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療育で大活躍!スクーターボードの効果と活用方法【感覚統合トレーニングにも】

療育従事者
療育の現場ではさまざまな遊び道具を用いることがありますよね。そのなかでも、近年注目を集めているスクーターボードをご存知でしょうか。

スクーターボードは、ただ楽しく遊べるだけではなく、発達障害児療育に欠かせない感覚統合のトレーニングにも大きな効果が期待されます。

今回は、療育におすすめのスクーターボードについて解説。どのようなねらいで使う用具なのか、スクーターボードを活用することで期待できる効果、おすすめのスクーターボードを使った療育方法などを紹介します。

ぜひ、療育プログラムを検討する際の参考にしてみてください。

スクーターボードとは

スクーターボードとは、子どもが座れる位の大きさの板に4つの車輪がついた遊具です。市販されているものも多く、持ち手がついているものや、板にクッションが敷かれているもの、引き紐がついているものなど、さまざまなバリエーションがあります。

スクーターボードは、座って足で地面を蹴って移動したり、腹這いになって手を使って移動したりとさまざまな使い方ができる遊具です。療育現場だけでなく、保育園や幼稚園などでも安全に体を動かすことのできる遊具として人気を集めています。

スクーターボード療育で注目される感覚統合とは

スクーターボードを活用した療育プログラムでは、感覚統合の発達を促す効果が特に注目されています。

私達は、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚などの五感に加え、手足や筋肉の伸び縮みなどを感じる感覚である固有受容覚、平衡感覚やスピード感を感じる前庭覚という7つの感覚を用いて体を動かしています。


感覚統合とは、これらの感覚を状況に応じてバランスよく調整して活用することを言います。

発達障害児は、感覚統合のコントロールを苦手とするケースが非常に多いと言われています。聴覚をコントロールできないことで、全ての音が気になって集中力が散漫となったり、触覚が過敏に働き過ぎてタグのついている服を不快に感じたりしてしまうケースも多いです。

視覚と前庭覚をバランスよく働かせることができないため、頻繁に転んでしまうなど、感覚統合の発達が未熟なことでさまざまな困り事が起こることも珍しくありません。

スクーターボード療育で期待できる効果

スクーターボードを活用した療育では、さまざまな効果が期待できます。続いては、スクーターボード療育から期待できる効果についてみていきましょう。

今回は、スクーターボード療育のねらいとして特に多く取り上げられているものを紹介していきます。

【スクーターボード療育のねらい1】感覚統合の発達を促す

スクーターボードは、さまざまな感覚を駆使することができます。

座って乗る場合、体が落ちないようにバランスをとりつつ、脚や手の力や力を加える方向性をコントロールして、目的の距離と方向にスクーターボードを移動させる必要があります。

また、腹這いで乗る場合、スクーターボードからはみ出した手足が移動の邪魔にならないように床から浮かし続ける必要があるでしょう。

スクーターボードに取り付けたロープを引っ張ってもらう際には、体が落ちてしまわないようバランスを保ち続けなければいけません。

筋力や平衡感覚、スピード感覚をフルに使うことができるため、感覚統合の発達を促す効果が期待できます。

【スクーターボード療育のねらい2】体幹トレーニングになる

スクーターボードは地面からの高さが低いため安全性が高いものの、前後左右様々な方向に揺れます。これらの揺れに対して、バランスをとりスクーターボード上に乗り続けなければいけません。

バランスを保とうとする時に、人は無意識に横隔膜や多裂筋、腹横筋、骨盤底筋群など、胴体の筋肉を使います。これは腕や足でバランスをとっている時も同様です。腕や足の筋肉と繋がった胴体の筋肉が連動して動きいています。

これらの胴体の筋肉は、一般的に「体幹」と呼ばれ、体のバランスを保つために必要な筋肉です。

発達障害児のなかには、体幹の発達に遅れが見られるケースが多く、体幹が弱い子どもは粗大運動なども苦手とすることがあります。スクーターボードで楽しみながら体幹トレーニングを行うことで、他の運動療育にも良い影響を与えることが期待できるでしょう。

【スクーターボード療育のねらい3】多動の欲求を満たす

スクーターボードは全身を動かして遊べる遊具です。車輪の揺れや、流れる景色などさまざまな刺激を受けるため、じっとしているのが苦手な多動傾向にある子ども達にも好まれます。

