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療育に携わる心理学科卒業生の仕事とは?発達障害児に関わる心理士の役割も紹介

心理学科卒業生の需要が高まる療育業界とは

近年、心理学科卒業生や心理士の求人数が軒並み増加している療育業界。心理学について勉強し、子どもに関わる仕事をしたい人や困っている人を助ける仕事をしたいという人に人気です。

まず、療育とはどのような内容なのかを簡単に紹介していきます。

発達障害とは

発達障害は、生まれ持って発達に凹凸を持つ状態のことです。自閉スペクトラム症や注意欠陥・多動症、学習障害などに分類されます。

脳機能障害が原因であるとされ、治療方法はありません。日常生活が難しい位の障害を持つ人も居れば、自分自身が発達障害であることに気付かず大人になる人もいます。

特性によってさまざまな生きづらさを抱えているケースが少なくありません

療育とは

発達障害は治療方法がないからこそ、特性とうまく付き合いながら社会生活を送ることが必要とされます。そこで、発達障害を持つ子ども達を医療的配慮のもと教育するのが療育です。

療育では、児童指導員、保育士、心理士、作業療法士、言語聴覚士、理学療法士などが連携して子どもの特性を分析し、どのように社会へ順応できるように導くのかを検討・実践します。

療育とは、社会生活を送るうえで避けられない「苦手」に対する乗り越え方や、周りの人との関わり方を教え、発達障害児が健やかに成長できるようサポートする仕事と言えます。

心理学科の卒業生が関わることのできる療育の仕事と必要な資格

心理学科を卒業後、療育に関わる仕事をする場合、2つの職種に就くことができます。それぞれに必要な資格が異なることも知っておきましょう。

心理指導担当職員

療育施設における心理指導担当職員とは、療育における心理職スタッフです。心理学をベースとした機能訓練担当職員とも言えます。

本来、心理指導担当職員に資格は必要ありません。しかし、心理指導担当職員は以下に当てはまる人材でなければならないことが法律で定められています。
“心理療法担当職員は、学校教育法の規定による大学の学部で、心理学を専修する学科 若しくはこれに相当する課程を修めて卒業した者又は同法の規定による大学の学部で、 心理学に関する科目の単位を優秀な成績で修得したことにより、同法第百二条第二項の 規定により大学院への入学を認められた者であつて、個人及び集団心理療法の技術を有 し、かつ、心理療法に関する一年以上の経験を有するものでなければならない。”

引用元:厚生労働省 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/tuuchi-04.pdf
心理指導担当職員は、有資格者でなければいけない訳ではありません。しかし、発達障害を抱える子ども達の複雑な心理を読み解き導くことのできる知識や技術が求められます。こういった経緯から、療育業界では心理学に精通している心理学科を卒業している人の需要が高まっています。

また、心理学に関する知識や技術の証明となる資格を持っている人も、心理指導担当職員としての需要が高まっています。特に心理指導担当職員として求められている資格は「公認心理師」と「臨床心理士」です。有資格者であることで就業条件を優遇されるケースもあるでしょう。

公認心理師

公認心理師は、心理学における唯一の国家資格です。2015年に公認心理師法が制定され、2018年に第1回資格試験が行われました。

心理学に基づき、心理的支援を必要とする人に対して「分析」「助言」「指導」などを行う仕事です。まだ歴史の浅い資格のため、資格所持者も少なく業務内容も臨床心理士と大差ありません。

しかし、今後公認心理師にしかできない業務も出てくるであろうことが予想される資格です。

臨床心理士

臨床心理士とは、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。心理職の中でも特に知名度の高い資格で、心理専門職に相応しい知識や技術を持つことの証明ができる資格と言えます。

業務内容は公認心理師と同様です。公認心理師との大きな違いは、取得方法と言えます。公認心理師の取得方法はさまざまな手段があるのに対し、臨床心理士は協会の認定する大学院の卒業資格が必要です。また、臨床心理士は5年ごとに更新が必要なのも特徴的です。

