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学習障害ってどんな障害?種類や症状・困り事・支援方法も徹底解説

学習障害は発達障害のひとつです。発達障害による特性が原因で学習に困難がみられ、社会生活を営む上で必要な、読む、書く、計算するなどの行動に合理的配慮を必要とするケースも多い傾向にあります。

今回は学習障害について詳しく解説します。特性ごとに異なる学習障害の違いや学習障害を持つ人に多くみられる特徴、診断方法、学習障害の子供と関わる際のポイントなども紹介しています。ぜひ、参考にしてみてください。

学習障害(LD)とは

学習する女の子
学習障害とは、知的発達に遅れがないにも関わらず、読む、書く、計算するなどの学習行動に困難がみられる障害です。

困難を持つ学習行動によって「読字障害(ディレクシア)」「書字障害(ディスグラフィア)」「算数障害(ディスカリキュア)」の3つに分別されます。

学習障害(LD)と限局性学習障害(SLD)の違い

これまで、発達特性によって「読む」「書く」「計算する」などの学習行動に困難を持つ症状を「学習障害(LD)」としていましたが、精神疾患の診断に用いられる国際マニュアルDSM-5の改訂により、これらの症状の正式名称が「限局性学習障害(SLD)」と定められました。

どちらも同じ意味で使われていますが、学習障害の方がより広域で使用されること、さらに広く知られていることからこの記事では「学習障害(LD)」の名称を使用します。

学習障害(LD)と知的障害(ID)の違い

知的障害とは、知的機能に困難を持つ障害であり、診断基準のひとつにIQ70以下であることが定められています。学習だけでなく、日常生活における実用的な適応機能に関しても困難が見られることが多いです。

学習障害の診断基準のひとつとして「知的障害を持たないこと」が挙げられるため、基本的に学習障害と知的障害は併存しません。

一方で、知的障害の診断を受けないもののIQが平均よりも低いとされる「境界知能(知的ボーダー)」と呼ばれる人々がいます。境界知能のIQは70~85と定義されており、平均知能であるIQ85~115に及びません。

学習障害者のなかには、このような境界知能の人々も含まれている可能性があり、この場合、医学的な知的障害としての診断はつかないため、学習障害として診断を受けている可能性があります。

学習障害(LD)と他の発達障害(ASD・ADHD)は併存する?

学習障害の定義によって、学習障害と知的障害は併存しないと考えられています。

一方で、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などの他の発達障害に関しては併存することがあります。特に、自閉スペクトラム症と学習障害の併存率は比較的高いと考えられており、お互いの特性によってより学習に対する困難が生まれているケースも少なくありません。

すべての学習障害児に自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症などの発達障害が併存している訳ではありませんが、学習以外の面に関する発達特性についても注意深く観察し、特性に適した支援を提供する必要があります。

学習障害(LD)の種類

さまざまな種類のイメージ
学習障害は主に、以下の3種類に分類されます。

読字障害(ディレクシア)とは

読字障害(ディレクシア)は、字を読む事に困難を持つ学習障害です。文字の形や読み方を認識することが難しく、同じ読み方をする字(「わ」と「は」など)への理解に困難がみられるケースも少なくありません。

読字障害(ディレクシア)によくみられる症状
  • 「ね」と「れ」、「め」と「ぬ」など、見ている文字の区別がつかない
  • 「は」と「わ」、「え」と「へ」など同音異義な文字が理解できない
  • 文字を読むのが極端に遅い
  • 文字としては読めるもののまとまった文章として読めない
  • 句読点や括弧などの使い方が理解できない
  • 文字は読めるものの文章の意味を理解できない

書字障害(ディスグラフィア)とは

書字障害(ディスグラフィア)とは、字を書く事に困難を持つ学習障害です。文字を読む事ができるのに、書く事ができないというケースも少なくありません。時間をかければ文字を書ける人も多いですが、バランス良く文字を書く事ができず、マスをはみ出したり適度な大きさで文字を書けなかったりします。

書字障害(ディスグラフィア)によくみられる特徴
  • 鏡文字になる
  • 板書が極端に苦手
  • 考えたことを文章として書く作業が苦手
  • マスのなかに文字をおさめるのが苦手

算数障害(ディスカリキュア)とは

算数障害(ディスカリキュア)とは、計算をはじめとする算数に関する学習行動に困難を持つ学習障害です。単純に計算ができないだけでなく、推論する事に困難があるため、文章問題や図形を用いた算数問題などにも困難がみられます。

算数障害(ディスカリキュア)とよくみられる特徴
  • 単位の概念が理解できない
  • 数字の大小が理解できない
  • 計算が極端に苦手
  • いつまでも九九を覚えられない
  • 文章問題で何を問われているのか理解できない

学習障害(LD)の診断方法

医師のイメージ
学習障害の診断を受けるためには、発達障害の診断が可能な医療機関を受診する必要があります。医療機関については、発達障害者支援センターや各自治体の障害福祉課などに相談すれば、最寄りで発達障害の診断が可能な医療機関を教えてもらえるでしょう。

