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【児発・放デイ必見】令和6年度障害福祉サービス等報酬における法改正について【後編】

法改正と書かれた用紙
令和6年に控える障害福祉サービス報酬等における法改正について、前編では「児童発達支援センターの機能強化等による地域の支援体制の充実」「質の高い発達支援の提供の推進」の内容を詳しく解説してきました。

後編では「家族支援の充実」「インクルージョンの推進」障害児入所施設における支援の充実」について紹介していきます。
後編でも、多くの新設・改定がある報酬算定を紹介していくので、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスに勤めている方は、参考にしてみてください。

家族支援の充実に関する改正内容

障害児支援においてかかせない家族支援については、養育支援、保護者支援、きょうだい児支援など、家族全体のウェルビーイングの向上が必要と考えられています。

概要

家族支援の充実に関する法改正では、以下の内容について評価の改定および新設が行われます。
  • 家族への相談援助等の充実
  • 預かりニーズへの対応
特に、預かりニーズへの対応については、延長支援加算が大きく改定されているため、児童発達支援事業所および放課後等デイサービスに従事している人は、正確に把握しておくことが求められます。

報酬算定における新設および改定

家族支援の充実に関しては、以下の評価で新設および改定が行われます。
  • 【改定】家族支援加算
  • 【新設】子育てサポート加算
  • 【改定】延長支援加算
それぞれの詳細についても解説していきます。

家族支援加算

現行では、家族連携加算・事業所内草案支援加算として、家庭連携加算および事業所内相談加算が報酬算定で用いられています。しかし、令和6年の法改正では家族支援加算として以下の内容で算定されるようになります。
〇家族支援加算(Ⅰ)
居宅訪問による個別の相談援助→300単位(1時間未満の場合200単位)/回
施設等での対面による子ベルの相談援助→100単位/回
オンラインによる個別の相談援助→80単位/回

〇家族支援加算(Ⅱ)
施設等で対面によるグループでの相談援助→80単位/回
オンラインによるグループでの相談援助→60単位/回
各加算はそれぞれ月に4回まで算定可能です。

子育てサポート加算

子どもの特性を踏まえたうえで、家族や保護者に対して支援場面の機会を提供し、関わり方そう相談援助などを行った場合、子育てサポート加算の算定が可能になります。
〇子育てサポート加算
80単位/回
子育てサポート加算は月4回まで算定できます。

延長支援加算

延長支援加算については、現行よりも細かく算定されることになります。また、対象となる障害児に医療的ケア児が含まれることになりました。
〇延長支援加算
・障害児の場合
延長30分以上1時間未満→61単位/日
延長1時間以上2時間未満→障害児の場合92単位/日
延長2時間以上→123単位/日

・重症心身障害児および医療的ケア児の場合
延長30分以上1時間未満→128単位/日
延長1時間以上2時間未満→障害児の場合192単位/日
延長2時間以上→256単位/日
延長30分以上1時間未満の算定は、原則として利用者都合等で延長時間が本来の計画よりも短くなり1時間未満となってしまった場合に限って算定が可能です。

インクルージョンの推進に関する法改正

障害児支援において重視されているインクルージョンを推進するために、各評価における新設や改定が行われます。

概要

インクルージョンの推進については、以下の内容において法改正が行われます。
  • 児童発達支援・放課後等デイサービスにおけるインクルージョンに向けた取り組みの推進
  • 保育所等訪問支援の充実
本項目については、特に新設される評価が多数あるため十分な理解が必要です。

報酬算定における新設および改定

インクルーションの推進に関する法改正では、以下の評価が新設および改定されます。
  • 【改定】保育・教育等移行支援加算
  • 【新設】関係機関連携加算(前編:質の高い発達支援の提供の推進に関する改正内容にて解説済み)
  • 【新設】自己評価結果等未公開減算
  • 【改定】訪問支援員特別加算
  • 【新設】多職種連携支援加算
  • 【新設】ケアニーズ対応加算
  • 【新設】強度行動障害児支援加算(前編:支援ニーズの高い児への支援の充実に関する改正内容にて解説済み)
  • 【改定】家族支援加算(後編:家族支援の充実に関する改正内容にて解説済み)
他項目と重複する内容もあるため、既に解説済の内容については省略します。
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

保育・教育等移行支援加算

現行の保育・教育等支援加算は、主に移行を行った際の評価ですが、法改正によって移行に際するための取り組みについて評価されるようになります。
〇保育・教育等移行支援加算
通所支援事業所の対処前に移行に向けた支援を行った場合→500単位/回(2回まで)
通所支援事業所退所後、児の居宅等を訪問して相談援助を行った場合→500単位/回(1回まで)
通所支援事業所を退所後、児が移行した保育所等を訪問し助言・援助した場合→500単位/回(1回まで)
現行では1回のみだった支援加算が、移行前、移行後の取り組みとして最大4回加算されることになります。

自己評価結果等未公開減算

運営基準によって、自己評価、保護者評価、訪問先評価の実施および公表を行うことが求められるようになります。合わせて、上記評価を実施および公開しない場合以下の減算を受けます。
〇自己評価結果等未公表減算
所定単位数の85%算定
自己評価結果等未公開減算は令和7年4月1日より適用されます。

訪問支援員特別加算

これまでは配置のみが評価されていた訪問支援員特別加算ですが、法改正によって支援の実施や業務経験に対する評価を行うなど、評価基準が大きく見直されることになります。
〇訪問支援員特別加算
(Ⅰ)業務従事10年以上(又は保育所等訪問等5年以上)→850単位/日
(Ⅱ)業務従事5年以上(又は保育所等訪問等3年以上)→700単位/日
現行の679単位/日よりも評価は高くなりますが、その分、十分な実務経験をもった人材による支援の実施が求められるようになります。

