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療育で大活躍する絵カードとは?おすすめの使い方や手作りする方法を分かりやすく解説

机の上のメモ
コミュニケーションに困難があったり、見通しの立たない状況を苦手としたりする子どもに用いられることが多い絵カード。療育に関わる仕事をしている人なら、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

絵カードを日常生活に活用することで、発達障害を持つ子ども達とのコミュニケーションをスムーズに行うことができます。療育現場はもちろん、家庭でも大変活用できるツールなので、ぜひ効果や作り方を改めて確認し、発達障害児の家族にも提案してみてはいかがでしょうか。

この記事では、絵カードの効果や作り方、使い方などを分かりやすく解説します。絵カードを使ったことがある人も使ったことがない人も、適切な絵カードの活用方法を確認して、スムーズなコミュニケーションや療育に利用してみてください。

絵カードとは

絵カードとは、行動・感情・物などさまざまなものをイラストと言葉で示しているカードです。

発達障害のなかでも、特に自閉スペクトラム障害を持つ子どもはコミュニケーションに困難を持つケースが多く、見通しの立たない状況に強い不安を感じ、時にはパニックに陥ってしまうこともあります。また、注意欠如・多動性障害を持つ子どもは、次にすべき指示された行動を忘れやすいこともあるでしょう。

発達障害を持つ子ども達のなかには、言葉でのコミュニケーションが不得意とする子どもも多くいます。

そんな、言葉でのコミュニケーションに困難を持つ子どもにも分かりやすく、尚且つ、情報の見通しや不注意を防ぐこともできるのが絵カードです。

療育や日常生活で絵カードに効果が期待できるシーン

一般的に、絵カードは以下のようなシーンで高い効果が期待できます。

スケジュールを伝えるとき

コミュニケーションに困難を持つ子どもや不注意を起こしやすい子どもにスケジュールを伝える際、絵カードが活躍します。

コミュニケーションを苦手とする子どもの場合、イラストで分かりやすく伝えることで「次に何をすべきか」が理解しやすく、先の見通しを立てることができます。

また、不注意が現れやすい子どもの場合、次にすべきことを表すカードを渡しておけば、忘れてしまうことを防げるでしょう。

療育施設に来たら手を洗って荷物を置く、などのルーティーン化した行動は、一連の流れを絵カードで掲示しておくのもおすすめです。

子どもの不安を和らげるとき

発達障害を持つ子どものなかには、初めて体験することや見通しの立たないことに強い恐怖を感じるケースが珍しくありません。不安な気持ちのまま次の行動を強制してしまうと、酷いパニックを起こしてしまうこともあるでしょう。

絵カードを使って、初めて行う行動に見通しを立てることで、不安を和らげる効果が期待できます。発達障害児のなかには、言葉で聞いて納得していても実際は聞いた言葉通りのイメージをできておらずパニックになってしまうケースがよく聞かれます。そんなとき、イラストで見通しを伝えることで、これから起こることを具体的にイメージし、不安を和らげることができます。

絵カード療育が向いてる子どもの特徴

絵カードを活用した療育は、以下のような特性を持つ子どもに特に高い効果が期待できます。
  • 先の見通しが立たない状況に強い不安やストレスを感じる子ども
  • 言葉での指示が通りにくい子ども
  • 視認による状況判断が得意な子ども
  • 周囲の動きなどから情報を読み取るのが苦手な子ども
これらの特性を持っている子どもの場合、絵カードを使うことで指示や状況判断がしやすくなるかもしれません。

療育におすすめの絵カードはどうやって用意する?

絵カードを療育に使いたい場合、以下の方法で用意することができます。

手作りする

絵カードは、画用紙などに絵を描いて作ることもできます。手作りすることで、より子どもにとって分かりやすいイラストや言葉を用いることもでき、既製品には無い絵カードも用意しやすいでしょう。

一方、画用紙などで作ったカードは強度が弱く直ぐにボロボロになりやすく、頻繁に手直しや作り直しが必要になることも少なくありません。手作りする場合、紙をラミネート加工するなど、強度に対する工夫も必要です

また、手作りするのであれば子どもにとって分かりやすいイラストを描ける必要があります。一目で内容を理解しやすいイラストを描くのはそう簡単ではありません。イラストを描ける人がいても、1人に任せきりにせず複数人で内容を確認しながら作成するのがよいでしょう。

ダウンロードする

該当するイラストをダウンロードして、プリントすれば絵が描けない人でも絵カードを手作りできます。ただし、イラストには著作権が発生するため、イラストを使用してよいのか、費用は発生するのかなどを事前によく確認しておきましょう。

