援士の資格では、発達障害や発達グレーゾーンについても専門性の深い内容を学びます。専門性を持っていれば、保育士も自信を持って保護者に現状を説明できるでしょう。また、保護者にとっても有資格者ということで、信頼を寄せてもらいやすくなります。

自信を持って支援へ繋げるよう、保育士にとって発達に関する専門性を持つことが重要とされているのです。児童発達支援士は、発達障害について専門性を持ち保護者の信頼を得たいと考える保育士にもぴったりです。

児童発達支援士は、取得した資格として履歴書に記載することができます。そのため、転職を考える際、有利に働くこともあるでしょう。

特に療育業界に転職を検討した場合、保育士は大変重宝されます。それに加えて児童発達支援士の資格を持っているとなれば、未経験でも歓迎されることが多いです。

児童発達支援士の資格を取るとメリットがあることが分かりました。続いては、児童発達支援士資格の取り方について紹介していきます。

児童発達支援士の資格を取得するには、一般社団法人　人間力協会が販売している通信講座を受講する必要があります。児童発達支援士の資格試験は通信講座とセットで販売されているため、試験を受けるためにも通信講座の受講が必須です。

通信講座では、テキスト、ワークブック、動画を用いて勉強を進め試験に挑みます。受講期限は8ヵ月あるため、自分のペースで勉強を進めていけるでしょう。試験結果が不合格になってしまっても、再受験が認められているため、受講期限内であれば何度でも試験に挑戦できます。

児童発達支援士の通信講座受講期限は8ヵ月ですが、実際にそこまで多くの勉強量が必要という訳ではありません。一般社団法人　人間力協会の公式ホームページやブログによると、通信講座の平均受講期間は2カ月程だそうです。また、最短1週間で受講を終えた受験生もいるとのことなので、直ぐにでも資格を取得したい人にも最適でしょう。

勉強時間の目安は約15～30時間程度。一日1～2時間勉強すれば、1ヶ月で受講を終えることもできます。

児童発達支援士の資格取得に必要な費用は以下のとおりです。

費用は受講料と試験料を合わせて51,470円（税込）ですが、同団体の専用ページから申し込みを行うと10,000円の割引を受けられます。とてもお得に受講できるため、申込は専用サイトから行うのがおすすめです。

ちなみに、同団体が主催している「発達障害コミュニケーションサポーター」の資格取得を目指す通信講座を同時に申込みすると、受講料金が20,000円割引になるそうです。発達障害に一歩踏み込んだ内容まで学習したいなら、発達障害コミュニケーションサポーターの資格も同時に検討してみるのがよいでしょう。

受講料金はクレジットカード支払いに対応しており、分割支払いも可能です。そのほか、銀行振込で支払うこともできるため、クレジットカードを持っていない方も安心して申し込みできます。

世の中には多くの資格がありますが、なかには通学や研修が必要なものもあります。保育士として勤めていると、外部での勉強はハードルが高いでしょう。

児童発達支援士は通信講座で勉強を進めるため、保育士として働きながらでも資格取得を目指せます。

児童発達支援士は保育士に義務付けられている資格ではないため、資格を取得したからといって資格手当などを支給されるケースは極めて少ないです。しかし、勉強している姿勢や通常業務に対する姿勢を評価されることで役職が付き、給与に反映される可能性はあります。

児童発達支援士は保育士に義務付けられている資格ではないため、資格を取得したからといって資格手当などを支給されるケースは極めて少ないです。しかし、勉強している姿勢や通常業務に対する姿勢を評価されることで役職が付き、給与に反映される可能性はあります。

児童発達支援士の資格を持つ保育士の転職におすすめの療育業界とは
児童発達支援士資格を持つ保育士が転職をするなら、療育業界がおすすめです。しかし、療育や発達障害について大まかな概要は知っているものの、詳しくはよくわからないという人も少なくないでしょう。

まずは、療育や発達障害について簡単に解説します。

療育は、発達に遅れが見られる子どもや発達障害を持つ子どもに対する支援です。さまざまな特性を理解し、社会生活で自立することを目的として日常生活訓練や学習支援を行います。

小学校低学年位までに行う療育を早期療育と呼び、早期療育を適切に受けることで子どもの発達は飛躍的に進むことも期待できると言われています。

療育施設は大きく3つに分類されています。それぞれの違いは以下のとおりです。

児童発達支援センターでは小学校就学前までの子どもを対象に療育を行います。入所している子どもはもちろん、地域の包括的なサポート事業にも取り組むため、近隣の保育園や幼稚園と連携して児童発達支援をする点が特徴です。

また、児童発達支援センターには福祉型と医療型の2つがあり、医療型では発達障害に限らず、心身に障害を持つ子どもの自立支援を行います。

児童発達支援事業所は、児童発達支援センターと同じく小学校就学前までの子どもを対象に療育を行います。児童発達支援センターが地域を包括的に支援するのに対して、児童発達支援事業所は地域に根ざして支援に取り組むのが特徴です。

そのため、同じ地域にいくつも児童発達支援事業所があることも多く、施設によって特色も異なります。

放課後等デイサービスでは、小学校1年生相当～18歳までの子どもを対象に療育を行います。普段は学校に通い、放課後に事業所で療育を行うのが特徴です。そのほか、学校の休校日や長期休校期間中などにも療育を行い、学習支援にも積極的に取り組みます。

発達障害とは、生まれつき脳の発達に遅れや過敏性・鈍感性などが生じる障害です。特性と呼ばれるこだわりを持っているケースが多く、特性が強ければ適切な支援を受けて自立的な社会生活を送れるよう訓練（療育）を行う必要があります。

近年、発達障害についてさまざまなことが解明され、世間での認知も広がっています。子ども達のなかには、大人が気付かないだけで発達障害やそれに準ずる発達の遅れが見られる子どもが1クラスに2人の割合で存在しているとも言われています。

最後に、児童発達支援士の資格を持つ保育士が療育業界で求められている理由を紹介していきましょう。

療育において保育士に求められる役割は、一般的な保育園とそう大きな違いはないでしょう。子ども達を見守り、保育し、生活面や療育におけるサポートを主な業務として担います。

一方で、発達障害を持つ子ども達を保育する難しさもあります。特性を理解せず、健常児と同様に対応すると、子ども達は「集団生活が辛い」「自分を理解してもらえない環境に居たくない」と心に大きな傷を抱えてしまうこともあるでしょう。

療育業界において保育士に求められるのは、発達障害を理解したうえで行われる保育です。保育士としてのスキルを持ち、児童発達支援士の知識を持つ人材以上の適任者はいないでしょう。

保育士のなかには「子どもが好きだから」「子どもに関わる仕事をしたいから」という理由で志した人も少なくないでしょう。

療育は、子ども達の発達に寄り添い、成長を見守る仕事です。子どもが好き、という理由で保育士を志した人なら、日々を楽しんで仕事に取り組む事ができます。

近年、発達障害の診断数が増加するのに伴い、児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業も急増しています。療育施設の人員配置には、常駐の保育士の存在が必須であることから需要が高まり、業界では人手不足の状況に陥っているのです。

療育業界では保育士は貴重な人材として求められているため、自分の希望する就業条件の職場を探すことも難しくないでしょう。勤務面、給与面などにこだわって転職したいという人におすすめです。

児童発達支援士資格は、保育士として保育園に勤める人には勿論、転職先として療育業界を希望する人にもぴったりな資格です。ぜひ、児童発達支援士と保育士の資格を活かして、療育業界で活躍してみませんか？