多職種連携支援加算

インクルージョンを推進するため、異なる職種間での連携が求められる事に対して、職種の異なる複数人のチームによる連携支援を評価する「多職種連携支援加算」が新設されます。
〇多職種連携支援加算
200単位/回(月1回まで)
多職種連携支援加算は、訪問支援員特別加算の対象となる支援員を含み、その他異なる職種の複数人によるチームで連携して訪問支援を行った場合に加算できます。

ケアニーズ対応加算

重症心身障害児や著しく重度の障害児、医療ケア児、強度行動障害児などのインクルージョンを推進する目的で、ケアニーズの高い障害児の支援に対する評価が新設されます。
〇ケアニーズ対応加算
120単位/日
ケアニーズ対応加算では、訪問支援員特別加算の対象となる訪問支援員を配置し、支援することで加算が受けられます。

障害児入所施設における支援の充実に関する法改正

障害児入所支援について、家庭的な養育環境の確保や専門的支援の充実、成人期に向けた移行支援の強化などが課題となっています。入所施設で過ごす障害児が、適切な支援を受けられるよう評価の新設および改定が行われます。

概要

障害児入所施設における支援の充実を図るため、以下の項目で法改正が行われます。
  • 地域生活に向けた支援の充実
  • 小規模化等による質の高い支援の提供の推進
  • 支援ニーズの高い児への支援の充実
  • 家族支援の充実
障害児入所施設においては、運営基準としてできる限り良好な家庭的環境下での支援を行うことが求められるようになります。

また、今回の法改正では主として知的障害児に支援を行う場合の基本報酬について以下の改正が提示されています。
利用定員規模別の報酬設定を以下に設定
【現行】11人以上40人以下の区分を10人刻み→【改定】5人刻み
大規模の定員区分について111人以上の区分を削る
障害児入所施設については、基本報酬の算定に関する大きな改定となるので注意してください。

報酬算定における新設および改定

障害児入所施設における支援の充実に関する法改正では、以下の評価が新設および改定されます。
  • 【新設】移行支援関係機関連携加算
  • 【新設】体験利用支援加算
  • 【改定】日中活動支援加算
  • 【改定】小規模グループケア加算
  • 【改定】強度行動障害児特別支援加算
  • 【新設】要支援児加算
  • 【新設】家族支援加算(後編:家族支援の充実に関する改正内容にて解説済み)
内容についても詳しくみていきましょう。

移行支援関係機関連携加算

移行支援計画を作成・更新する際、関係者が参画する会議を開催し、連携・調整を行った際の評価として「移行支援関係機関連携加算」が新設されます。
〇移行支援関係機関連携加算
250単位/回(月1回)
今回の法改正では連携支援に関する新設や改定が多いため、関係機関連携加算や事業所間連携加算(前編:質の高い発達支援の提供の推進の法改正内容で解説)と間違わないよう注意しましょう。

体験利用支援加算

支援において、特別なプログラムを必要とする児への、日中活動および宿泊による支援を行った際の評価が新設されます。
〇体験利用支援加算
(Ⅰ)宿泊→700単位/日(1回3日・2回まで)
(Ⅱ)日中活動→500単位/日(1回5日・2回まで)
入所施設でのより充実した支援を促進するため、新設された評価です。

日中活動支援加算

現行では職業指導員加算として職業指導員を専任で配置することで評価が行われてきましたが、改正によってより専門性の高い支援の充実が求められるようになります。
〇日中活動支援加算
16~322単位/日
日中活動支援加算においては、経験を有する職業指導員を専任で配置することが求められます。また、日中活動に関する計画書を作成し支援する必要もあるので留意しておきましょう。

小規模グループケア加算

現行の小規模グループケア加算では、より小規模となるサテライト型について評価の見直しが行われました。
〇小規模グループケア加算
規模に応じて186~320単位/日
サテライト型+378単位/日
小規模酢ループケア加算では、専任の児童指導員等を1人以上(サテライト型の場合は3人以上)配置する必要があります。サテライト型の場合、3人の児童指導員のうち、専任1人、兼任2日でも構いません。

強度行動障害児特別支援加算

より専門性の高い支援が求められる強度行動障害を有する児への支援に対して、専門性の高い人材を配置・支援する際の評価として、強度構想障害児特別支援加算が改正されます。
〇強度行動障害児特別支援加算
(Ⅰ)児基準20点以上の場合→390単位/日
(Ⅱ)児基準30点以上の場合→781単位/日
※加算開始から90日間は+700単位
(Ⅱ)の評価については、中核的人材の配置が求められます。同加算については、「強度行動障害児支援加算(前編:支援ニーズの高い児への支援の充実で解説済み)」と混同しないよう注意してください。

要支援児童加算

特に支援ニーズの高い被虐待児への支援についても、この度評価が新設されました。
〇要支援児童加算
(Ⅰ)関係機関と連携した支援を行った場合→150単位/回(月1回まで)
(Ⅱ)心理担当職員による計画的な心理支援を行った場合→150単位/回(月4回まで)
被虐待児に関しては、関係機関との連携した支援や専門職員による心理支援が求められます。

令和6年度障害福祉サービス等報酬における法改正に対応しよう

令和6年度の法改正内容について解説してきました。運営基準や報酬換算についての改正が多く、一度に全てを把握するのは難しいかもしれません。しかし、いざ改正内容が適用されてから慌ててしまわないよう、今から内容を把握して準備しておくことが大切です。

内容を十分に理解して、法改正に対応しながら支援を提供していけるようにしていきましょう。

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