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療育における個別支援計画書の書き方を徹底解説!放課後等デイサービス向けの記入例も紹介

個別支援計画書とは

個別支援計画書とは、療育センターや発達障害支援事業、放課後等デイサービスにおいて明確な目標を持って利用者の発達を支援するための計画書です。

療育において必ず必要なもので、入所時に作成したものを6カ月ごとに見直し・再作成しながら支援についての計画を立てていきます。

療育の仕事については以下のコラムでも詳しく紹介しています。
療育の仕事について知りたい人はぜひ参考にしてみてください。


【療育の仕事内容ってどんなもの?一日の流れや支援に必要な資格とは】のページはこちらをクリック

個別支援計画書の目的

個別支援計画書は、目標を立てて明確なゴールを目指しながら療育に取り組むことを目的として作成しています。

利用者や保護者の希望、現状、今後の希望、発達支援に関わるスタッフが共有すべき情報などが全て記載されている療育に欠かせない資料です。

個別支援計画書にはスタッフ同士の情報共有の目的以外に、保護者が子どもの発達支援の内容について知るという目的もあります。どのような支援が行われているのか、支援によって子どもの発達はどのように変化しているのかなど、保護者にとっても重要な情報源のひとつです。

そのため、個別支援計画書は児童発達支援管理責任者が作成するよう定められています。

個別支援計画書を作成する際に押さえるポイント

個別支援計画書を作成する際には、以下のポイントを押さえて作成していきましょう。
  • 利用者や保護者が望んでいる生活を実現できるよう支援計画を立てる
  • 利用者自身に努力を求めるのではなく、どのような支援を行えば目標が達成できるのかを明確に記載する
  • 内容は児童発達支援管理責任者の独断で作成するのではなく、利用者や保護者、職員などを含めた会議を行った上で作成する
  • 作成した支援計画書に基づいて支援を行う
  • 最低でも6カ月ごとに見直しを行う
個別支援計画書は、療育を進める上での仕様書とも考えられます。目標の設定は利用者や保護者が求めるものや、利用者のQOL(quality of life:生活の質)の向上を目的としたものを定める必要があるでしょう。

また、利用者に不可能な内容を書きつらねたり、努力を求める内容を記載するだけでは個別支援計画書を作成する意味がありません。どうすれば不可能を可能に変えられるのか?どのような支援を行えば利用者の発達を促すことができるのかという点にスポットを当てた内容を作成します。

作成した内容は必ず、利用者本人および保護者や他職員を交えた会議で精査し最終決定を行うことも大切です。利用者や保護者はもちろん、児童指導員、保護者、心理士、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士など各専門家からの意見を元に効果的な個別支援計画書を作成するため、さまざまな意見を取り入れる必要があります。

個別支援計画書に必要な項目

個別支援計画書では以下の項目について記載します。
  • 利用者の現状
  • 利用者のニーズ
  • メインとなる目標と達成時期
  • その他の目標と達成時期
  • 個別支援の内容
  • 支援を行う際の留意事項

個別支援計画書の書き方

個別支援計画書を書く時には、1つ1つの手順を踏んで作成していくとよいでしょう。続いては、基本的な個別支援計画書の書き方について解説します。

手順1.アセスメント

個別支援計画書を作成する場合、最初にアセスメント(面談)を行います。
児童発達支援管理責任者と利用者および保護者との3者にてアセスメントを行うのが一般的です。

児童発達支援管理責任者は、アセスメントで以下について聞き取りを行うとよいでしょう。
  • 利用者(子ども)の特性について(得意なことや不得意なこと、保護者からの視点でも伺う)
  • 利用者の今後の希望(何をしたい、何をできるようになりたい等)
  • 保護者の今後の希望(療育でどのような支援をして欲しいか等)
また、アセスメント行った日時や内容について記録を取り、情報を保管しておくことも大切です。個別支援計画書の作成や今後の支援方法を考える際の振り返りに必要となる場合もあります。

手順2.原案の作成

児童発達支援管理責任者は、アセスメントの内容を元に個別支援計画書の原案を作成します。

この段階では児童発達支援管理責任者がアセスメントを行ったうえで利用者に必要と思う支援について記載していくとよいでしょう。利用者の気持ちに寄り添い、適切に支援するための方法を記載していきます。

手順3.カンファレンス

個別支援計画書の原案ができたら、他スタッフを交えてカンファレンス(担当者会議)を行います。カンファレンスは、利用者と関わるスタッフ全員の参加が望ましいです。

児童指導員、保育士、心理士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など、各専門分野のスタッフからの意見を募って個別支援計画書について細かい部分を話し合います。

原案の内容で利用者の希望に添う支援が可能なのか、他に効果的に行える支援があるか、など様々な意見を交わして、個別支援計画書の内容をブラッシュアップしていきましょう。

カンファレンスの内容も、アセスメント同様記録をしておきましょう。カンファレンスの開催日時や、話し合った内容などの議事録を保管しておきます。

手順4.個別支援計画書の作成

原案をカンファレンスによってブラッシュアップし、最終的な個別支援計画書を作成します。作成した個別支援計画書は、、利用者と保護者に公開し内容を十分に説明しましょう。