児童指導員

児童指導員は任用資格のひとつです。特別な資格試験や認定証書などはなく、心理学科を卒業している人は社会福祉職や児童福祉職に就いた際に自動的に児童指導員としての資格を得ることになります。

大学の卒業証書が児童指導員任用資格の取得証明になるため、大切に保管しておくようにしましょう。療育における児童指導員は、保育士に類似した職種です。子どもたちの生活や療育をサポートする存在として業務に当たります。

療育における心理指導担当職員の仕事内容

療育の現場において、心理指導担当職員は以下のような業務を担当します。

臨床心理査定(心理アセスメント)

臨床心理査定(心理アセスメント)とは、カウンセリングや心理療法などを用いて発達障害児の心理状態を評価、判断することを言います。

効果的な心理学的アプローチを行うために欠かせない工程で、発達障害児の特性や社会生活における問題点などを明らかにすることが目的です。

心理療法

心理学に基づき、発達障害児の持つ心の問題を解消していく作業を行います。遊戯療法(プレイセラピー)や芸術療法などが有名です。

また、認知行動療法や集団心理療法などを通じ、心理学の専門家として発達障害児の心理にアプローチします。

保護者のサポート

発達障害児の療育を効果的に行うためには、保護者や周囲の人の理解とサポートが欠かせません。心理指導担当職員は、保護者と面談を行い日常生活の過ごし方などの指導をすることもあります。

また、保護者が持つ発達障害児の育児に関する悩みを聞き、今後の課題や対応方法を考えることも心理指導担当職員の仕事のひとつです。

教育機関との連携

療育に通っている児童が一般の保育園や幼稚園にも同時に通っている場合、心理指導担当職員をはじめとする療育スタッフと保育園・幼稚園スタッフが連携をとることもあります。

より合理的な配慮を行うために、療育スタッフと保育園・幼稚園スタッフが今後の指導方法について話し合うことも珍しくありません

療育における児童指導員の仕事内容

児童指導員は療育施設において子ども達の生活や療育を支援することが主な業務です。心理士、理学療法士、聴覚療法士、言語療法士などと一緒に立案した生活指導計画を元に療育を行います。

また、心理指導担当職員と同じく一般の保育園や幼稚園との連携をとることも児童指導員の役割です。

心理学科卒業生が療育業界で働いた場合の平均年収

仕事を選ぶ際は、給与に関しても気になる人が多いでしょう。続いては、心理指導担当職員や児童指導員の年収について紹介します。

心理指導担当職員の年収

令和2年度の障害福祉サービス等従事者の平均給与を調べた調査結果を見ると、心理指導担当職員の平均給与額は常勤の場合379,940円、非常勤の場合252,890円でした。

※参照 厚生労働省 令和2年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査(臨時調査)結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/toukei/shogu_tyousa/dl/r02_gaiyou.pdf

ただし、この調査結果は年数や資格の有無、公立施設・私立施設などさまざまな条件を平均化したものです。一般的に心理指導担当職員の月収は230,000~280,000円が相場と言われています。また、資格の有無や施設の運営母体などによって給与は変動するでしょう。

年収は350~600万円と大きな幅があります。これも運営母体によって賞与や資格手当の金額などに差があるためです。心理指導担当職員の給与に関しては、求人を探す前に特によく内容を確認しておくことが大切です。

児童指導員の年収

児童指導員の平均年収は450~550万円程と言われています。しかし、これらの平均額は施設によっても大きく異なります。公立施設の場合は公務規定の給与水準となるため、平均年収相当の給与額が期待できますが、私立施設の場合は比較的低水準になることが一般的です。