発達障害は大人の場合、精神科や心療内科などで診断を受けられます。子どもの場合は小児科、小児神経外科、児童精神科などを受診しましょう。

診断の際の検査として、日常生活についてのヒアリングや知能検査、発達検査、心理検査などが行われます。
発達障害の多くは、初診から診断がでるまで数日から数カ月と長い時間がかかります。発達障害についての明確な原因が判明していないからこそ、さまざまな検査や観察を経て慎重に診断する必要があるのです。

学習障害に早期療育が必要とされる理由

低年齢のイメージ
発達障害全般において、近年は早期療育の重要性が見直されています。なるべく低年齢から療育を受けることで、社会生活のなかで必要とするスキルの習得率が上がると考えられているのです。

もちろん、療育は就学期や青年期から受けても何らかの効果が期待できると考えられます。一方で、多感な時期に他人と自分との違いに気付くことや、特性を理解しない周囲からの評価によって二次障害を発症するケースも少なくありません。

発達障害児本人はもちろん、家族が早期に療育支援と繋がることで、周囲への理解や合理的配慮を求める行動に繋がることもあるでしょう。

特に学習障害だけを持っている子どもの場合、学習以外の分野に関しては健常時と大差のない発達をしているケースもあります。勉強に関してのみ特性が現れることで「努力不足」「怠けている」といった評価に苦しむ子どもも多いのです。

読字障害であれば音声読み上げ機能を利用したり、書字障害であれば音声入力・タイピングなどで書字の機会を減らしたりすることで健常児と一緒に授業を受けることもできます。このような合理的配慮を受けるためにも、早期療育が必要と考えられるのです。

学習障害を早期発見するためのチェックポイント

チェックポイントのイメージ
学習障害は就学のタイミングで見つけるケースが多く、特に中学年以降成績の伸び悩みや二次障害をきっかけに診断を受けることも少なくありません。

診断は医師により慎重に行われるものですが、家庭でも子どもの様子を観察することで気付けることがあります。
以下のチェックポイントを参考に子どもの様子をよく観察してみて、気になるようであれば専門機関に相談しましょう。

低学年時のチェックポイント

就学したばかりの低学年は、できないことも多いです。一方で、以下の様子が頻繁に見られるようであれば、スクールカウンセラーや専門機関で育児相談などを受けてみるのがよいでしょう。
読みに関するチェックポイント
・ひらがなやカタカナの読字がなかなか習得できない
・「ゃ」「ゅ」「ょ」の読み方が定着しない(「でんしゃ」を「でんしや」と読むなど)
・読むスピードが極端に遅く、抑揚をつけられない
・漢字を書けるものの読めない
書きに関するチェックポイント
・鏡文字を書く
・ひらがなとカタカナを混ぜて書いてしまう
・同じ文字を書き続けているのに、徐々に形が大きく変わってしまう
・漢字の形を覚えられない
計算に関するチェックポイント
・数字を勘違いすることが多い(「3」と書いているのに「8」として計算してしまうなど)
・時計の読み方が習得できない
・10以下の足し算や引き算で間違えることが多い
・単位の概念を理解できない(1gと1分は足せないなど)

中~高学年のチェックポイント

学校生活に慣れてきた中~高学年では、本人や保護者、教師など周囲の人も特性による行動に関して違和感を覚えることがあります。「努力不足」で押し通そうとせず、学習ができない根本的な問題に目を向けることが大切です。
読みに関するチェックポイント
・長い文章を読む際に、指でなぞらないとどこを読んでいるのか分からなくなる
・知っている言葉でも、文字として書かれると読めないことがある
・文章問題とリスニング問題の出来に極端な差がある
書きに関するチェックポイント
・漢字の習得が極端に苦手
・誤字脱字を指摘されても、どこが間違っているのか自分ではわからない(間違った部分は文章ごと全て消してやりなおしてしまう、など)
・板書が遅くノートなどの提出物が出せない
・文字の大きさや文字間がバラバラになる
計算に関するチェックポイント
・九九が覚えられない
・九九を活用した計算ができない
・分数や小数の概念が理解できない
・グラフの読み取りができない
・お金の計算ができない
・ひっ算の順番を頻繁に間違える(足し算で100の位や10の位から計算を始めてしまうなど)

大人になってから学習障害が見つかることはある?

