発達障害(ASD・ADHD・SLD)で障害者手帳をもらえないことがある?申請方法も解説
日本では、障害者の暮らしを多方面から支援するための証書として障害者手帳を発行しています。障害者手帳をもらうことで、金銭的支援や就労支援、日常生活における支援なども受けやすくなるでしょう。
一方で、自閉スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(SLD)などの発達障害をもつ人のなかには、障害者手帳をもらえない人もいます。
この記事では、発達障害(ASD・ADHD・SLD)の人は障害者手帳をもらえるのか、もらえない人がいるのは何故なのかを中心に、障害者手帳について解説します。合わせて、障害者手帳の申請方法や障害者手帳をもらえなくても受けられる支援についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
一方で、自閉スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(SLD)などの発達障害をもつ人のなかには、障害者手帳をもらえない人もいます。
この記事では、発達障害(ASD・ADHD・SLD)の人は障害者手帳をもらえるのか、もらえない人がいるのは何故なのかを中心に、障害者手帳について解説します。合わせて、障害者手帳の申請方法や障害者手帳をもらえなくても受けられる支援についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
障害者手帳とは
障害者手帳とは、障害の有無やどのような障害を持っているのかを示す証明書です。障害者手帳を持つことで、自分自身の持つ障害への理解を求めやすくなります。
また、障害者手帳の申請を行い障害者であることを認められることで、さまざまな支援を受けることが可能です。障害者手帳は、障害者への理解を深め生活を支援し、より健やかに過ごしやすくする役割を持った証明書でもあります。
また、障害者手帳の申請を行い障害者であることを認められることで、さまざまな支援を受けることが可能です。障害者手帳は、障害者への理解を深め生活を支援し、より健やかに過ごしやすくする役割を持った証明書でもあります。
障害者手帳を取得するメリットとは
障害者手帳を取得するメリットとして、以下のものが挙げられます。
- 税金の控除が受けられる(等級によって異なる)
- 公共料金の割引・減免などのサービスが受けられる
- 医療的支援が受けられる(補装具購入費用の助成もしくは支給なども含む)
- (障害児の場合)保育・教育に関する支援が受けられる
- (障害者の場合)就労支援が受けられる
障害者手帳を取得することで、金銭、教育、就労などさまざまな支援を受けられるようになります。
障害者手帳を取得するデメリットとは
障害者手帳を取得するデメリットには以下のものが挙げられます。
- 申請手続きが必要
- 医師の診断書が必要
- 規定の年数ごとに更新が必要
なかには、自分を障害者であると認めたくないため障害者手帳の申請をしないケースや、家族に理解を得られず障害者手帳の取得を止められているというケースもあるそうです。
障害者手帳の種類と等級
障害者手帳は3種類に分かれており、それぞれの手帳には障害の重さを示す等級が設定されています。続いては、障害者手帳の種類と等級についてみていきましょう。
種類
障害者手帳は「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類に分かれます。
身体障害者手帳
身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づいて発行されています。
対象となる障害の種類は以下のとおりです。
対象となる障害の種類は以下のとおりです。
視覚障害/聴覚・平衡機能障害/音声・言語・そしゃく障害/肢体不自由/心臓機能障害/じん臓機能障害/呼吸器機能障害/小腸機能障害/HIV免疫機能障害/肝臓機能障害
上記の障害の診断を受けて申請を行った場合、都道府県知事もしくは指定都市(中核都市)の市長より交付されます。
療育手帳
療育手帳は、療育手帳制度に基づいて発行されます。
対象となるのは知的障害です。