【合わない職場を避けるためには?】心理学科生が療育の仕事を探す時のポイント

療育は発達障害によるさまざまな特性を持つ子どもたちと向き合につつ、さまざまな専門家と連携して仕事を行います。

自分に合う職場を見つけることができればやりがいのある仕事ができますが、合わない職場を選ぶとさまざまなジレンマを抱えてしまうことになりかねません。

自分に合う療育施設を選ぶために、以下のポイントに注目して求人を探してみてください。

【チェックポイントその1】施設の方針

心理指導担当職員に特定の資格は必要ありません。そのため、他スタッフと心理士の仕事の境界線が曖昧になりがちです。
本来、心理の専門家である心理指導担当職員が行うべき心理的アプローチですが、施設によっては児童指導員や保育士なども技術を学び療育支援として行うことがあります。

心理学を全てのスタッフが正しく理解して療育に活かすことができれば、発達障害を抱える子ども達にとってより良い時間となるでしょう。
しかし、曖昧なまま心理学を療育に取り入れているケースも少なからずあります。

経営者のなかには「どんなスタッフでも勉強して心理的アプローチができるようになってほしい」という想いを持つ人も少なくありません。しかし、心理を専門的に学んできた人にとって、自分の培ってきた知識の価値に対して疑問を感じてしまう人も多いのです。

そんな状況に心理指導職員がジレンマを感じてしまうケースが多く聞かれます。一方で、施設の心理指導担当者主導の元、スタッフ一丸となって療育に取り組んでいる施設があるのも事実です。

施設における心理指導担当職員の立ち位置や仕事領域など、業務方針を事前によく確認するようにしましょう。

【チェックポイントその2】業務内容

心理士として療育に携わりたいと考えている人の中には、発達障害を抱える子ども達に直接関わって心理学の知識や技術を発揮したいと思う人も少なくないでしょう。もちろん、それも心理指導担当職員の大切な仕事です。

一方で、心理指導担当職員は大変書類仕事の多い職種でもあります。
個別指導計画書の作成や児童連絡票の作成など、さまざまな書類仕事があり、理想の働き方とのギャップに悩む心理士も珍しくないのです。

基本的には児童指導員や保育士などと連携して行いますが、心理指導担当職員も書類仕事がとても多いことを理解しておくとよいでしょう。

また、先任の心理指導担当職員の働き方について尋ねるのもおすすめです。施設において、心理指導担当職員がどのような働き方をしているのか事前に確認しておくと、就職後のギャップを埋めることができます。

【チェックポイントその3】就業条件

福祉職で多いのが「最初は強くやりがいを感じていたけれど、段々給与に見合わないと思ってしまった」という退職理由です。

また、やりがいを強く感じたり、社会貢献をして世間から尊敬されたりする仕事をしていても、終業後や休日に疲れ果てて何もできない状態になってしまうと長くは続きません。

スタッフが身心の健康を保てることは、どんな職種においても健全に仕事を続けるうえで重要なポイントです。

給与額や休業体制、有休取得率、施設全体の平均残業時間など、ライフワークバランスを保って仕事をできる職場かどうかを確認しておくとよいでしょう。

自分に合う療育施設を探すなら業界特化型のコーディネーターに相談するのがおすすめ

身近に療育業界で働く心理指導担当職員がいたり、施設の内情を赤裸々に教えてくれる人がいたりすると、自分に合う療育施設を見つけやすいでしょう。しかし、療育業界について知識や経験の少ない人は自分に合う療育施設を見つけるのが難しいです。

そこでおすすめなのが、療育業界に特化したコーディネーターに相談することです。療育業界におけるスタンダードを知っている人に、自分の理想とする就職条件を提示してみましょう。

中には「療育業界でこの条件は難しい」といったケースもでてくるかもしれません。そういった場合、妥協できる条件なのかをじっくり検討することが大切です。

心理学科を卒業後は療育業界で心理指導担当職員や児童指導員として活躍しよう

心理学科を卒業した人は、心理に関するさまざまな職種を選ぶことができます。その中でも、療育に関わる心理指導担当職員や児童指導員は発達障害を抱える子ども達を支える仕事です。子ども達が苦手とすることに向き合い、対処できるようになったときには、大きなやりがいを感じることができるでしょう。

ぜひ療育業界で心理学の知識を活かして、心理指導担当職員や児童指導員として働いてみませんか。
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