療育におすすめの資格6選！資格の概要や合格率・取得方法・条件など徹底解説

療育に関する資格については以下のコラムでも詳しく紹介しています。
療育に関する資格について知りたい人はぜひ参考にしてみてください。

【児童発達支援士とは？資格の取得方法からメリットまで解説】のページはこちらをクリック

【保育士が児童発達支援士の資格を取るメリットとは？取り方や転職にも活かせる理由を解説】のページはこちらをクリック

【児童発達支援士は独学でも資格がとれる？概要や取得方法も徹底解説】のページはこちらをクリック

療育に関わる資格に国家試験はあるの？

療育に関わる資格は、民間の企業や団体、法人などが主催している認定資格が多く、厚生労働省などが主催する国家資格はほとんどありません。
そのため認定資格でも充分にキャリアアップや療育の質を高めることに活用できるでしょう。

療育に関する専門的な国家資格はありませんが、以下の資格や任用資格は療育分野でも活用できると言われています。

保育士（国家資格）
幼稚園教諭（国家資格）
学校教員（国家資格）
公認心理士（国家資格）
児童指導員（任用資格）

これらの資格所持者は、療育の現場で求められる人材と言えるでしょう。

発達障害を持つ子どもを療育するに当たり、有資格者を積極的に採用する療育施設が大半です。その中でも、児童指導員や保育士資格所持者は需要が高く、就業条件も好待遇で設定されていることが少なくありません。

児童指導員の資格とは

療育業界で需要の高い児童指導員は、厚生労働省が認定する「任用資格」のひとつです。児童福祉法によって定められた施設において児童支援に従事する際に活躍する資格と言えるでしょう。

任用資格は該当する業務に従事している間のみ名乗ることができる限定資格のようなもので、国家資格や認定資格のような試験などはありません。ただし、児童指導員の任用資格を受けるには以下のいずれかの条件に当てはまっている必要があります。

地方厚生局長等指令の児童福祉施設職員養成学校を卒業していること
社会福祉士の資格所持者
幼稚園教諭または学校（小・中・高）教員資格所持者
大学または大学院で社会福祉、心理、教育、社会のいずれかの学部を卒業していること

この他、特定の実務経験を満たすことで児童指導員の任用資格を受けることもできます。

任用資格は業務に従事することで得られる資格なので、児童指導員の任用資格を受ける条件が揃っていれば療育施設に就職することで児童指導員資格を得られます。

療育に関わる人におすすめの認定資格6選

認定資格とは、さまざまな団体が独自に決めたカリキュラムや試験に合格することで、それらの知識を得た事実を認められるものです。

療育の現場で役立つさまざまな認定資格を紹介していきます。

1.児童発達支援士

一般の人でも聞き馴染みのある児童発達支援士。療育に関わるさまざまな認定資格の中でも特に知名度が高いのが特徴です。

資格の内容

児童発達支援士資格は、一般社団法人　人間力協会の認定資格です。

自閉症療育に長年携わった主催者の提唱する、療育に関する根本的アプローチ方法を学びます。療育従事者にとってさまざまな知識や考え方を知ることができる認定資格と言えるでしょう。

合格率

児童発達支援士資格試験の合格率は80～90％と言われており、カリキュラムの内容を充分に理解していればそれほど難しい試験ではないでしょう。
試験の合格基準は70％以上の正答率です。

受験資格

児童発達支援士の認定資格試験を受験するに当たり、必要な資格等はありません。

療育に従事する人や、保育士、幼稚園教諭、小学校教諭などを対象としていますが、言語聴覚士や発達障害の子どもを持つ親まで幅広い人が受験しています。

取得方法

オンラインで行われる試験に合格すれば、認定資格を取得できます。

取得にかかる費用

認定資格取得に向けた講座の受講料は37,400円（税込）です。
別途、試験料金4,070円（税込）が必要です。

2.子ども発達障害支援アドバイザー

子どもの発達支援に関するアドバイザー資格は、療育関係者以外にも保育園、幼稚園、小学校教諭から注目されています。

資格の内容

子ども発達障害支援アドバイザー認定資格は、一般社団法人　発達障害支援アドバイザー協会が主催しています。

発達支援を持つ子ども達が合理的配慮を受けられるよう、専門的な知見をもって支援方法の提示ができるアドバイザーの育成を目的としている認定資格です。

子ども発達障害支援アドバイザーは、段階的に学ぶことができ
初級認定資格として「発達障害支援アドバイザー」
中級認定資格として「発達障害シニアアドバイザー」
上級認定資格として「発達支援インストラクター」
があります。

※感染症対策で、認定試験がオンライン形式になったことにより現在はシニアアドバイザーコース以上の認定資格試験は中止しているようです。

合格率

子ども発達障害支援アドバイザー認定試験について、合格率は公式に発表されていません。合格基準は、認定試験において70％以上の正答率です。

受験資格

受験資格は特にありませんが、以下に該当する人は必須受講内容の一部が免除されます。

医師、看護師（准看護師）、公認心理士、臨床心理士、児童発達支援管理責任者、相談支援専門員、強度行動障害支援者陽性研修実践家庭終了、精神保健福祉士、社会福祉士、幼稚園教諭、保育士、教員免許取得者、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士