上記の障害の診断を受けて申請を行った場合、都道府県知事もしくは指定都市の市長、児童相談所を設置する中核市の市長より交付されます。
対象となるのは知的障害です。
上記の障害の診断を受けて申請を行った場合、都道府県知事もしくは指定都市の市長、児童相談所を設置する中核市の市長より交付されます。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、精神保健及び精神障害福祉に関する法律に基づいて発行されます。
対象となる障害は以下のとおりです。
対象となる障害は以下のとおりです。
統合失調症/気分(感情)障害/非定型精神病/てんかん/中毒精神病/器質性精神病(高次脳機能障害を含む)/発達障害/その他の精神疾患
上記の障害の診断を受けて申請を行った場合、都道府県知事もしくは指定都市の市長より交付されます。
等級
障害者手帳にはそれぞれ等級があります。等級によって、障害の重さを証明でき、身体障害者手帳では1~6級、療育手帳ではA(重度)B(重度以外)、精神障害者保健福祉手帳では1~3級に分類されています。
発達障害(ASD・ADHD・SLD)で申請できる障害者手帳とは
発達障害の場合、精神障害者保健福祉手帳の申請が可能です。また、知的障害を伴う場合は、療育手帳も合わせて申請することができます。
発達障害(ASD・ADHD・SLD)で障害者手帳がもらえないケースとは
発達障害であっても、以下のケースでは障害者手帳の申請ができないことがあります。
- 医師からの診断を受けていない
- 診断を受けてから6カ月未満
精神障害者保健福祉手帳を申請するには、医師による発達障害の診断書が必要です。そのため、発達グレーゾーンなど発達障害の特性がみられるにも関らず診断が付かないケースでは申請ができません。
また、精神障害者保健福祉手帳の申請条件には以下のものがあります。
また、精神障害者保健福祉手帳の申請条件には以下のものがあります。
長期にわたって精神疾患があり、生活に制限が出ている人
この条件によって、発達障害の診断を受けてから6カ月以上過ぎていないと、精神障害者保健福祉手帳の申請はできません。
発達障害(ASD・ADHD・SLD)で障害者手帳を申請する方法
障害者手帳を申請するには、必要な書類を用意して申請手順を踏む必要があります。続いては、発達障害に関係する精神障害者保健福祉手帳ならびに療育手帳の申請方法を紹介します。
申請に必要なもの
障害者手帳の申請には以下のものが必要です。
- 3カ月以内に発行された診断書
- 申請書
- 顔写真
- 本人確認書類
- マイナンバーの分かる書類
障害児や障害によって申請を自分自身で行うのが難しい場合には、保護者などの代理人が申請をすることも可能です。代理人が申請する場合、上記のもの以外に権限を証明する書類が必要になるため注意しましょう。
精神障害者保健福祉手帳の申請方法
発達障害者が申請できる精神障害者保健福祉手帳の申請方法は以下のとおりです。
1. 自治体の窓口で申請書類をもらう
2. 必要書類を集める
3. 医師の診断書を取得する
4. 必要書類を自治体の窓口に提出する
5. 審査に通れば精神障害者保健福祉手帳が発行される
2. 必要書類を集める
3. 医師の診断書を取得する
4. 必要書類を自治体の窓口に提出する
5. 審査に通れば精神障害者保健福祉手帳が発行される
診断書は申請から3カ月以内のものでなければならないため、あまり早く準備しすぎない方がよいかもしれません。まずは、自治体の窓口で精神障害者保健福祉手帳の申請を行いたい旨を相談し、必要な手続きを確認しましょう。
療育手帳の申請方法
発達障害に加えて知的障害を併発している場合は、療育手帳の申請も可能です。療育手帳の申請方法は以下のとおりです。
1. 自治体の窓口で申請書類をもらう
2. 必要書類を集める
3. 児童相談所もしくは知的障害者更生相談所の判定指定医から診断書を取得する
4. 必要書類を自治体の窓口に提出する
5. 審査に通れば療育手帳が発行される
2. 必要書類を集める
3. 児童相談所もしくは知的障害者更生相談所の判定指定医から診断書を取得する
4. 必要書類を自治体の窓口に提出する
5. 審査に通れば療育手帳が発行される
