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発達障害者はどんな支援を受けられる?支援制度の内容や支援金・受け方まで徹底解説

発達障害者のロゴ
自分の子供や自分自身に発達障害が見つかった際、今後の生活に不安を抱える人も少なくありません。日本では、発達障害者を支援するさまざまな制度や支援金、支援サービスなどがあります。利用要件を満たせば支援を受けることができ、生活面での不安を少しでも軽減できるのではないでしょうか。

今回は、発達障害を持つ人が受けられる支援制度の内容や支援金、支援サービスなどについて解説します。合わせて、支援について相談できる施設や支援の受け方も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

発達障害とは

発達障害とは、生まれつき脳の働きが人とは違うことで起こる障害です。一般的に「自閉スペクトラム症」「注意欠如多動性障害」「限局性学習障害」などに分類され、それぞれに異なる特性を持つ傾向があります。

また、発達障害はいずれかの1つの障害を持つだけでなく、複数の障害を併せ持つケースも少なくありません。特性の現れ方は傾向としてあるものの、個人差が大きいなど複雑で、周囲の理解や支援を必要とする人も多いです。

自閉スペクトラム障害とは

自閉スペクトラム障害(または自閉スペクトラム症)は、英名の頭文字をとってASDと呼ばれることもあります。以前は「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」と呼ばれていた時期もありましたが、現在はこれら全てを統合して自閉スペクトラム障害(自閉スペクトラム症)と呼びます。

自閉スペクトラム障害の特性として多くみられるのが、コミュニケーションに関する困難と限定的な興味や行動、反復行動などです。その他、感覚過敏や感覚鈍感などを併せ持つケースも少なくありません。

注意欠如・多動性障害

注意欠如・多動性障害(または注意欠如・多動症)は、英名の頭文字をとってADHDと呼ばれることもあります。以前は注意欠陥・多動性障害と呼ばれていましたが、現在では名称が変更され注意欠如・多動性障害が正式名称です。

注意欠如・多動性障害(注意欠如・多動症)は、その名の通り注意欠如(不注意)や多動性・衝動性が特性として見られる発達障害です。主な傾向として「不注意優勢に存在」「多動・衝動性優勢に存在」「混合して存在」に分類されます。

限局性学習障害

限局性学習障害(または限局性学習症)は、英名の頭文字をとってSLDと呼ばれることもあります。以前は、学習障害と呼ばれていましたが、現在は名称が統一され限局性学習障害が正式名称です。

限局性学習障害とは、知的発達の遅れがないにも関わらず「書く」「読む」「計算する」などの限局的行動に対して困難が見られる障害です。困難がある行動によって「ディスクレシア(読字障害)」「ディスグラフィア(書字障害)」「ディスカリキュア(算数障害)」に分類されます。

発達障害者支援法とは

日本には障害者自立支援法として障害者の暮らしを支援する取り組みがありましたが、発達障害を始めとするいくつかの障害については支援対象とならない期間が長くありました。

そこで2004年に新たに制定されたのが発達障害者支援法です。発達障害者支援法では、発達障害者に対する自立支援給付や地域生活支援事業を国や自治体が主導して行うことを定めています。

発達障害者支援法では、発達障害を理解し、社会が発達障害者の持つ特性を受け入れることも制度の目的のひとつです。

児童福祉法とは

発達障害を持つ子どもは、児童福祉法において定められた支援を受けることもできます
児童福祉法は、発達障害や身体障碍、知的障害、精神障害、その他の難病などを持つ18歳未満の児童を支援する法律です。

児童福祉法には障害者通所支援や障害者入所支援があり、これらの支援では障害を持ちながらも日常生活に必要なスキルや知識を学ぶための支援が行われています。

発達障害者支援を行っている施設

国内には、発達障害者や発達障害児を支援するさまざまな施設があります。施設によって対象年齢や支援内容も異なるため、自分自身にとって必要な支援を受けられる施設を利用する必要があります。

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターでは、総合的な発達障害者支援を提供しています。自分自身(または発達障害を持つ子ども)にとって、どのような支援が必要なのか分からない場合は、まず発達障害者支援センターを利用してみるのもよいでしょう。

発達障害者支援センターでは、医療や福祉、保健、教育、就労などさまざまな支援を提供する中枢機関です。発達障害者が利用できる支援の案内や希望する支援に添った施設の紹介の他、日常生活や労働に関する困り事や日常生活を過ごすうえでの相談支援も受けられます。

発達障害者支援センターでは、障害の診断が降りていない「発達障害グレーゾーン」の人でも、相談支援を受けられるのが特徴です。発達障害の診断が出ていないものの、特性によって困り事を抱えている人や、子どもに発達障害のような特性が見られ子育てに悩んでいる人なども、発達障害者支援センターを利用してみるとよいでしょう。