考える大人のイメージ
学習障害の多くは、就学期のうちに発見されます。しかし、なかには「苦手な科目があるだけ」として見過ごされてきたケースもあり、大人になってから学習障害の診断を受けるケースもあります。

仕事でマニュアルを読めない、計算ができないなど、特定の学習行動に困難があり、仕事でミスを繰り返してしまう人もいるでしょう。

学習障害の場合、努力をしても読む技術や書く技術、計算するスキルを習得するのは非常に困難です。ミスが相次ぐなかで周囲も、行動に違和感を覚えることがあります。

大人の学習障害の場合、特に自分で気づくのは難しく、二次障害を発症したことをきっかけに専門医にかかり、診断を受けるケースが非常に多い傾向にあります。

学習障害の子どもへの支援方法

支援のイメージ
学習障害の子どもは、学習行動ができないことに対して自己肯定感の低下やより強い苦手意識を持ってしまうケースが少なくありません。
適切な支援によって、学習行動に取り組めるようサポートが必要です。

読字障害の子どもに適した支援

軽度の読字障害の子どもには、最初に50音を全て単音として読めることを目標にしましょう。ひらがな50音が読めるようになったら、カタカナ50音、濁音、半濁音、拗音と徐々にステップアップします。
単音が読めるようになったら単語、単語が読めるようになったら短文と、時間をかけて読む動作の習得を促すのがよいでしょう。

一方で、中~重度の読字障害の場合、「読まなくてもよい環境」を構築することも重要です。音声読み上げ機能を利用し、耳からの情報を的確に理解・記憶できるトレーニングの方が適しているケースもあります。

書字障害の子どもに適した支援

軽度の書字障害の子どもには、なぞり書きから始めて書字技術の習得を目指すケースが多いです。学校では、マスの大きなノートを使ったり、ザラザラした下敷きを使ったりすることで、書字の際に筆圧がかかりやすく安定して書きやすくなることもあります。

中~重度の書字障害の場合、キーボードの習得を重視する方が有効的なケースもあります。板書をタブレットやノートパソコンで行うことで、学校の授業についていけるようになったというケースも少なくありません。

算数障害の子どもに適した支援

軽度の算数障害の場合、数字を可視化すると計算ができたというケースも少なくありません。簡単な計算ならおはじきなどを用いて計算してみる、そろばんを使うなどの方法も推奨されます。

中~重度の計算障害の場合、そろばん、電卓などの計算機器を常時利用できるよう合理的配慮を求めるのもよいでしょう。

家庭でできる学習障害児への支援

家族のイメージ
学習障害の支援には、専門性の高い療育が必要です。しかし、家庭でも普段からの声かけや周囲への働きかけにより、子どもがより生きやすくなるためのヒントを見つけられるでしょう。

子どもの特性を理解する

まずは、学習障害についての理解を深めましょう。合わせて、子どもがどのような分野で困難を感じ、何が得意なのかを知ることも重要です。

学習障害だけでなく、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症など、他の発達障害の有無も念頭に考えることが大切です。

スモールステップで取り組む

学習障害の場合、数をこなしても思うような成果には繋がらないことが多いです。書字が苦手だからといって、延々と書き取りをさせても成果には繋がりにくく、返って子どもの学習意欲や自己肯定感を下げてしまうリスクが高いでしょう。

学習障害の支援にはスモールステップが欠かせません。小さなハードルを確実にクリアできるように設定し、自己肯定感を高め、前向きに学習に取り組める支援が必要不可欠です。

学校に合理的配慮を求める

学習環境の要となる学校に合理的配慮を求めることは、学習障害の子供が学ぶために欠かせない要件です。行政機関のひとつとなる公立学校では障害者に対する合理的配慮が義務化されています。

もちろん特殊な機器の導入など、学校側での手配が難しいこともあるでしょう。人員の関係で保護者や障害児が望む配慮を受けられないというケースもあるかもしれません。学校と綿密に連携をとって、学習障害の子供にとってベストな配慮を受けられるよう相談していきましょう。

どうしても学校との間に意見の食い違いがでる場合には、自治体や教育委員会などに相談してみるのもおすすめです。

周囲の子どもにも学習障害への理解を求める

学習障害の子供が合理的配慮を受けるうえで一番のネックになるのが、周囲の子ども達の無理解です。「一人だけタブレットを使うなんてずるい」「計算機を使って算数の問題を解くなんてずるい」など、子どもゆえの無邪気さが学習障害の子供を傷付けてしまうこともあります。

目が見えない子が眼鏡をするように、歩けない子が車いすに乗るように、学習障害によって困難な点をタブレットや計算機を使って補っているだけだということを、周囲の子ども達にも理解してもらいましょう。

通級指導を受ける

通級指導とは、障害に合わせた専門性の高い教育を受けられる制度です。一般的な学校で普通学級に在籍しつつ、週に数回程度、障害や現状に合わせて作られた個別指導計画をもとに学習訓練を受けることができます。

すべての学校で通級指導を受けられる訳ではありませんが、在籍している学校に通級指導制度がない場合、他校の通級指導に参加することも可能です。まずは、学校に問い合わせてみるのがよいでしょう。

学習障害について正しい理解と合理的配慮を

学習障害について紹介してきました。学習障害は発達障害の一種で、困難をもつ特性によって3つの分類があります。発達障害や学習障害の研究が今ほど進んでいない頃は、「努力不足」「親の躾」などと無配慮な誤解を受け、酷く傷付いてきた人も多くいました。

しかし、現代では学習障害が発達障害であると判明し、特性によって学習行動が困難であることが分かっています。

健常者に理解されにくい障害であることから、尚のこと正しい理解を促し合理的配慮を受けることが必要とされる学習障害。一人一人が障害について正しく理解することが大切です。

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