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発達障害とは?種類や特徴・チェックリストも【理解を深めよう】

発達障害
「うちの子、他の子と比べると少し変わってる?」
子育てをしていると、フと思う瞬間もあるのではないでしょうか。子供の発達は十人十色、個性もさまざまです。少し変わっている部分も含めて愛おしいと思う親御さんも多いでしょう。

しかし、近年広く知られるようになってきた「発達障害」という言葉にドキっとしてしまう方も少なくありません。「うちの子は発達障害ではないか?」と脳裏を過るケースもあるでしょう。

この記事では、発達障害がどのような障害なのかを詳しく解説します。発達障害について正しい理解を深めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

発達障害とは

発達障害の正式名称は広汎性発達障害(こうはんせいはったつしょうがい)と言い、主に脳の働き方が健常な人とは異なることから起こる障害と考えられています。

発達障害者支援法においては以下のように定義されています。
自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発言するもの
参考URL:発達障害者支援法/文部科学省
遺伝性があるのか、環境の変化によって起こるものなのか等、今も研究が進められており、未知な部分の多い障害です。

大人の発達障害や有名人のカミングアウトによっても話題に

発達障害が広く知れ渡るようになってきたのは、2010年頃に「大人の発達障害」が注目を集めたことが影響していると考えられます。

大人の発達障害とは昔から「少し変わった子」と言われてきた子供が、大人になって生きづらさを感じ発達障害であったことが判明するケースです。「職場で上手く人間関係を築けない」「ミスを何度も繰り返してしまう」など、その人の人間性や不注意が由来していると思われていたものが、発達障害によるものだと分かり支援や治療に繋がるケースも増加しています。

また、発達障害の知名度が広まった背景には、有名人によるカミングアウトも要因のひとつと言えるでしょう。

世界的スターのウィル・スミスは自身がADHD(注意欠如・多動性障害)と失語症を併せ持つ広汎性発達障害であることを公表していますし、プロ野球選手のイチローさんも自閉症スペクトラム症であることを公表しています。

文部科学省が行った統計調査によると、小中学生の8.8%に「学習面又は行動面で著しい困難を示す」という結果がでています。これらの困難が発達障害に由来しているものであれば、10人に1人、1クラスに約2人発達障害を持つ子供がいる可能性もあるという結果です。

発達障害は、正しく理解し適切な支援を受けることが重要です。「障害」という言葉を聞いて尻込みしてしまう人も多いでしょうが、まずどのような困難を持つのかを多くの人が理解したうえで、発達障害者に対する合理的配慮が求められます。
参考URL:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する 調査/文部科学省

発達障害の種類と特徴とは

発達障害(広汎性発達障害)は主に以下の4つに分類されます。
  • 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)
  • 注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)
  • 限局性学習症/限局性学習障害(SLD)
  • その他の脳機能障害
続いては、それぞれの障害の特徴をみていきましょう。

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)

これまで「自閉症」「アスペルガー症候群」などと呼ばれていましたが、2013年に「自閉スペクトラム症」および「自閉症スペクトラム障害」として統一されました。

自閉スペクトラム症および自閉症スペクトラム障害は主にコミュニケーション能力や社会性の発達に遅れが見られる障害で、言葉の発達などは平均的であるケースが多いため発見されにくい発達障害のひとつです。

自閉スペクトラム症および自閉症スペクトラム障害の特徴の一例を紹介します。
  • 他人とのコミュニケーションが苦手
  • 社会のルールなどが理解しにくい
  • 興味にかたよりがあり1つのものに執着しやすい
  • 手先が不器用
  • 体のバランスをコントロールするのが苦手
成長とともに「友達が作れない」「一方的に話をしてしまう」「関心を持ったものから離れられない」などの様子から、発達障害の疑いに繋がるケースも少なくありません。