利用者および保護者が個別支援計画書の内容に同意した場合、複写したものを交付します。正式な個別支援計画書として担当スタッフにも公開し、支援を行ううえでの指針として利用します。

手順5.モニタリング

個別支援計画書は作成して終わりではありません、作成後は、6ヵ月に1度以上のペースでモニタリング(計画の見直し)を行いましょう。

目標は達成できているか、計画通りの内容で適切な支援が行えているのかなどをモニタリングします。モニタリングの日時や内容に関する記録も適切に保管しておくことが大切です。

特に年齢の低い子どもの場合、成長や発達のスピードが速いケースが多いため短期間でのモニタリングが必要です。支援内容を変更する場合には、再度個別支援計画書を作り直します。

【未作成減算の対象になることも】個別支援計画書の不備で基本報酬が減算されることがある

個別支援計画書の不備は、基本報酬減算の対象となります。

これまで、個別支援計画書の未作成の場合5%減算とされていましたが、計画書の重要性を加味し2018年に行われた改正によって減算率が30%となりました。

個別支援計画書は、療育において重要性が高く効果的な支援を行うために大切なものです。未作成だけでなく、内容が曖昧であったり不備があったりする場合にも減算対象となる恐れがあるため、個別支援計画書は基本に沿って丁寧に作成する必要があります。

個別支援計画書を作成する際の注意点

個別支援計画書を作成していても、内容に不備があったり書き方や作り方に問題があったりすると減算対象となる可能性があります。

個別支援計画書を作成する場合には、以下のポイントに注意してみてください。

記録を残しておく

個別支援計画書を作成する際のアセスメントやカンファレンス、モニタリングなどは、必ず行わなければいけないものです。そのため、アセスメントやカンファレンス、モニタリングを行った際には、必ず記録を保管しておきましょう。

いつ行ったのか、どのような内容であったのか、などの簡易的な記録でも構わないので、適切に手順を踏んで個別支援計画書を作成した証として記録が必要です。

実際にアセスメントやカンファレンス、モニタリングなどを行っているのにも関わらず記録を残していない場合、減算対象となる可能性もあるので注意しましょう。

児童発達支援管理責任者が作成する

個別支援計画書を作成できるのは、児童発達支援管理責任者の資格所持者のみです。児童発達支援管理責任者の個別支援計画書作成は厚生労働省によって義務付けられています。

資格を持たないスタッフが個別支援計画書を作成していた場合、減算対象となる可能性があります。

ただし、児童発達支援管理責任者基礎研修を修了し、実践研修受講前のみなし配置されたスタッフは例外とされています。みなし配置されたスタッフの場合、2人目の児童発達支援管理責任者として原案の作成が可能です。

法律や規定の範囲内で業務を分担しながら、効率良く個別支援計画書の作成業務を行いましょう。

個別支援計画書は利用者および保護者に必ず同意を得て説明・交付する

個別支援計画の作成は療育を受ける利用者や保護者のために行われるものです。そのため、個別支援計画は利用者および保護者への説明義務があります。

また、個別支援計画について利用者や保護者がいつでも記録や内容を把握できるよう、計画書の公布も義務付けられています。

個別支援計画書は必ず利用者および保護者に対して児童発達管理責任者が説明を行い、控えを交付してください。説明義務を怠ったり、交付していなかったりする場合には減算対象となる可能性もあります。

モニタリングを定期定に行い計画を見直す

療育における個別支援計画は、少なくとも6カ月に1度はモニタリングを行うことが義務付けられています。利用者の発達を確認し、都度適切な支援を行うために大切なことです。

モニタリングを行った際には、現状の支援の継続もしくは新たな支援計画の立案を行うことになります。この際、モニタリングを行った記録だけでなく、どのような結果を得たのかについても記録を残し保管しておきましょう。

個別支援計画書は同じものを使い回さない

モニタリングを経て、同内容での支援を継続する場合でも計画書は使い回しせずに再作成しましょう。

全てを一から作り直す必要はありませんが、利用者の現状や支援についての留意事項など内容を変更すべきポイントは必ずあるはずです。

最低でも2~3割については内容を更新して作成してください。

個別支援計画書の記入例

個別支援計画書は、特に決まったフォーマットがありません。そのため、必要な内容が記載されていれば、どのような形式で作成しても問題ないでしょう。

ただし、個別支援計画書は児童発達支援管理責任者だけでなく、利用者や保護者、他の療育スタッフ全員が見るものです。フォーマットは統一し、誰が見ても分かりやすい内容にまとめる必要があります。
個別支援計画書の例
目標や支援については、なるべく具体的に記載することも大切です。
積極的にデイに通う→週何回以上通う
集団行動を頑張る→最初から最後までクラス内で支援を受ける
勉強を頑張る→〇年生の習得内容を理解する(テストで〇点を取る)
内容を書く時には箇条書きにしていくことで、誰が見ても分かりやすい資料となります。一文を短く簡潔に記載するよう意識してみてください。

個別支援計画書を適切に作成して効果的な支援に取り組もう

利用者にとって個別支援計画書はとても大切な支援のための指針になります。児童発達管理責任者は、責任を持って個別支援計画書の作成業務にあたる必要があると分かりましたね。

今回紹介した書き方やポイントを参考に、効果的な支援を行える計画書を作成してみてください。

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