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令和6年児童福祉法改正の内容とは?障害児通所支援に関する検討会の内容を徹底解説

法改正と書かれたブロック
子どもを取り巻く環境は刻一刻と変化しており、健やかな生活や成長を守るため、児童福祉法は数年おきに改正が行われています。

令和6年度にも法改正が予定されており、目前に迫った現在、法改正の内容が徐々に固まりつつあります。

今回は、児童福祉法改正の重要な指針のひとつとなる「障害児通所支援に関する検討会」の最新の内容を分かりやすく解説します。今回紹介した内容が全て法改正に盛り込まれる訳ではないかもしれませんが、法改正の指針として重要な要素となることは間違いないと言えます。

障害児通所支援に関する検討会の内容を把握し、児童福祉法改正で何が変わるのか、どのように変わるのかを考えていきましょう。

障害者通所支援に関する検討会とは

児童福祉法は、児童の出生や育成、生活が保護および愛護されることを目的とし、禁止行為や制度を定める法律です。そのなかでも障害児の通所支援に関する法律について検討するのが「障害児通所支援に関する検討会」です。

法改正に関する担当者や有識者で構成される障害児通所支援に関する検討会では、障害児通所支援についてのさまざまな議論・検討が行われ、法改正の重要な指針にもなります。

障害児通所支援に関する検討会の内容を理解しておくことで、法改正にも対応しやすく、複雑な内容も理解しやすくなることでしょう。

障害児通所支援に関する検討会で話し合われている6つのポイント

令和4年8月に第1回目の会合が行われて以降、障害児通所支援に関する検討会は令和5年3月までに11回開かれてきました。

直近で行われた第11回障害児通所支援に関する検討会の内容の中から、療育従事者が知っておくべき情報を大まかにまとめると以下のとおりです。
  • 児童発達支援センターの一元化
  • 児童発達支援センターにおけるスーパーバイズ・コンサルテーションの実施
  • 児童発達センターにおける充分な人員配置
  • 児童発達支援・放課後等デイサービスのガイドラインについて
  • 見守り支援の必要性
  • 専門的かつ発達支援に必要と判断できないプログラムの公費負担について
続いて、これらの内容について詳しく紹介していきます。

児童発達支援センターに求める役割

障害児通所支援に関する検討会では、福祉型と医療型を一元化し、児童発達支援センターには次の役割を求めることとしています。
  • 幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能
  • 地域の障害児通所支援事業所に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能
  • 地域のインクルージョン推進の中核機能
  • 地域の発達支援に関する入り口としての相談機能
スーパーバイズ・コンサルテーションとは、児童発達支援センターが児童発達支援や放課後等デイサービスなどをはじめとする、障害児通所支援事業所に支援に対する助言や援助を行うことができる機能です。スーパーバイズ・コンサルテーションにより児童発達支援センターがより地域の障害児支援の中核組織として機能することを目的としています。

スーパーバイズ・コンサルテーション担当者の要件・研修等が今後できる可能性も

スーパーバイズ・コンサルテーションを行う人材の選定については、専門性や指揮力、管理力、提案力などさまざまな要素が求められます。障害児通所支援に関する検討会では、スーパーバイズ・コンサルテーションを行う人材の育成についても言及されており、一定の実務経験を積んだ人材やスーパーバイズ・コンサルテーションに関する研修を受けた人材を任命することなども検討事項としています。

今後、療育業界にスーパーバイズ・コンサルテーションに関する要件や研修、資格などが誕生する可能性が非常に高いと言えるでしょう。

充分な人員の配置も検討されている

今回検討されているスーパーバイズ・コンサルテーションを始めとする役割を実行するためには、十分な人員が必要です。人員の配置についても、障害児通所支援に関する検討会で議論されていました。

児童発達支援センターでは十分かつ柔軟に人員を配置し、地域の障害児支援が支援を求める人に十分行き渡るよう施策を進めることを検討しているようです。
保育士、児童指導員、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、公認心理士、社会福祉士、ソーシャルワーカー、看護師、看護職員、栄養士など、スキルや専門性などを持った人員を持続的な運営のなかで配置しているよう、今後配置基準や加算、雇用形態などについても検討を進めていくとしています。

