社会福祉系の大学に通っており、介護や保育、障害者支援などの分野に就職を希望している人もいるでしょう。社会福祉分野は、一般的な就職活動と異なる点もある職種です。

そのため、社会福祉業界に就職を希望しているものの、どのように進めれば分からないと悩んでいる就活生も少なくありません。

そこで、今回は社会福祉業界の就活について徹底解説します。介護、保育、障害者支援など、社会福祉業界に就職を希望している学生の方は、ぜひ参考にしてみてください。

外資系なら英会話、IT系ならITスキルを求められるように、就職したい業界によって必要とするスキルは異なります。社会福祉業界で就職したい場合は、どのようなスキルが必要とされるのでしょうか。

資格がないと就職できないのか、最低限どのようなスキルを持っておくと入職時に役に立つのかなどを最初に解説します。

保育士や社会福祉士など、社会福祉業界のなかでも国家資格を必要とするものは多々あります。一方で、社会福祉業界では未経験者を歓迎する求人が多いのも事実です。

特に、卒業する大学によっては児童指導員の任用資格を得られる場合もあるため、業種によっては未経験でも即戦力として働くことができます。特に、障害者支援の分野においては、児童指導員の任用資格があれば、それだけで求人の選択肢も多く持つことができます。

社会福祉の仕事は、さまざまな人に関わる仕事です。そのため、資格はもちろんですがそれ以上に仕事に対する熱意や人柄、他人への接し方を評価されることが多いでしょう。

もちろん、専門的な分野において資格を求められるケースもあるため、自分自身がどのような業務を担っていきたいのかによって必要な資格は異なります。

社会福祉の仕事は直接的に人と関わる業務が多いです。しかし、それだけではありません。
支援の計画書や記録、日報、個人情報の管理などパソコンを使って行う書類作成業務も想像以上に多いです。専用のシステムを使っているケースもありますが、どちらかと言えばWordやExcelなどの一般的なソフトを利用している施設が少なくありません。

WordやExcelなどのソフトを扱える基礎的なパソコンのスキルを身に付けておくことがおすすめです。

一般的な就職活動は内閣官房が推進している「卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請事項」によって大まかなスケジュールが定められ、企業に対して「要請」という形で告知されています。

企業が新卒採用を行う際の基本的な就活のスケジュールは以下のとおりです。

しかし、実際は大学3年生の春からインターンシップを活用した就職活動が始まっていたり、リファラル採用（紹介採用）によって企業とコンタクトをとったりする大学生が多くいます。業界によっても、就活が始まるタイミングは異なり、一般的なスケジュールだけを鵜呑みにしてしまうと出遅れてしまうリスクもあるでしょう。

社会福祉業界では、通年求人を出している法人や運営会社が大変多いです。特に、介護・障害者支援の分野においては人手不足なこともあり新卒採用にこだわらず年中採用活動を行っているケースが過半数を超えます。
そのため、「絶対にこの施設で働きたい」「この役職として入職したい」などの希望がないのであれば、一般的な就活スケジュールに沿わなくてもある程度の求人は見つかるでしょう。

そのなかでも、特に求人数が多くなるのが1～3月頃です。より多くの求人のなかから、自分の条件に合う求人を見つけたいと思う人は大学3年生の1～3月に就活をはじめ、一般公開されているものも含めて求人を探してみるのがおすすめです。

インターンシップとは、就職活動の一環として実際に企業で短期間就業しながら、その業種について学んだり、組織の風土を確認したりする、いわば「職場体験」のような制度です。一般企業では、多くの企業が採用活動の一環としてインターンシップを受け入れています。

新卒採用に力を入れている保育業界ではインターンシップ制度が比較的多く見られるものの、介護業界では運営母体が大きい団体でのみ行われていることが多いです。また、障害者支援業界においては、ほとんどみられません。

一般的に、社会福祉系の就活時期は遅いと言われています。これは、社会福祉系が他の業種よりも新卒採用のために動きだすのが遅いという訳ではありません。

社会福祉業界では慢性的な人手不足から、通年求人を出していることが一般的です。そのため、いつ就活を始めても、何かしらの求人はみつかるだろうという意味合いで「社会福祉系の就活は遅い」と言われることが多いのでしょう。