療育手帳は、18歳未満の場合児童相談所、18歳以上の場合は知的障害者更生相談所で判定を行います。判定については住まいの児童相談所もしくは知的障害者更生相談所に問い合わせてみるとよいでしょう。
発達障害(ASD・ADHD・SLD)が障害者手帳の申請を行う際の注意点
障害者手帳の申請にはいくつかの注意点があります。申請後に「思っていたものと違う」と困ってしまわないよう、以下の点において事前に把握しておきましょう。
発行までに時間がかかる
障害者手帳の発行には時間がかかるケースが非常に多いです。自治体によって異なりますが、申請から発行まで3カ月以上かかるケースも聞かれます。
障害者手帳を早く利用したいという人は、発行までにかかる期間も考慮して早めに申請を行いましょう。
障害者手帳を早く利用したいという人は、発行までにかかる期間も考慮して早めに申請を行いましょう。
療育手帳は自治体によって判断基準が異なる
療育手帳は児童相談所や知的障害者更生相談所によって判定が行われます。これらの判定は施設の指定医によって行われ、自治体ごとに判定基準が異なるのが特徴です。
住まいの自治体で療育手帳の申請をしたものの審査に通らなかった人ものの、転居先の自治体で申請を行うと審査に通り療育手帳の発行が認められたというケースもあります。
住まいの自治体で療育手帳の申請をしたものの審査に通らなかった人ものの、転居先の自治体で申請を行うと審査に通り療育手帳の発行が認められたというケースもあります。
障害者手帳の名称や形状は自治体によって異なる場合がある
障害者手帳は自治体によって名称が違っていたり、形状が違っていたりすることがあります。現に、東京では「愛の手帳」という名称で障害者手帳が発行されており、手元に届いた手帳を見て驚く人もいるようです。
また、形状も自治体によってことなり、手帳タイプの他にカードタイプでの発行を受け付けている自治体もあるそうです。
事前に自治体で配布されている障害者手帳に関するリーフレットなどで、どのような名称や形状で交付されるのか確認してみるとよいでしょう
また、形状も自治体によってことなり、手帳タイプの他にカードタイプでの発行を受け付けている自治体もあるそうです。
事前に自治体で配布されている障害者手帳に関するリーフレットなどで、どのような名称や形状で交付されるのか確認してみるとよいでしょう
障害者手帳は更新が必要
障害者手帳には2年間の期限があり、期限が切れるまでに更新の手続きが必要です。障害者手帳の有効期限を過ぎてしまうと、さまざまな支援を受けられなくなってしまいます。
再度、障害者手帳を取得するには新規申請が必要となるため、必ず期限内に更新手続きを行ってください。
再度、障害者手帳を取得するには新規申請が必要となるため、必ず期限内に更新手続きを行ってください。
発達障害(ASD・ADHD・SLD)で障害者手帳をもらえなくても受けられる支援がある
発達障害による特性がみられるものの障害者手帳をもらえない場合でも、さまざまな支援を受けられます。支援の内容については以下の施設に問い合わせてみるのがよいでしょう。
- 自治体の児童福祉課
- 子ども家庭センター
- 児童相談所
- 発達障害者支援センター
また、これらの施設の他に児童発達支援事業所や放課後等デイサービスは、障害者手帳がなくても支援サービスを受けることができます。
発達障害に対する適切な支援を受けよう
発達障害の特性によって、生活のさまざまな面で困り事が起きたり生きづらさを感じたりすることがあるかもしれません。しかし、それらは社会によって支援されるべきです。障害者手帳を取得し、適切な支援を受けて、困り事や生きづらさを少しでも軽減させましょう。
また、障害者手帳を発行してもらえなかったとしても、受けられる支援はたくさんあります。障害者手帳をもらえないことで、支援を諦めてしまうことのないよう各施設で必要な支援と繋がることが大切です。
ぜひ、今回の記事を参考に障害者手帳の申請や支援の相談をしてみてください。
また、障害者手帳を発行してもらえなかったとしても、受けられる支援はたくさんあります。障害者手帳をもらえないことで、支援を諦めてしまうことのないよう各施設で必要な支援と繋がることが大切です。
ぜひ、今回の記事を参考に障害者手帳の申請や支援の相談をしてみてください。