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療育でバランスボールを活用する5つのプログラム!おすすめする理由やサイズ選びも解説

バランスボールを使う人
療育では、さまざまなアプローチで障害を持つ子ども達の発達や機能回復を促していきます。しかし、淡々と行うトレーニングでは子ども達のモチベーションが維持しにくく、療育従事者は常に「子ども達が前向きに取り組めるプログラム」を考える必要があります。

今回は、プログラムに悩む療育従事者におすすめのバランスボールを使ったアプローチを紹介します。バランスボールを療育に活用するメリットや、適したバランスボールのサイズ選びのポイント、具体的なプログラムについても解説しているので、参考にしてみてください。

バランスボールは療育におすすめ

療育の現場では、さまざまなアプローチで子ども達の発達を促します。しかし、コミュニケーションが苦手な子どもや体を動かすのが苦手な子どもなど、個性や特性もバラバラの子ども達と積極的に療育に取り組むのは簡単なことではありません。

療育従事者は、日々子ども達にどのようにアプローチするのか頭を抱えていることでしょう。

そんな療育業界で、バランスボール療育が注目されていることをご存知でしょうか。身体的な発達を促す他、感覚統合や粗大運動の発達を楽しく促すバランスボール療育は、子ども達にも好まれています。

バランスボールを使った療育は、体を動かすことが好きな子どもに向いていると思われがちです。しかし、使い方次第では粗大運動を苦手とする子どもでも楽しく取り組むことができます。

「子ども達が楽しめる療育をしたい」
「感覚統合や体幹など、日常生活に必要な発達を促してあげたい」

と考えているのであれば、バランスボールを使った療育プログラムを検討してみてはいかがでしょうか。

バランスボールが療育に向いている理由

バランスボールを使った療育プログラムを紹介する前に、なぜバランスボールが療育に向いているのか紹介します。療育を行う以上、確かな「ねらい」を設定して取り組みましょう。そのためにも、バランスボールが子ども達に与える発達のメリットを理解しておく必要があります。

理由1.体幹を鍛えられるから

療育において、体幹トレーニングは大変重視されるものです。というのも、知的障害や発達障害児は筋肉の緊張が弱いケースが非常に多くみられます。

背中が丸まっている、直立していても直ぐにフラついてしまう、転ぶことが多いなど、障害児療育に従事していると、こういった光景を見かけることが多いのではないでしょうか。

これらは、筋肉の緊張が弱い、つまり筋力が足りず体のバランスを維持できないことが原因で起こっている場合があります。バランスボール療育では、さまざまな動きで体幹(体の胴体部分の筋肉郡)を鍛えることができます。体幹を鍛えることで、筋力不足による猫背やふらつき、転倒などを改善する効果が期待できるでしょう。

理由2.感覚統合の発達を促せるから

発達障害児は、特に感覚統合の発達に遅れが見られるケースが多いと言われています。五感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)に加え、固有受容覚(今自分がどの部位を動かしているのか感じる感覚)、前庭覚(左右上下前後の感覚や平衡感覚)を複雑に組み合わせることで、私達はさまざまな動きをスムーズに行います。これらの感覚を統合させて使用することが感覚統合です。

しかし、発達障害児のなかには、それらの感覚のなかから必要なものをバランスよく使用することに困難を持つケースが少なくありません。

バランスボール療育では、常にさまざまな感覚を必要とします。そのため、遊び感覚で楽しく療育をしていても、無意識にさまざまな感覚を取捨選択して使用するトレーニングができ、感覚統合の発達を促す効果が期待できます。

理由3.運動療育が苦手な子どもも取り組みやすいから

バランスボールにはさまざまな使い方があります。バランスボールと聞くと、ボールの上に不安定な状態で乗る(座る)ことをイメージするかもしれませんが、それだけではありません。

ボールに足を乗せてみたり、手で叩いてみたりと、乗る以外の使い方も無数に存在します。だからこそ、運動が苦手な子どもでも、普段はあまり触れることない大きなボールで遊んでいる感覚で療育に取り組むことができるのです。

子どもに適したバランスボールのサイズを選ぶ方法

バランスボールは大きければよいという訳ではありません。安全に使用するためにも、身長に合った適切なサイズを選ぶ必要があります。

一般的には、以下の直径サイズが推奨されています。
  • 身長129cm未満の場合…バランスボール直径35cm以下
  • 身長130cm以上144cm未満…バランスボール直径45cm
  • 身長145cm以上の場合…バランスボール直径55cm以上
身長に対して大きすぎるバランスボールを使用すると、転倒などの事故が起こりやすくなります。必ず身長に合わせたサイズのバランスボールを選ぶようにしましょう。

バランスボールの種類

バランスボールにはいくつかの種類があります。それぞれに特徴が異なるため、子どもの運動能力に合わせて適した形状のものを選ぶのがよいでしょう。

丸型

一般的な丸いバランスボールです。
乗る、座る、転がる、など、さまざまな運動に対応できます。ベーシックな形ながらも、上級者向けの運動にも対応できるため、粗大運動が得意な子どもや体を動かすのが好きな子どもに適しています。

取っ手のついているものや、上にのりやすいようリング状の台座が付属しているものなどバリエーションが豊富です。

ピーナッツ型

バランスボールにはピーナッツのような形をしているものもあります。ピーナッツ型は、主に座ってバランスボール運動をする際に適しており、安定しているため初心者におすすめです。