社会福祉系の就活をする際には、業種によって抑えるべきポイントが異なります。自分が進みたい分野に合わせて就活を計画的に進めていきましょう。

介護系の福祉職に就職を希望する場合、どのような資格を持って入職できる見込みなのかも重要です。介護福祉士や社会福祉士など、新卒として入職する際にどのような資格を持てる可能性があるのかによって給与条件などが異なる事もあります。
自分が取得予定の資格について、しっかりと検討しておきましょう。

ただし、資格がない場合でも介護系での求人は多くあります。それは、介護系の資格では実務経験を必要とするものが多いからです。無資格で入職しても、実務経験を詰んで資格を取得できますし、施設によっては資格取得のためのフォローアップ制度（費用の補助など）を採用しているケースも増えて来ました。

介護施設にもさまざまな種類があるため、自分自身の資格、今後どのように働いていきたいかなどのライフプランなども踏まえてよく考え、理想の求人を探すのがよいでしょう。

福祉系のなかでも特に新卒採用を盛んに行う保育業界。保育士として働くには、保育士資格が必要なため、保育士国家試験を受験し合格して入職する必要があります。試験に落ちてしまうと、内定取り消しになる可能性もあるため、就活と同時に国家試験対策を充分にしておくことも大切です。

保育士と言えば、一般的に保育園やこども園に勤めることをイメージする人が多いですが、実は福祉業界のさまざまな分野で保育士の需要があります。

その他、一般企業の託児所や、病児保育所など、さまざまな選択肢があります。自分自身が保育士としてどのように働きたいのかを考え、求人を選ぶことが大切です。

障害者支援系では、特定の条件を満たした大学を卒業することで得られる児童指導員任用資格をもって入職するか、その他の専門的な資格を持って入職するのかによって、働き方や給与条件に大きな違いがでます。

障害者支援分野では、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、公認心理士（臨床心理士）、看護師などさまざまな専門職が活躍します。これらの資格所持者は特に需要が高いです。資格職の求人を重点的に探し、より希望条件に沿う求人を選ぶことができるでしょう。

一方、児童指導員として勤める場合も、実務経験を詰むことでサービス管理責任者や児童発達支援管理責任者などへのキャリアアップが可能です。正社員として入社できる求人を探し、実務経験を詰むことを目標に据えて求人選びをするのがおすすめです。

社会福祉系で就活する場合、「インターンシップ」「就活フェア」「求人サイト」の3つの方法があります。それぞれの特徴を知り、自分に適した就活を行いましょう。

保育系や大規模な運営母体が有する介護施設などに就職を希望している場合は、インターンシップ制度を利用するのがおすすめです。インターンシップは企業のホームページや就活エージェント、大学のキャリアセンターなどを利用して探すことができます。

また、希望する職場で知人が働いている場合、リファラル（紹介）制度を利用して特例的にインターンシップを受け入れてもらえることもあるでしょう。

就活フェアでは、新卒採用を行っている企業などが一同に介し、採用活動を行います。就活をしている人にとっても、求職活動ができる絶好のイベントです。福祉業界では、保育系の就活フェアが盛んに開催されていましたが、近年介護についても就活フェアに参加する法人が増えて来ました。

社会福祉系では、通年求人が出ていることが多いです。そのため、一般の求人サイトを利用して就活をするのもよいでしょう。ただし、社会福祉系の求人サイトでは、新卒採用に限らず「すぐ入職できる人材」を求めているケースも多々あります。

新卒採用に関しては、例年1～3月にかけて増加するので、タイミングを見計らって利用するのがおすすめです。

また、求人サイトを利用するのであれば、エージェントやコーディネーターが求人探しをサポートしてくれるサービスを提供しているサイトを利用するのがおすすめです。一見、即入職できる人材のみ募集している求人でも、新卒での入職を希望していると問い合わせれば将来的な人材不足解消を見越して応募条件を融通してくれるケースもあります。エージェントやコーディネーターに新卒入職したくて求人を探している旨を相談すれば、施設側とかけあってくれることもあるでしょう。

社会福祉の仕事は人と関わり、困っている人を助ける仕事です。社会のなかで必要とされ、欠かせない仕事とも言えるでしょう。そんな社会福祉系の仕事を目指す方の多くが「人の役に立ちたい」という気持ちで、業界を志しています。

就活においても、社会福祉系の仕事を目指す初心を忘れず、自分の理想にぴったりな求人を見つけてくださいね。