上記資格は複数該当、ひとつ該当のどちらでも構いません。

取得方法

受講過程終了後、認定試験課題を提出し、試験に合格すれば認定資格が取得できます。

取得にかかる費用

受講料は33,000円（税込）で認定証の発行には別途費用がかかります。

3.発達障害児支援士

発達障害支援のプロとしての知識を学べる発達障害児支援士の認定資格は、これから療育業界で働きたいという人に特におすすめです。

資格の内容

発達障害児支援士は、四谷学院が主催している認定資格です。児童発達支援士とよく似ているため混同されがちですが、これらは別の認定資格なので注意しましょう。

学習内容は児童発達支援士とよく似ていますが、発達障害児支援士は中上級者向けの内容といえます。療育の現場で活用したいのであれば発達障害児支援士認定資格を選ぶのがおすすめです。

合格率

発達障害児支援士の認定資格試験の合格率は現在80％以上と言われています。

受験資格

発達障害児支援士の認定資格取得には受験資格などありません。

しかし、本認定資格は以下の方を対象に講座内容が設定されているようです。

保育士、幼稚園教諭、小学校教諭
療育従事者
発達障害児支援者

このことからも療育業界や児童教育・福祉に関わる人におすすめの認定資格と言えます。

取得方法

発達障害児支援認定資格試験は記述式のオンライン形式で行われます。また、講座受講後のレポート提出も必要です。

取得にかかる費用

発達障害児支援士認定資格の取得に必要な費用は109,780円（税込）です。
試験料金等が不明ですので、別途料金の追加等が必要な可能性もあります。

4.早期発達支援士

続いて紹介するのは、やや上級者向けの認定資格「早期発達支援士」です。四谷学院が主催する発達障害児支援士とは別団体が認定している資格です。

資格の内容

早期発達支援士認定資格は、一般社団法人　こども家族早期発達支援学会が認定しています。

基礎的な子どもに対する知識を持つ人を対象としている認定資格で、資格認定条件を満たす必要もあるため注意しましょう。保育、療育業界などに従事している人がキャリアアップを目的に取得する認定資格としておすすめです。

合格率

早期発達支援士認定資格の合格率は発表されていません。条件を満たせば認定される一方、認定条件に実務経験が含まれることもあり簡単に取得できる認定資格とは言えないでしょう。

しかし、その分キャリアアップへの効果が期待される認定資格でもあります。

受験資格

早期発達支援士の認定を受けるためには以下の資格が必要です。

こども家族早期発達支援学会の一般会員（または正会員）

以下に該当し、過去5年間において以下の業務における400時間異常の実践経験
幼稚園、学校教員（非常勤含む）
公的児童相談関係職員（非常勤含む）
保育園または児童福祉施設職員（非常勤含む）
発達支援に関する医療または療育機関職員（非常勤含む）
保育園、学校、学童などの支援経験
学校心理士、特別心理士、臨床心理士、臨床発達心理士
大学、大学院などで子どもの発達に関する臨床、研究を行っている人
こども家族早期発達支援学会が認めた実績を持つ人

実務経験が必要な資格なので、保育士、幼稚園教諭、小学校教諭などから療育業界に転職する際におすすめの認定資格です。

取得方法

主催団体が行う6領域12講座を受講後、資格認定条件を満たす必要があります。さらに、自身が支援を行った事例を報告書として提出し、書類選考に合格すると資格認定の対象となります。

取得にかかる費用

受講料の他、資格申請審査料22,000円（税込）、資格認定料33,000円（税込）が必要です。
受講料については、団体に会員登録後受講講座の申し込みを行う際にご確認ください。

5.発達障害コミュニケーション指導者

発達障害者と健常者の関わり方を指導する発達障害コミュニケーション指導者は、療育従事者に関わらずボランティアとして発達障害者に関わる人や発達障害児の保護者などにもおすすめの認定資格です。

資格の内容

発達障害コミュニケーション指導者認定資格は、一般社団法人日本医療福祉教育コミュニケーション協会が主催しています。

発達障害を持つ人を正しく支援する方法を学び、指導者を育成する目的で行われており、認定資格は3段階に分かれています。
「初級指導者」「中級指導者」「上級指導者」に分かれ、中級、上級に関しては実務経験が求められます。

今後、教育機関でも発達支援児童へのコーディネーター的存在が求められるようになる可能性を考えると、一般の保育士、幼稚園教諭、学校教諭などにとっても有効な認定資格となるのではないでしょうか。

