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発達障害の二次障害とは?原因や症状・予防策などを徹底解説

発達障害の二次障害
うつむいている子ども
発達障害は見た目から障害の有無が分かりづらいことで、さまざまな偏見や誤った認識を持たれてきた障害のひとつです。障害について理解を得られないなかで、心身ともに負担を抱えてきた発達障害者も少なくありません。

発達障害を持つ子ども達が障害によって生きづらさを感じるなかで、新たな問題を抱えてしまう「二次障害」という言葉をご存知でしょうか。

この記事では、発達障害を持つ人と関わる上で健常者が理解しておきたい二次障害について分かりやすく解説します。

二次障害とは

二次障害とは、主となる障害に起因して起こる副次的な障害を指します。特に、脳性まひなどの障害を持つ人の副次的な障害に対して使われる言葉で、既存障害である一次障害(脳性まひ)が原因で手足のしびれや頭の痛みなどを感じることを二次障害と呼びます。

発達障害の二次障害とは

発達障害における二次障害には、精神疾患や社会適応に関する問題行動の発現などがあります。発達障害に対する適切な支援を受けられないことで併発するケースが多く、症状もさまざまです。

発達障害における二次障害の種類

発達障害おける二次障害は以下の2種類に分けられます。
  • 内在化障害
  • 外在化障害
それぞれについて詳しくみていきましょう。

内在化障害

内在化障害とは、自己肯定感の欠如やストレス・いらだち・葛藤などを自分自身に対して向けてしまうことで起こる病理的な障害や問題行動です。
内在化障害は、以下のような病理的な障害や問題行動の発現が見られます。
  • 不安障害
  • 適応障害
  • 強迫性障害
  • うつ病(抑うつ病)
  • 依存症
  • 心身症
  • 対人恐怖症
  • 引きこもり
  • 自己肯定感の欠如
  • 意欲の低下
内在化障害のなかには、重症化するまで周囲や本人が気付きにくいものも多くあります。特に、発達障害児本人が自覚するのは困難であるため、周囲の人がいち早く異変に気付き対処することが求められます。

外在化障害

外在化障害とは、自己肯定感の欠如やストレス・いらだち・葛藤などを自分の体や他者に対して向けてしまうことで起こる病理的な障害や問題行動です。
外在化障害には、以下のような病理的な障害や問題行動の発現が見られます。
  • 反抗挑戦性障害
  • 行為障害
  • 自傷行為
  • 感情不安定
  • 暴力・暴言
外在化障害は、低年齢の発達障害児にも多くみられる二次障害のです。周囲の人も気付きやすい一方、障害が由来しているとは気付かれにくく性格や気持ちの問題と捉えられることも珍しくありません。

発達障害者の非行や万引きなどは二次障害の可能性も

発達障害による二次障害の問題行動のなかには、反社会的な行動も含まれます。周囲の環境によっては万引きなどの非行に走るケースもみられるでしょう。

発達障害のなかには集団のルールを守ることに困難があったり、対人関係に悩んでいたりするケースも少なくありません。そういった生きづらさを抱える発達障害者が、反社会的な交友関係に居心地の良さを感じてしまうケースも多くきかれます。

結果として、知らず知らずの内に犯罪に加担してしまうケースも増えています。

【発達障害別】二次障害の傾向

発達障害の二次障害では、障害別に多くみられるサイクルがあります。全ての発達障害者に当てはまる訳ではありませんが、一次障害から起こりやすい二次障害を予測して予防の対策を行うことも大切です。

続いては、自閉スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)限局性学習障害(SLD)に多くみられる二次障害の発生サイクルの傾向をみていきましょう。

自閉スペクトラム障害(ASD)の場合

自閉スペクトラム障害は以下の特徴が多く見受けられます。
  • 強いこだわり
  • コミュニケーションが不得意
ASDは曖昧な物言いや抽象的な表現の理解に困難を持つことが多い傾向にあります。これらのコミュニケーションの困難から、失敗をしてしまい叱責を受けたりからかわれたりすることで自信の喪失や対人関係に恐怖心を抱くケースが少なくありません。