特に、バランスボールに乗る(座る)のが苦手な子どもは、安定感があるため安心して乗ることができるでしょう。
まずは、ピーナッツ型バランスボールに乗って、バランスボールの弾む感覚に親しんでから丸型に移行するのがおすすめです。

ドーナッツ型

ピーナッツ型のバランスボールは、ピーナッツ型と同じく安定感があります。座るのはもちろん、高さが低いためうつ伏せや仰向けなど、さまざまな体勢を安全に恐怖感なく維持できるでしょう。

バランスボールを使った療育プログラム5つ

子どもに合った大きさや形状のバランスボールを用意できれば、いよいよ療育プログラムです。今回は手軽に取り入れられる簡単な5つのプログラムと療育のねらいを紹介します。

プログラムその1.叩く

いきなりバランスボールに乗ることに、恐怖を感じる子どもに無理強いするのはNGです。怖がる子どもの場合、まずはバランスボールを叩くことから始めましょう。

バランスボールを叩くことで、上腕部がよく稼動し肩回りの発達が促されます。また、力強く叩けば、その分強い力で跳ね返るため「どの位の力を込めると丁度よいのか」を考えるトレーニングにもなります。指先や手の力加減をコントロールするトレーニングに繋がるでしょう。

プログラムその2.座る

バランスボールに恐怖感がない子どもの場合、ボールの上に座ってみることから始めてみるのがよいでしょう。両足をしっかり床についてお尻をバランスボールに乗せてください。

この時、背筋が丸まってしまわないよう、腹部や背中に手を添えてサポートしてあげるとよいでしょう。天井から降ろされたロープに頭頂部が引っ張られているイメージで体勢を維持できるのが理想です。

バランスボールの不安定さが怖い子どもの場合、お尻をつけて左右や前後に揺れるだけでもOKです。揺れた状態から元の体勢に戻ろうとする時、体幹部や足回りの筋肉が鍛えられます。音楽を流しながら、自由に体を揺らして楽しんでみてください。

プログラムその3.うつ伏せのり

バランスボールに座ることのできる子どもには、うつ伏せのりに挑戦してもらうのもおすすめです。バランスボールのうえに胸を置いて、そのまま手はしっかりと前に出します。

最初は膝をついていてもOKです。その状態で前後にゆらゆら揺らしてみましょう。慣れてきたら膝を伸ばして、つま先と胸で体重を支えます。

この際、前方をしっかり見ていることで、ボールから落ちないよう床との距離感を確かめて体を引き、ボール上に留まるトレーニングができます。感覚統合の発達を促す他、上腕部の曲げ伸ばしをスムーズに行うことができ、転んでしまった時にしっかりと腕をつく練習にもなるでしょう。

さらに難易度を上げられる場合は、手を真横に伸ばしたポーズで数秒間停止してみましょう。バランスをとるために、腹部に力が入り、体幹が鍛えられます。

プログラム4.立つ

個別に対応できる場合は、バランスボールに立ってみましょう。両手を大人が持ち、子どもが両足でバランスボールに立ちます。

まずは、少し空気を抜いて柔らかい状態にすると立ちやすくなるでしょう。トランポリンのように跳ねることで、「踏ん張る」「飛ぶ」といった股関節周りを動かす運動ができます。

不安定なバランスボールの上で立っている状態を維持することは、前庭覚や固有受容覚をフルに使うため感覚統合の発達を促す効果が多いに期待できます。

慣れてきたら、バランスボールに空気をしっかり入れて、より不安定な状態でも立てるのかチャレンジしてみてください。

プログラム5.ぶつかる

最後は、遊びの延長で行うプログラムです。まずは、大人がバランスボールを持ちます。大人がしっかり抱えられるサイズであれば、少し大きめのものを使うのがおすすめです。

大人が持っているバランスボールに、子どもからぶつかってきてもらいましょう。

前庭覚や固有受容覚の発達が未熟な子の場合、周囲の人や物との距離を上手く測れず、ぶつかってしまうことも少なくありません。そこで、バランスボールにわざとぶつかることで、どの位の距離感になるとぶつかってしまうのかを学べます。

また、多動傾向にある子どもの場合、思いっきりぶつかることで衝動を紛らわす効果も期待できるでしょう。

【事故に注意】療育でバランスボールを使う際に気を付けること

療育でバランスボールを使う際には、かならず大人の監視下で行うようにしましょう。バランスボールから転がり落ちてしまうと、落ち方や打ちどころによって怪我をしてしまう危険性もあります。

しっかりと大人が子どもをフォローできる体制で行うってください。個別にみるのが難しい場合は、高さが低く比較的安全性の高いピーナッツ型やドーナッツ型のバランスボールを選ぶのもおすすめです。

バランスボールで楽しく療育に取り組もう

バランスボールは、体幹や感覚統合の発達を促しつつ、子ども達が楽しんで取り組むことのできるプログラムです。障害を持つ子ども達にとって療育が必要なものとは言え、前向きに取り組めなければ期待する効果を得られないこともあるでしょう。

楽しく、前向きに、子ども達が「またやりたい」と言ってくれる療育プログラムを考える際、ぜひバランスボールの使用も検討してみてくださいね。

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