注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害

従来は「注意欠陥・多動性障害」と呼ばれていましたが、2013年に「注意欠如・多動症」および「注意欠如・多動性障害」として正式名称が変更されています。英語表記の頭文字をとってADHDと呼ばれることもあり、大人の発達障害としても広く知られている症名です。

注意欠如・多動症および注意欠如・多動性障害の特徴の一例を紹介します。
  • 集中するのが苦手
  • じっとしているのが苦手
  • 不注意を起こしやすい
  • 考えるよりも先に体が動いてしまいやすい
注意欠如・多動症および注意欠如・多動性障害は注意欠如と多動性のどちらかの特徴が強く現れる場合と、どちらも混合して現れる場合があります。特に、集団生活において「椅子に座って先生の話を静かに聞けない」「忘れ物が多い」などの困難から、発達障害の疑いに繋がるケースも多いです。

限局性学習症/限局性学習障害(SLD)

従来は「学習障害」と呼ばれていましたが、2013年に「限局性学習症」および「限局性学習障害」として正式名称が変更されています。

限局性学習症および限局性学習障害は、読む・書く・聞く・計算する・推論するなどの行動に困難があり、症状の見られる内容によってさらに細かく分類されます。
  • ディスグラフィア…読字障害。字を読むことや聞くことに困難がある
  • ディスグラフィア…書字障害。字を書くことに困難がある
  • ディスカリキュア…算数障害。計算や推論に困難がある
限局性学習症および限局性学習障害は、コミュニケーション能力や社会性の発達に問題がないことも多く、早期発見がとても難しい発達障害です。就学に際して「努力しても学習能力が上達しない」などの問題から発達障害を疑われるケースも多く聞かれます。

その他の脳機能障害

自閉症スペクトラム・注意欠如・衝動性障害・限局性学習障害以外にも、トゥレット症候群や吃音症も発達障害の一種です。また、発達障害にはカテゴライズされないものの、発達障害との関連性が深いと考えられている症状もあります。

トゥレット症候群

トゥレット症候群はチック症が1年以上継続した場合の症名です。チック症とは、自分の意思とは関係なく体が動いたり発声してしまったりする症状を言います。

運動によるチック症では貧乏ゆすりのような行動が起こることも多いです。また、発声によるチック症では静かにしなければいけない状況で声を上げてしまうこともあるでしょう。全て自分の意思とは関係なく起こっているため、コントロールができず周囲に注意されることで悪化してしまうケースもしばしばあります。

チック症の多くは幼少期に起こり成長と共に消滅していきますが、1年以上継続しトゥレット症候群の診断が降りることで発達障害が疑われます。

吃音症

吃音症はスムーズに発語することに困難をもつ症状です。何度も同じ音や言葉を繰り返してしまったり、言葉を間延びさせてしまったりと、他人にとって聞き取りづらい話し方をしてしまいます。いわゆる「どもり」と呼ばれる話し方で、幼少期は特にからかわれたりするケースが少なくありません。

自分の意思でコントロールできないため、からかわれたり注意されたりしても治すことができず、話すことへの恐怖心などを感じてしまう人も多いです。

感覚過敏

感覚過敏は、視覚、味覚、嗅覚、触覚などさまざまな感覚を過敏に感じ取ってしまう症状です。感覚過敏だからといって発達障害を断定できる訳ではありませんが、発達障害を抱える人のなかには感覚過敏の症状を併せ持つ人が多い傾向にあります。

特に聴覚や視覚に過敏性を持つケースが多く、通常なら必要な感覚を取捨選択して感じ取るものに対し、全ての感覚をストレートに感じてしまうことで困難がみられることも多いです。

てんかん

てんかんは、脳内で異常な神経興奮が起こり意識障害やけいれんなどを発作的におこしてしまう症状です。てんかんだからといって、発達障害を断定できる訳ではありませんが、発達障害を抱える人のてんかん併存率は高いことが分かっています。