もちろん、療育従事者にとっても取得をおすすめしたい認定資格です。

合格率

試験がないため合格率は発表されていません。講座受講とレポートの作成で認定されるため、比較的取得しやすい認定資格と言えるでしょう。

ただし、中級・上級は実務経験が必要なため、取得のハードルが上がります。

受験資格

発達障害コミュニケーション指導者認定資格は、特に受験資格がありません。
療育従事者から一般の方まで幅広い人におすすめの認定資格です。

取得方法

資格取得には、指定講座の受講とレポート提出が求められます。中級、上級に関しては実務経験も必要です。

取得にかかる費用

受講料は講座内容や会場などによって異なり、場合によってはテキストの購入を求められることもあります。また、DVDによって講座内容を学習することもでき、初級指導者講習会DVDセットは40,000円（税込）で販売されています。

また、認定料には別途4,000円（税込）必要です。

6.発達障害学習支援サポーター認定

発達障害を持つ子ども達には、日常生活だけでなく学習においてもフォローが必要でしょう。このようなケースへの対応方法を学べるのが、発達障害学習支援サポーター認定です。

資格の内容

発達障害学習支援サポーター認定は、一般社団法人　子ども・青少年育成支援協会が主催しています。

発達障害を持つ子どもたちの学習支援をメインに、専門知識や支援のアプローチ方法などを体系的に学ぶことができます。
学習支援に特化していることもあり、療育の中でも放課後等デイサービス従事者や学校教諭におすすめの認定資格です。

支援の方法論などを学ぶ発達障害学習支援サポーター
学習支援に必要なアセスメントの実践的方法を学ぶ発達障害支援シニアサポーター
教科学習促進を含む発達障害学習支援全般を学ぶ発達障害学習支援エキスパートサポーター
の3つの認定資格があります。

合格率

公式に合格率は発表されていません。ただし、合格基準は60％以上の正答率なので、比較的ハードルは低いと言えるでしょう。

受験資格

発達障害学習支援サポーターの資格試験を受けるには以下の資格保有が必要となります。

臨床心理士、公認心理士、臨床発達心理師、社会福祉士、精神保健福祉士、教員、保育士、幼稚園教諭、医師、看護師（准看護師）、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、児童発達支援管理責任者

資格申請時に、上記資格証を画像で提出します。

取得方法

団体の指定する講座を受講後、試験に合格すれば認定資格を取得できます。
資格試験は、用語記述問題と後藤洗濯問題が出題されます。

取得にかかる費用

取得にかかる費用は、クラスごとに異なります。
初級発達障害学習支援サポーターの場合、5時間の養成講座の受講費用が29,700円（税込）で試験料も含まれています。

他にも色々ある！療育に関わるおすすめの認定資格

療育に関わる認定資格は多く、今回紹介した主要なもの以外にも以下の認定資格がおすすめです。

チャイルドカウンセラー
一般財団法人　日本能力開発推進協会が認定。医療・福祉・教育における児童心理のスペシャリスト育成を目的としている認定資格。
発達障害に関わらず、子どもとの関わりについて深く学べる。

自閉症スペクトラム支援士
NPO法人　日本自閉症スぺクラム支援協会が認定。資格申請には保育士・幼稚園教諭・学校教諭・児童福祉施設職員・心理士などの資格が必要。自閉症スペクトラム支援に関するスぺシャリストとして3種の認定を受けることができる。スタンダードコースでも研究大会への参加や実務経験、試験があり非常に難易度の高い認定資格。

運動療育支援員
NPO法人　運動保育士会が認定。運動療育に関する支援員育成を目的に認定されており、運動遊び実践コースと発達障がい支援コースがある。療育従事者以外にも、保育士、幼稚園教諭などにも実践的で役に立つ運動療育を学ぶことができる。

発達障害に関する資格取得をおすすめする理由

発達障害に関する資格の多くは認定資格なので、療育に従事するために必ず必要な訳ではありません。しかし、取得することでさまざまなメリットを受けられるでしょう。
最後に、発達障害に関する資格取得をおすすめする理由について解説します。

転職で活用できる

異業種から療育業界に転職する際、認定資格を取得することで療育への知識を深めることができます。また、認定資格の内容によっては就労条件などの優遇を受けられることもあるでしょう。

より良い条件で療育業界に転職したいという人は、転職活動を行う前に認定資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

発達障害や療育について学べる

認定資格の目的はあくまで、知識やノウハウの習得です。認定資格取得のために学習することで、これまで知らなかった発達障害についての知識や療育に関するノウハウを得ることができるでしょう。療育に携わるものとして、知識のアップデートは欠かせません。自身のスキルアップのために認定資格取得を検討してみるのもおすすめです。

保護者の安心感に繋がる

保護者にとって、認定資格は療育従事者の知識の有無を簡単に知れる基準とも言えます。資格を持っている療育スタッフは比較的信頼を得やすいと言えるでしょう。

資格を持ってプロを名乗ることで、保護者も心を開きやすく発達障害に関する悩みごとなどを相談してくれやすくなります。