障害者就業・生活支援センター

障害者通所・生活支援センターでは、18歳以上の障害者に対する就労・生活支援を提供しています。障害者・生活支援センターでは、発達障害に限らず、身体、知的、精神などすべての障害者が支援対象です。

2023年時点で全国に300カ所以上が設置されており、障害の内容に応じて障害者が無理なく就労できるよう仕事の紹介や就労・地域生活に関する相談支援なども提供しています。

児童発達支援センター

児童発達支援センターは、主に18歳未満の発達障害児を対象とした支援施設です。福祉型、医療型の2種類に分かれており、発達障害を持つ子どもが健やかに社会生活を送れる知識やスキルを獲得するためのトレーニングなどを行います。

地域の発達障害児支援の中核施設としての役割を持ち、障害児の支援はもちろん障害児の家族などの支援にも対応しているのが特徴です。

相談支援事業所

相談支援事業所では、障害者のさまざまな相談に対して専門的な知識を持った相談支援専門員が支援を提供します。支援の内容は多岐に渡り、福祉サービスの利用援助や就労・生活に関する助言や指導が主な支援です。

その他、障害者にとって必要とされる専門機関の紹介や当事者同士で悩みを共有・共感し合いながら自立と社会参加を目指すピアカウンセリングを提供している事業所などもあります。

発達障害者が受けられる5つの支援制度

発達障害者が受けられる支援制度にはさまざまなものがあります。障害の強さや障害者手帳の有無などによって受けられる制度に限りがありますが、生活上で困難を減らしながら生活するためにも、自分が受けられる支援の内容を知り、利用してください。

1.自立支援医療制度

自立支援医療制度は、医療費に対する公費負担支援です。制度を利用した場合、自己負担は1割となり残り9割は健康保険と自立支援医療制度で賄われることになります。ただし、所得によっては負担上限が設定されるため、制度を利用する際には内容をよく確認しましょう。

自立支援医療制度で精神科に通院する場合、外来や外来での投薬、デイケア、訪問看護などが支援の対象となります。

2.障害年金

20歳以上の発達障害者の場合、障害年金を受給できる可能性もあります。ただし、障害年金を受給するには、さまざまな条件があるため事前に自治体の役所などで確認するとよいでしょう。

なかでも、特に注意すべきなのが初診日についての条件です。発達障害で障害年金を受け取るためには、20歳になるまでに発達障害で受診した初診日を証明する資料が必要となります。

3.医療費の減額

発達障害で障害者手帳を取得している人に対して、医療費の減額支援を行っている自治体も多くあります。障害者手帳による支援制度ではデイケアや療育についての自己負担金の一部を支援してくれるものも多くあるため、障害の程度によっては障害者手帳の取得を検討してみるのもよいでしょう。

4.税金の控除

医療費の減額と同じく、障害者手帳を取得している場合、障害の重さによっては税金の控除を受けられることがあります。障害の重さを表す等級によって、所得税や住民税などが控除もしくは減免されるケースがありますので、確認してみてください。

5.公共サービスの割引

医療費の減額と同じく、障害者手帳を取得している場合、障害の重さによっては公共サービスの割引を受けられることがあります。割引を受けられる公共サービスにはNHK受信料や公共交通機関の割引、航空会社の割引、携帯電話料金の割引、公共施設の入場・利用料割引などがあります。

発達障害者が支援サービスを利用する方法

発達障害者が障害福祉サービスを利用する際の流れは以下のとおりです。
1.住まいの自治体の窓口で申請を行う
2.障害者支援区分における認定を受ける
3.サービス等利用計画書を作成・提出する
4.自治体から支援の決定通知を受け取る
5.支援サービスが利用できるようになる
申請は原則障害者本人が行うことになっていますが、子どもの場合は保護者が申請できます。また、障害によって申請が難しい場合、障害者本人から依頼を受けた代理人が申請することもできるため、周囲の協力を得ながら申請をするとよいでしょう。尚、代理人に申請を依頼する場合、委任状などは不要です。

支援制度を利用して負担を減らそう

発達障害者のなかには、日々の生活にさまざまな困難を抱えている人も少なくありません。少しでも日常生活の負担を抑えるためにも、支援制度を利用して心配ごとを減らしていくのがよいでしょう。

また、支援の存在が広まることは発達障害者への理解が広まることにも繋がります。特に発達障害は見た目で分からないことから、理解を求めるのが難しい障害でもあります。支援を利用したり障害者手帳を提示したりすることで、障害があることを示し配慮を求めやすくなるでしょう。

支援制度は適切に利用し穏やかに日常生活を送れるよう、まずは支援の種類や内容、利用方法などを知ってみてください。

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