ダウンロードして手作りする場合も、強度や使い勝手についてよく工夫する必要があります。

既製品を購入する

絵カードは、既製品でも販売されています。日常生活で使うもの、食事の時に使うもの、乗り物に乗る時に使うものなど、シーンに分けて販売されていることが多いです。

購入を検討している絵カードに必要な内容のカードが含まれているのかよく確認してから購入するようにしましょう。

療育に使う絵カードを手作りするときのポイント

絵カードを手作りする時には、療育計画のねらいを果たせるものに仕上げる必要があります。

療育に絵カードを活用したい場合、以下のポイントを押さえて手作りしてみてください。

一目で内容が理解できるようにする

コミュニケーションに困難を持つ子どもに絵カードで指示を出す場合、一目で内容を理解できなければ絵カードを使う意味がありません。例えば、水道の前に立っている子どもの絵を見ても発達障害児には「手を洗う」という行動は伝わりにくいでしょう。しかし。水道から出てくる水に手を伸ばしているイラストなら、「手を洗う」という行動が伝わりやすくなります。

なるべく行動を端的に表し、もっともインパクトの強い部分をイラストに起こすと一目で分かりやすい絵カードを作ることができます。

イラストの情報はシンプルに

絵カードに表現する情報はあくまで必要最低限に留めましょう。あれもこれもと、情報が詰め込まれてしまうと絵から読み取れることが多すぎて指示が適確に伝わりません。

さまざまな特性を持つ発達障害児は、私達とは違う視点を持っています。
絵カードに登場する子どもの服に描いてある柄や、靴の色など、他の情報に注視してしまいカードの意味が理解しにくくなってしまうこともあるでしょう。

絵カードはできる限りシンプルに。情報は取捨選択してください。

見やすいフォントで文字を記入する

文字を理解できる年齢・発達段階なのであれば、絵カードに文字も記入するとよいでしょう。

文字を入れる場合、字の読みやすさにも注意が必要です。文字を書く色や大きさなど、さまざまな視点からの読みやすさを考えてみてください。

用途に合わせて使いやすい素材を選ぶ

絵カードは、絵を描くことができるものならどんな素材でも作ることができます。用途に合わせた素材で作り、使いやすさにもこだわってみるのがおすすめです。

例えば、子どもに提示したり手渡したりするカードなのであれば画用紙などで作ってラミネート加工をするのがよいでしょう。耐久性に優れ、破損や汚れも防ぐことができます。

一方、スケジュールを説明する際に貼って使うのもなどであれば、マグネットシートなどに直接絵を描いて作れば、磁石で貼り付けることができて便利です。

絵カードを療育に用いる注意点

絵カードを療育に活用する場合、最も注意しなければいけないのが「絵カードを使うことにこだわらない」ということです。

絵カードを使い始めると、絵カードを使って指示を出すことに固執してしまうことも少なくありません。もちろん、最初は絵カードを使うことに子どもが慣れるまで丁寧に教える必要がありますが、なかには絵カードを使うよりも言葉で指示を受ける方が得意という子もいるでしょう。

絵カードはあくまで、いくつもあるコミュニケーション手段のひとつです。全ての子に必ず合う支援方法という訳ではないので、十分子どもの様子を観察しながら使用してください。

絵カードがあった方が良いのか、無い方が良いのか。また、絵カードを渡した方が良いのか、掲示した方が良いのかなど、子どもと円滑なコミュニケーションを取れる使用方法については、実際に使ってみながら微調整していくのがよいでしょう。

指示以外にも!療育におすすめの絵カードの使い方

絵カードは行動の指示を出したり、見通しを立てたりする際に使われることが多いですが、子どものソーシャルスキルの発達を促す際にも、さまざまな方法で活用することができます。

絵カードの物語作り

さまざまな状況・表情などの絵カードを用意して、子ども達に自由にカードを組み合わせ、物語を作ってもらいましょう。
できた物語について「なぜこうしたの?」「登場人物はどう思っているの?」など、組み合わせた理由や想いを聞きながら、他人の感情についての理解を深めていきます。

特に、他人に興味を持ちにくい子どもや状況や雰囲気から相手の気持ちを察することを苦手とする子どもにおすすめの療育です。

絵カード選び

さまざまな絵カードを並べて、1つのカードを選び取れるようヒントを出していきます。「果物が描いてある」「りんごのカードの近くにある」「黄色をしている」など、状況に応じたヒントをいくつも出していきましょう。

絵カードは耳で聞いた情報を理解するのに困難を持つ子どもが用いることが多いですが、絵カード選びをすれば耳からの情報処理能力の発達を促すこともできます。

療育で絵カードを使ってスムーズなコミュニケーションをとろう

絵カードは、療育施設だけでなく家庭でも重宝する療育アイテムです。コミュニケーションに困難を持つ子どもに、的確に情報を提供できるため、お互いに伝えたいことを理解しやすくなるでしょう。

ぜひ、今回紹介した絵カードを用意する方法や活用方法で、発達障害による困難を抱える子ども達と円滑にコミュニケーションをとってみてください。

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