【スクーターボード療育のねらい4】コミュニケーショントレーニングになる

スクーターボードにはさまざまな使い方があります。
1人で使うのはもちろん、他人に押して貰ったり取り付けた引手を引いてもらったりして使うこともあるでしょう。

他人と一緒にスクーターボードを使う場合、「もっと早く引いて欲しい」「止まって欲しい」など、自分の希望を相手に伝える必要があります。

他人の存在を意識し、自分の希望を相手に伝えるため、コミュニケーショントレーニングとしての効果も期待できるでしょう。

療育におすすめのスクーターボード活用方法

スクーターボードに期待できる効果やねらいが分かってきたところで、続いては具体的な活用方法について紹介していきます。

スラローム

スラロームでは、コーンを使用します。1m前後の幅でコーンを置き、スクーターボードに座ったまま、コーンを左右交互に除けながら進んでいきます。

コーンの間隔が狭くなるほど繊細なコントロールが必要になるため、子どもの運動能力に合わせてコーンの間隔を調整しましょう。

パドリング

パドリングではスクーターボードに腹這いになり、手で地面を押して移動します。自由に室内を移動してもよいですし、他の子供と競争をしてもよいでしょう。
体幹トレーニングとしても高い効果が期待できます。

雑巾がけ

雑巾がけでは、スクーターボードを雑巾に見立てて手をつき、高這いの状態で押します。
高這いの体勢を維持することで上半身の筋力や体幹トレーニング効果も期待できるでしょう。

また、下だけでなく前方にも注意を向けるなど、スピードを調整しながら周囲をよく確認するなど、さまざまな情報を一度に処理するトレーニングにもなります。

宝物探し

宝物探しでは、引き紐をつけたスクーターボードを利用します。子どもがスクーターボードに座り、大人が引き紐を引いて移動しましょう。部屋のさまざまな場所に置いた宝物を目指して、子どもが引き紐を持つ大人に指示を出して移動します。

宝物探しは、自分の要求を的確に他人に伝えるトレーニングになります。大人は、子どもの意思を先読みせず、指示された通りに動くことを意識しましょう。

ロケット

ロケットでは、うつ伏せの状態でスクーターボードに乗り、足で壁を蹴って目的の位置まで移動します。

移動の目的地にはコーンなどの目印を置いたり、床にビニールテープを貼ったりするのもよいでしょう。足で蹴る力をコントロールし、下肢の筋肉を微調整するトレーニングになります。

トンネルくぐり

トンネルくぐりでは、段ボールなどで作ったトンネルを使用します。

スクーターボードに乗った状態でトンネルをくぐるためには空間を把握する必要があります。トンネルは小さければ小さいほど難易度が高いため、まずは、余裕のある大きさから挑戦してみるのがよいでしょう。慣れてきたら、腹這いでトンネルくぐりをしてみるのもおすすめです。

綱たぐり

綱たぐりでは、柱などにくくりつけたロープを使用します。子どもは、スクーターボードに座ります。足は床に付かないようにしましょう。
その状態のまま、綱を手繰り寄せながら移動します。

自分の体のバランスをとりながら、縄をたぐって目的の方向に進みます。上半身や体幹のトレーニング効果が期待できるでしょう。

スクーターボードは自作できる?

スクーターボードは、さまざまなメーカーから販売されていますが、自作することもできます。ただし、子どもが使用するものなので、耐久性や強度など安全性に配慮してください。

スクーターボードは、板に車輪を取り付けるだけで簡単に自作できます。ただし、子どもが乗って使うことを考えるとベニヤ板や合板(薄い板を何枚も重ねたもの)では少々、強度に不安が残るでしょう。

そこでおすすめなのがコンクリートパネル(コンパネ)です。コンパネは、コンクリートの型枠に使われる板材のため強度が高い木材として、DIY素材としてホームセンターなどでも購入できます。

コンパネを2枚重ねて接着し、4隅に車輪を取り付けて、クッション材などで角を保護すれば自作スクーターボードの完成です。

スクーターボードのサイズは自由に設定してよいですが、なるべく「ギリギリ座れる広さの長方形」にするのがよいでしょう。大きすぎると小回りが利かずコントロールしにくくなりますし、正方形にすると腹這いの体勢で乗るのが難しくなります。

使用前には、大人が乗ってみて強度や安全性を確認してください。

スクーターボード療育を行う際の注意点

スクーターボードを活用して療育を行う際には以下の点に注意してください。
  • 室内で行う
  • 壁や柱などにクッション材を置いてぶつかってしまっても怪我のないよう対策する
  • 小さなブロックなど、他の遊具が室内にないかよく確認する
  • 車輪のゴミなどを取り除いて詰まりがないかチェックする
  • 車輪のボルトやネジが緩んでいないか確認する
  • 必ず大人が監視しているなかで利用する
スクーターボードでは、子ども同士の衝突事故も少なくありません。必ず大人が監視しているなかで使用し、事故のないよう注意しましょう。

スクーターボード療育で感覚統合の発達を促進させよう

今回は療育に役立つスクーターボード活用法について解説しました。スクーターボードは、発達障害児に限らず、子ども達の大好きな遊び道具でもあります。遊び感覚で、苦手を回避するトレーニングを行うことができるため、療育従事者は「療育だから」「トレーニングだから」という気持ちを抑えて使用するのがポイントです。

まずは、子どもたちが心から楽しんで療育に取り組めるよう、安全に配慮して支援プログラムに取り入れてみてくださいね。

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