発達性協調運動障害

発達性協調運動障害とは、体の各部は何も問題がないものの、それらの部位を統合して動かす協調運動に困難を持つ障害です。発達性協調運動障害だからといって発達障害を断定できる訳ではありませんが、発達障害を抱える子どもの多くに発達性協調運動障害が見られます。

発達性協調運動障害は、適切な支援や合理的配慮を受けることで困難を解消できるケースが多い一方、障害とは気付かず「繰り返せばできるようになるはず」など根拠のない訓練で挫折感などを感じ二次障害を起こすケースも珍しくありません。

発達障害は複数の障害を併せ持つケースもある

発達障害の種類について紹介しましたが、発達障害だからといってどのような症名が当てはまるのかを必ずしも明確に分類できる訳ではありません。自閉症スペクトラムとADHDと感覚過敏を併せ持つ人や、ADHDとてんかんを併せ持つ人など、複数の障害を併存しているケースが多いです。

特に、感覚過敏、てんかん、発達性協調運動障害は併存率が高く、発達障害を抱える人に多くみられる脳機能障害です。

発達グレーゾーンとは

近年使われるようになった「発達グレーゾーン」という言葉をご存知でしょうか。これは、発達障害の特徴が見られるものの、診断基準を満たさず発達障害児として扱われない子供達を指す際に使われるようになった言葉です。

発達は個人差が大きく、特に幼少期は発達障害の診断が困難であると言われています。ギリギリで診断基準を満たさなかった子どもが健常児と同じ教育を受ける中で、自信喪失や自己肯定感の欠如などの二次障害を起こすケースも少なくありません。

発達グレーゾーンと呼ばれる子ども達への支援の必要性を求める声も高まっています。

発達障害は親のチェックで見つけられる?支援機関に相談する際のチェックリスト

発達障害は早期発見し療育を受けることが望ましいと考えられていますが、幼少期は子どもの発達スピードに個人差があります。障害による問題行動なのか、環境や心理など外的要因のある問題行動なのかを親が判断するのは難しいでしょう。

発達障害に関わらず、子どもの発達に関する相談は公的機関でいつでも受けられます。問題のある行動を見つけて不安に思った時には、いつでも相談サービスを利用してください。

また「気にする程でもないかもしれないし…」と、相談を躊躇している場合は以下のチェックリストで判断してみるのもおすすめです。
ADHDチェックリスト
・問題と思える行動が6カ月以上続いている
・子どもの発達水準とくらべて問題行動の出方が著しく多い
・さまざまな環境で問題行動が見られて、少なくとも2カ所以上で起こっている
・子どもの年齢が12歳以下で複数の問題行動が見られる
・問題行動が家庭や学校などの機能の妨げになっている
ASDチェックリスト
・さまざまな環境や状況でコミュニケーションに問題が見られる
・同じ行動(言葉)を繰り返す・強いこだわりがある・決まったものに執着する・感覚過敏や感覚鈍感がある、これらの症状が2つ以上ある
・0~4歳以下から上記2つの症状が見られる
尚、限局性学習障害に関しては、就学した8歳頃から発覚するケースが多く、子どもに症状を聞き取ることもできます。学習面での問題が6カ月以上続く場合には専門機関に相談してみるのもよいでしょう。

子どもが発達障害かも?と思ったら

発達障害に関しては、住まいの自治体にある発達障害者支援センターという専門機関に相談するのがよいでしょう。発達障害者支援センターでは、発達障害に関する相談支援や直接支援を行っています。

そのほか、子育て支援センター、保健センターなどでも子育てや発達障害についての相談ができるので、まずは気軽に相談してみてください。

発達障害について理解を深めよう

認知度が高まり「発達障害」という言葉だけが知られてゆくなかで、障害について誤った知識や偏見を持っている人も少なくありません。発達障害は病気のように治るものではありませんが、適切な支援や合理的配慮を受けることで健常な人と同じように生活をしたり、自分の特性を受け入れて生きる方法を学んだりすることもできます。発達障害について、正しい知識を得て理解を深めていきましょう。

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