福祉型・医療型の一元化における方向性

これまで、福祉型と医療型に分類されていた児童発達支援センターですが、今回の法改正において一元化される可能性が高いと言われています。

一元化後も元医療型児童発達センターでは併設している診療所において医師の指示のもとリハビリテーションを行える仕組みを残すなどの今後不利益を被る児童が出ないよう配慮が必要としています。

一元化にあたり福祉型・医療型の垣根がなくなることで保育士や児童指導員を手厚く配置する必要性も検討していくそうです。福祉型、医療型では支援の内容も大きく変わるため、一元化といってもそう簡単に切り替えるのは難しいことが予想されます。一元化については新たな基準の制定、一定期間の経過措置がとられる可能性が高いと言えるでしょう。

児童発達支援および放課後等デイサービスのガイドライン改定について

障害児通所支援に関する検討会では、児童発達支援および放課後等デイサービスにおける基本的な支援の方向性およびガイドラインの改定についても検討が行われていました。

児童発達支援

児童発達支援については、ガイドラインに定める4つの役割(本人支援・移行支援・家族支援・ 地域支援(地域連携))と、本人への5領域(「健康・生活」、「運動・感覚」、「認知・行動」、「言語・ コミュニケーション」、「人間関係・社会性」)を全て含めた、総合的な支援を行うことにより、網羅 的かつ丁寧に発達段階を見ていくことが重要である。
上記を基本的な指針とし、5領域との繋がりが明確化されている個別支援計画書のフォーマット等を盛り込んだガイドラインの策定についても検討されました。

放課後等デイサービス

放課後等デイサービスについては、3つの基本的役割(「子供の最善の利益の保証」「矯正社会の実現に向けた後方支援」「保護者支援」)を定めたうえ、4つの基本活動(「自立支援と日常生活の充実のための活動」「創作活動」「地域交流の機会の提供」「余暇の提供」)を組み合わせた支援の提供を基本としてきたが、これに加え児童発達支援の5領域と同等の観点を持った総合的支援の重要性を取りまとめたガイドラインの改定について議論されました。

見守り支援について

障害児の安全を見守るだけの支援については、以前より公的支援の対象とすべきか議論が進められてきました。

議論の結果、見守りは児童の安心・安全を保障するという観点から支援に必要なものとして明言されています。

専門的かつ発達支援に必要と判断できないプログラムについて

障害児通所支援に関する検討会では、これまで児童発達支援や放課後等デイサービスにおけるピアノや絵画指導など専門的かつ発達支援に必要と判断できないプログラムの公費負担について不適切ではないかと検討されてきました。

ピアノや絵画などの指導はウェルビーイング(心身と社会樗木な健康を意味する幸福の概念・持続的な幸福という意味)の向上効果が期待できます。しかし、発達支援における5領域とのつながりがないものに関しては公費負担で支援を行うプログラムとしては不適切であり、インクルージョン推進の観点から見ても合理的な配慮を受けながら一般的な習い事として指導を受けることが望ましいという方向で検討が進められています。

放課後等デイサービスにおける日中の通いの場がない障害児への対応について

不登校児など、日中の通いの場がない学童期・思春期の障害児において、放課後等デイサービスを通いの場として設ける支援についても検討が進んでいます。

学校はもちろん、医療など関係機関と連携した上で、今後の社会参加を促進する目的を持ち、障害を持つ不登校児の支援が必要と示されました。

令和6年児童福祉法改正は目前!大まかな改正の方向性を理解しておこう

厚生労働省が公表している児童福祉法改正のスケジュールでは、改正内容の明示は令和6年4月1日の施行開始日前の冬から春にかけて行うとされています。

詳しい改正内容が明示されたと思ったら、すぐに施行開始してしまうため、明示と共に内容を理解しようとしても追いつかないというケースもあるでしょう。

法改正の指針となる検討会の議論内容を把握しておき、令和6年児童福祉法改正に対応できるよう準備をしておくことが大切です。

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