自信の喪失や対人関係に対する恐怖心から、不安障害、パニック障害などの二次障害を引き起こしたという症例もあります。

注意欠如・多動性障害(ADHD)の場合

注意欠如・多動性障害は、特性によって不注意や多動性が現れます。しかし、発達障害についての理解が乏しいと、周囲からは「怠慢」や「注意不足」など精神面を原因として叱責されてしまうことが多いです。

発達障害の特性による困難は、脳の働きが由来しているため改善できるものではありません。自分自身で対処できないことに自信を喪失していき、無気力になってしまうこともあるでしょう。

発達障害の特性による困難を無闇に叱責されることで、次の失敗を恐れるようになる人も少なくありません。やがて、二次障害としてうつ病や不安障害を発症することもあります。

限局性学習障害(SLD)の場合

限局性学習障害は、学習のある分野において限局的な困難が見られます。困難のある分野によって以下の3つに分類されるのが特徴です。
  • 読字障害(文字を読むことに困難がある。ディスクレシアとも呼ばれる)
  • 書字障害(文字を書くことに困難がある。ディスグラフィアとも呼ばれる)
  • 計算障害(計算することに困難がある。ディスカリキュアとも呼ばれる)
限局性学習障害は特に発見が難しく、発達障害との診断を受ける前に二次障害を併発しているケースも少なくありません。特性によってできないことを「努力不足」として叱責されるケースが非常に多く、自信の喪失や周囲からからかわれることによる対人関係への恐怖心などを感じるケースも多いです。

こうした環境下で過ごすストレスや不安感から、二次障害としてパニック障害や適応障害を引き起こすケースも聞かれます。

発達障害の二次障害が起こる原因

発達障害における二次障害は、発達障害への不理解から引き起こされているケースが非常に多いと言えるでしょう。

発達障害者の持つ困難は、健常者が努力や注意で改善できる困難とは質が違います。障害者自身や周囲が、発達障害による特性について深く理解していなければミスマッチが生じ、やがて二次障害へと発展する可能性があります。

発達障害グレーゾーンの二次障害にも要注意

発達障害グレーゾーンとは、発達障害の特性に共通する困難が見られるものの、診断の範囲外である子どもを指す言葉として用いられています。

困難があるにも関らず、発達障害者としての診断がおりないことで、適切な支援を受けられず生きづらさを抱えるケースも少なくありません。

発達障害としての診断が降りないとしても困難があることに変わりはありません。しかし、「発達障害じゃないからそこまで大変なことではない」と周囲が勝手に判断してしまい、二次的な障害に繋がるケースも多いのです。

発達障害グレーゾーン児は適切な支援に繋がりにくいため、十分に気にかけて二次的な障害の発生を防ぐことが大切です。

発達障害の二次障害における治療方法

発達障害の二次障害は、以下の3つの治療方法で対処されることが多いです。
  • 認知行動療法
  • ペアレントトレーニング
  • 薬物療法
一次障害である発達障害の特性や、二次障害の症状の重さ、環境などさまざまな要素から、これらを複合的に組み合わせて治療に当たるケースが多く見られます。

認知行動療法

認知行動療法では、認知に対する働きかけをして行動に変化を与えます。精神疾患に対する効果が期待でき、二次障害に多いうつ病、不安障害、対人恐怖症などさまざまな症状の治療に選ばれている療法です。

認知行動療法は精神科や心療内科などで受けることができますが、認知行動療法に対する専門的な知見が必要です。まずはこれらの診療科に問い合わせ、認知行動療法を取り扱っているのか確認してみるのがよいでしょう。

ペアレントトレーニング

ペアレントトレーニングとは、障害を持つ子どもに対する適切な対応の方法を学ぶことで、障害者本人と家族を支援するためのトレーニングです。
主に、知的障害や発達障害、また攻撃的な問題行動や特性を持った障害児とその家族を対象に行われます。

二次障害に対して間接的にアプローチすることができ、家族が発達障害について理解することで本人の困難が減り、二次障害の症状改善が期待されます。

ペアレントトレーニングは、発達障害者支援センターや教育センター、医療機関、心理センターなどで受けることができます。なかには、発達支援事業所などでもペアレントトレーニングを実施しているケースがあります。

薬物療法

二次障害の症状によっては薬物によって症状の緩和を行う薬物療法を選択するケースもあります。うつ病などの精神疾患をはじめ、外在化障害の抑制にも薬物療法を用いるケースがあり、攻撃性のコントロールなどに対して効果が期待されます。

薬物療法は、精神科、心療内科、発達外来など医療機関でのみ実施されている療法です

発達障害の二次障害を予防するには

発達障害の二次障害は環境調整によってリスクを大幅に減らすことができます。二次障害を予防するために、以下の対策がおすすめです。

自分自身の障害について理解する

発達障害者のなかには、自分自身の障害について理解できていない人も少なくありません。特に、子どもの場合は理解が乏しいことも多いでしょう。

しかし、一生涯を発達障害者として過ごすなかで、自分自身の障害について「知らない」「分からない」では、困難に陥ることがあります。

年齢や理解度などに応じて、できる限り発達障害者が自分自身の障害についての理解を深めることが大切です。

周囲が発達障害について理解する

発達障害の二次障害において、周囲の人の発達障害に対する不理解が原因となるケースが多くみられます。発達障害がどのような障害なのか、その人はどのような特性を持っているのかなど、発達障害に対する正しい知識を身に着けたうえで接することが求められます。

合理的配慮を行う

発達障害の特性は人それぞれです。複数の発達障害を併発しているケースも珍しくありません。それぞれに異なる特性に対して合理的な配慮を行うことで、発達障害者の困難や生きづらさは解消しやすくなるでしょう。

例えば、不注意優勢の注意欠如・多動性障害を持つ子どもがパーテーションなどを用いて不注意を招く情報を遮断しながら学校の授業に参加することや、限局性学習障害を持つ子どもがタブレットなどを用いることも合理的配慮と言えます。

充分に休養をとりながら過ごす

精神疾患の多くは、心身ともに追い詰められた状態で発症します。二次障害を防ぐためにも、自分自身に困難が多いことを理解し、少しでも余裕をもって過ごせるよう十分な休息をとることが大切です。充分に休養を取りながら過ごし心身を整えることが、二次障害の予防になります。

発達障害の二次障害について相談できる機関

二次障害は、早期に発見し対処することで症状の重症化を抑える効果も期待できます。家族が発達障害の二次障害に悩んでいるかもしれないと思ったときには、以下の施設へ相談してみるとよいでしょう。
  • 精神保健福祉センター
  • 発達障害者支援センター
  • 児童相談所
  • 子育て支援センター
  • 療育センター
  • 発達支援事業所
二次障害を悪化させないためにどのように対処すればよいのか、相談にのってもらえます。まずは、気軽に問い合わせてみてください。

発達障害の二次障害を防ごう

発達障害者は、さまざまな困難を抱えることがあり、社会生活において生きづらさを感じることも多いでしょう。しかし、これらの困難は本人の努力では改善できないことが医学的に分かっています。

二次障害は、不理解から起こる人為的な障害といってもよいでしょう。生まれつき足が不自由な人に車いすや松葉づえを差し出すように、発達障害による困難を持つ人に合理的配慮を行うのは何も特別なことではありません。

困難を抱えている人を追い込んでしまうことのないよう、発達障害に対する正しい知識が大切です。そして、正しい知識を持って合理的配慮を行うことが、二次障害を防ぐことに繋がるでしょう。

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